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歯医者の1日の売り上げはどれくらい?売り上げアップの戦略も解説

歯科医院を経営している以上、売り上げを考えなければなりません。

年間の売り上げを目標として決めることはあっても、それを達成するためには日々の積み重ねが大切です。では、1日あたりの売り上げはどれくらいが目安になるのでしょうか。

そこで本記事では、歯医者の1日の売り上げはどれくらいなのかを解説します。売り上げアップの戦略についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

歯医者(個人)の年間の平均売り上げは約4,700万円

医療経済実態調査によると、個人で経営している年間の平均売り上げは約4,700万円と言われています。

しかし、売り上げがそのまま純利益になるわけではありません。固定費や人件費を売り上げから差し引いた金額が、医院に残る利益なので、注意しましょう。

参照:厚生労働省|第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)

歯医者(法人)の年間の平均売り上げは約1億円

医療経済実態調査によると、法人で経営している年間の平均売り上げは約1億円と言われています。個人で経営している医院より、約5,300万円多いです。

しかし法人であるとより多くの経費がかかり、差引額は大きくなるので注意しましょう。

参照:厚生労働省|第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)

歯医者の1日の平均患者数は何人くらい?

歯医者の1日の平均患者数は、個人と法人とで変わります。前述した年間売り上げから計算すると、以下のとおりです。

  • 個人の場合:約23人
  • 法人の場合:約49人

来院される患者数は、1施設当たりの医療費(入院外/年間)÷1日当たりの医療費÷診療日数で計算できます。よって、具体的な計算方法は以下のとおりです。

  • 個人の場合:4,700万円÷7,986円÷255日=約23人
  • 法人の場合:1億円÷7,986円÷255日=約49人※年間休日を110日としています。

年間の売り上げが変化すると、1日の患者数も変化するので、注意しましょう。

参照
厚生労働省|令和4年度 医療費の動向
厚生労働省|平成 30 年就労条件総合調査の概況

歯医者における1日の売り上げは約18万円!

歯医者における1日の売り上げは、約18万円と計算できます。

具体的な計算方法は、以下のように年間の売り上げと診療日を割って計算します。

4,700万円÷255=約18万4,313円=約18万円

年間の売り上げが変わると、1日の売り上げも変わります。

参照
厚生労働省|第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)
厚生労働省|平成30年就労条件総合調査の概況

歯医者の1日・年間売り上げを患者数別にシミュレーション

歯医者における1日と1年間の売り上げを患者数別にシミュレーションしてみました。
厚生労働省によると、歯医者における1人あたりの医療費は約7,986円と言われています。
以下の表は、患者数による1日と1年の売り上げについてまとめました。

1日の患者数 1日の売上 1年間の売上
10人 79,860円 203万6,430円
20人 15万9,720円 4,072万8,600円
30人 23万9,580円 6,109万2,900円
50人 39万9,300円 1億182万1,500円
100人 79万8,600円 2億364万3,000円

ぜひ参考にしてみてください。

参照:厚生労働省|令和4年度 医療費の動向

歯医者の1日の売り上げアップを実現する5つのポイント

歯医者の1日の売り上げをアップさせる方法は5つあります。

  1. 患者数を増加させる
  2. 1日の診療時間を延長する
  3. 1人あたりの診療報酬をアップする
  4. キャンセル率を減らす
  5. 患者のリピートを促す

患者数を増加させる

売り上げアップのポイントとして、特に高い効果が見込めるのは、単純に患者数を増加させることです。

まず患者数が増えなければ、売り上げにつながりません。

新規の患者を集患するためには、チラシや看板の作成や、ホームページ、SNS、広告などのマーケティング施策を実施しましょう。

1日の診療時間を延長する

1日の診療時間を長くすることで、夜にしか来られない会社員や学生などを集患でき、売り上げアップにつながります。

医師の人数が5人だとして、1人あたり30分を要する場合、7時間と9時間とでは単純に対応できる人数に差が生まれます。

平日に来られない患者を獲得できる休日診療もおすすめです。ただし、労働法に従った経営は遵守しましょう。

1人あたりの診療報酬をアップする

売り上げアップには、1人あたりの診療報酬をアップさせることが必要です。

治療前の検査を含めて、診療報酬の項目を増やせないか検討してみてください。

ただし、患者に不必要な医療行為を提案する必要はありません。患者のニーズや現状を踏まえてより良くなると考えられる場合に勧めるといいでしょう。

キャンセル率を減らす

キャンセル率を減らすことで、売り上げアップにつながります。キャンセルされると予定されていた売り上げがなくなるので、以下のような予防策を実施しましょう。

  • 予約することのメリット・意味を伝える
  • 予約時と予約通りに来院された時に感謝を伝える
  • 予約日が近づいてきたらリマインドメールを送る

「予約することで待ち時間が短縮できる」や「定期的に来院されることで健康な歯にできる」といったメリットを伝えると、患者に予約してもらいやすくなります。

また、予約時に「いつもありがとうございます」を添えたり、予約どおりに来院された際は「いつも時間どおりに来てくださりありがとうございます」などの一言添えると患者は「また予約しよう」という気持ちが生まれます。

予約を確認するならメール、もしくは電話がおすすめです。その際は患者ごとにどんな媒体でリマインドするかを振り分けるようにしましょう。例えば以下のとおりです。

  • 年配:電話
  • 若い方やビジネスマン:メール

少しの心遣いだけで、患者は引き続き予約してくれます。
リマインドは前日〜3日前までがベストです。

患者のリピートを促す

売り上げアップで意外に見落とされるのが、患者のリピートを促すことです。
患者のリピートを獲得するポイントには、以下の2つがあります。

  • 医院側のスタッフと患者の信頼関係
  • リピートを提案

先述しましたが、歯医者は患者が期待している治療を行わなければなりません。治療効果がうまく発揮できない場合は、次回来院しなくなります。逆に期待どおりの治療ができると信頼関係が構築できます。

スタッフの気遣いを増やしたり、心地良い雰囲気作りをしていくと患者はまた行きたいとなるかもしれません。

ある程度の信頼関係を築ければ、予防治療や定期検診などを使ってリピートを提案します。押し売りせずに患者から「治療したい」と思わせることが重要です。

歯医者の1日あたりの患者数を増やす戦略

歯医者の1日あたりの患者数を増やす戦略は、以下のとおりです。

  1. 集患に有利な立地条件を探す
  2. MEOや広告などの地域マーケティングに注力する
  3. 患者数や決算書などのデータを活用する

集患に有利な立地条件を探す

有効な戦略は集患に有利な立地条件を探すことです。具体的には以下の条件で探してみると良いでしょう。

  • 競合がいない、もしくは少ない
  • テナントの1階や一戸建て
  • 見込み患者数が多い
  • よく目にする場所

競合が少ないと、競合を調べる数が少なくなり、差別化を図りやすくなります。また一階や一戸建ては視認性が高く、集患に有利に働きます。

そして、地域によって見込み患者数と特徴は異なります。例えば若年層に多い地域う蝕に特化した歯科医院は集患と売り上げが見込めません。地域の特徴を調べて、どんな治療を中心にすれば良いかを考えます。

また、立地条件は集患に直結するので、入念に考えましょう。人通りが多い場所は集患しやすく、場所もわかりやすいです。とくに仕事帰りや買い物のついでに来院できる駅前やスーパーの近くをおすすめします。

MEOや広告などの地域マーケティングに注力する

集患戦略では、MEOや広告など地域マーケティングに注力することも大切です。

MEOとは、「Map Engine Optimization」の略で、日本語で「マップ検索エンジン最適化」と言います。Googleマップの地図エンジンで検索結果が上位表示されるためのマーケティング施策の一つです。

歯科医院はMEOや広告などを利用して、地域の人々に認知してもらう必要があります。地域の掲示板やチラシなどで認知してもらうために、地域限定でキャンペーンなどで集患することもおすすめです。

患者数や決算書などのデータを活用する

集患戦略では患者数や決算書などのデータを活用するのもおすすめです。目標の売り上げに対して必要な患者はどれくらいなのか計算したり、他の競合医院のデータからどこを差別化するべきかを確認したりします。

決算書や患者の診療データから、求められていることや課題が明確に判断できるようになります。データに基づいた結果があると、月や年の売り上げが予測できるので、経営面でも大きなメリットになります。例は以下のとおりです。

  • ○月になると繁忙期になるので、人件費を多めに使う
  • 繁忙期の売り上げから経費分を引くことで○万円残る見込みなので、設備投資をする

集患だけでなく、経営でも利用していきましょう。

歯医者の売り上げだけでなく利益も意識することが大切

忘れてはいけないことは、歯医者の売り上げだけでなく利益も意識することです。そのためにも短期・長期の計画を考えるようにしましょう。計画は数値化されている情報から設備や人材などあらゆる方面を考えて、目標を掲げます。

また売り上げだけでなく、医院やクリニックに残る利益をどう動かすかを考えなければなりません。売り上げから経費を引いた分が利益なので、売り上げと経費を予測し、利益がどれくらい残るのかを知ると良いでしょう。

利益がたくさんあるからと言って、最新の設備を導入したとしても、それを使いこなすスキルや利用する患者がいないと意味がありませんので、闇雲な設備投資には注意しましょう。

まとめ:歯医者の1日あたりの売り上げ・利益をアップする戦略を実践しよう

売り上げアップを図るなら、以下の3つを意識しましょう。

  • 患者の数と来院回数を増やす
  • 支払い単価を上げる
  • 緻密な経営計画を立てる

単に患者を増やすだけでなく、患者の期待どおりの体制が整っているか、利益がしっかり医院に残るのかなど俯瞰的に考えないと、医院経営は厳しくなります。10年、20年とより長く患者の治療に関わる運営を心がけましょう。