看護師には会社勤めだけでなく起業をして働く方法もあります。
業務経験や資格を所持していれば起業しやすく、検討している看護師の方もいるのではないでしょうか。
看護師の起業にはさまざまな種類があり、同業界の起業はもちろん、別業界での起業もできます。
そこで本記事では、看護師の起業アイデア8選と起業の流れを解説します。起業する際に受けられる支援についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
看護師の起業アイデア8選
では早速、看護師の起業アイデア8選を紹介します。
- 訪問看護ステーションの開業
- デイサービス(通所介護)で独立起業
- 助産院の開業
- 看護師のフリーランス起業
- 医療領域専門のWebライター
- 美容サロンの開業
- コミュニティカフェの開業
- コンサルタント・カウンセラー
訪問看護ステーションの開業
訪問看護ステーションは、看護師が患者の自宅に直接訪問して、患者の病気に適したケアを提供します。
直接訪問であるため、病院に従事するよりも患者様とは親密に関わることになるでしょう。
また、場合によっては主治医に従い、病院と同様の医療処置も行います。
訪問看護ステーションは看護師でなければ開業できないほか、事務所があれば開業できます。
事務所を立てる必要もなくコストがかからないため、看護師なら開業しやすい分野でしょう。
デイサービス(通所介護)で独立起業
需要が高まるデイサービス(通所介護)での起業も選択肢の一つです。
デイサービスの起業に看護師資格は必要ありません。しかし、1人以上の看護師を配置する、もしくはバイタルチェックといった健康管理を行える状態の維持が求められます。
また、開設には通所介護指定も必須です。
看護師資格を保有する方はもちろん、介護施設に関する知識や勤務経験が豊富にあると開業しやすいでしょう。
助産院の開業
助産院は、地域密着で妊婦や赤ちゃんの産後ケアを行います。
育児相談も行うので、妊婦に寄り添うことが大切です。
助産院の開業には助産師と看護師の資格が必要ですが、資格を持っていれば開業できるというわけではありません。助産師資格を取得して、5年以上の実務経験と200件以上の分娩件数が必要と定められています。
上記の条件を満たしているなら、助産院の開業も視野に入れてみてください。
看護師のフリーランス起業
看護師は1つの病院に従事するだけでなく、フリーランスとして働く方法もあります。
フリーランスの働き方は、病院での業務だけではありません。学校や企業の定期健診や旅行・ツアーのイベントナースなどさまざまです。
時間や場所にとらわれないため、柔軟な働き方ができるでしょう。
医療領域専門のWebライター
看護師での業務経験があると、医療領域専門のWebライターとしても開業できます。
在宅で働けるといったメリットがあり、看護師資格を取得していれば高単価案件の獲得にもつながります。
注意点として医療領域専門のライティングには知識と経験が必須です。そのため、ある程度看護師としての勤務経験は必要となるでしょう。
美容サロンの開業
看護師でフットケアなどの経験があれば、技術を活かして美容サロン開業もできます。
看護師は患者様とコミュニケーションを取り、1人1人に適したケアが大切です。
美容サロンでもお客様の価値観に合わせてサービスを提供するため、美容サロン開業後の業務に通じる部分があります。
看護師経験があれば、同業界はもちろん別業界での開業ができることも把握しておきましょう。
コミュニティカフェの開業
看護師に健康などに関する相談ができるコミュニティカフェも、開業としてとても良い選択肢です。
プロの看護師へ気軽に相談したいニーズはとても大きいでしょう。地域のつながりも持てるうえ、人々にとって憩いの場所として活用されるでしょう。
また、大前提としてカフェであるため、お客様に気持ちの良い時間を過ごしてもらう必要があります。
健康食品の使用やバリアフリーなど多くの工夫を凝らしましょう。
コンサルタント・カウンセラー
コンサルタントやカウンセラーとしての開業も可能で、相談や悩みごとを聞き解決に導きます。
オンラインや対面など、場所にとらわれずに働くことができます。コンサルタントやカウンセラーとしての開業で重要なポイントとして、ターゲットの選定には注意してください。
看護師の就職に関するカウンセリングや企業へのコンサルなど、誰に向けたものかを開業前にハッキリさせておきましょう。
看護師ができる起業の種類
看護師ができる起業の種類は、大きく以下の2つです。
- 個人事業主
- 法人化
個人事業主
個人事業主とは、税務署に開業届を提出し、ある事業を継続して運営する人を指します。
継続した運営が重要で、単発で一度だけ業務を引き受けた場合は個人事業主に該当しません。例えば、看護師ライターとして1件だけ仕事を受注し、1本しか書かなかった場合などが挙げられます。
看護師が起業するなら個人事業主でのスモールスタートで開始して、その後法人化を目指すケースが一般的です。
法人化
法人化とは、自身の業務を引継ぎ会社を設立することを指します。
看護師が法人化する場合は、「開業看護師」と呼ばれるケースが多いです。
起業アイデアの中で法人化をするケースが多いのは、訪問看護ステーションやデイサービスなどです。
法人化をする場合、さまざまな登記や手続きが必要となるので、専門家のサポートを受けてスムーズに行いましょう。
看護師が起業するまでの流れ5ステップ
看護師が起業するまでの流れを5つのステップで解説します。
- 事業に関する情報収集をする
- ビジネスプランを決定する
- 資金調達をする
- 開業に必要なものを準備する
- 開業の手続きをする
事業に関する情報収集をする
まずは、事業に関する情報収集をしましょう。
情報収集をしなければ、その後のビジネスプラン策定はできません。
また、情報収集時にはあわせて競合の調査も必須です。
起業したら成功ではなく、起業後に結果を残す必要があるので、情報収集や競合調査は入念に行いましょう。
ビジネスプランを決定する
情報収集が完了したら、ビジネスプランを決定します。
ビジネスプランでは、ターゲット選定からサービスとその料金などを詳細にしましょう。
また、競合の二番煎じにならないように、ビジネスプランは差別化も重要です。
ビジネスプランを立てたら、開業に関わる資金や売上予測をたて、事業計画に落とし込みましょう。
資金調達をする
ビジネスプラン決定後は、必要となる資金の調達をします。
事業計画に落とし込んだ資金調達が必要であるほか、経営困難を避けるために余裕をもった資金調達が大切です。
また、選ぶ仕事によっては最初の数ヶ月は無収入であることも想定し、ある程度の資金は事前に調達しましょう。
開業に必要なものを準備する
開業手続き前に必要なものを準備しましょう。
資格や都道府県知事からの指定など、分野ごとに必要なものは異なります。
もちろん場所や人員の確保も準備の1つです。
また、医療行為を行うには専用の届け出も必要なので、開業する分野で必要なものは事前に確認しておきましょう。
開業の手続きをする
ここまで準備が整ったら、開業の手続きをしましょう。
個人事業主での開業か法人化させるかによって、手続きの方法は異なります。
個人事業主の場合は、税務署に開業届の提出が必要です。
一方、法人設立では法人登記や届け出、保険の加入など、個人事業主に比べて手続きは多くなります。
専門家のサポートを受けながら手続きをすると、スムーズに進行できるでしょう。
看護師が起業するうえでのポイント
では、看護師が起業するうえでのポイントを3つ解説します。
- スモールスタートを前提に考える
- 保険や税金について理解する
- 起業支援を把握しておく
スモールスタートを前提に考える
看護師で起業するのであれば、スモールスタートを前提に考えましょう。
起業の種類として個人事業主と法人化がありますが、成功するか先行きが不透明な段階で大規模に動くのはリスクがあります。
そこで、まず小規模からスタートして、市場や顧客の状態から少しずつ拡大していく方向性がおすすめです。。
また、法人化するには、手続きも多く資金もかかります。
まずは、個人事業主としてスモールスタートし、軌道に乗ってから法人化させる流れを検討しましょう。
保険や税金について理解する
起業をするのであれば、保険や税金についての理解を深めましょう。
サービス利用者に損害を与えてしまった場合は、法律として賠償責任を負うため、賠償責任保険の加入が必要です。
また、経営する上での経理や個人事業主の確定申告など、税金の知識は必ず必要になります。
これらの知識は看護師の業務で学べるものではないので、自身で勉強しておくことが大切です。
起業支援を把握しておく
受けられる起業支援を把握しておくことも大切です。
分野にもよりますが、起業には多くの資金がかかります。
自ら出せる資金では不十分な場合もあるでしょう。
そこで、起業支援を把握していれば支援を受けての起業ができます。
起業支援は種類や条件がそれぞれ異なるので、受けられるか否かの確認も重要です。
看護師の起業で受けられる支援
では最後に、看護師の起業で受けられる3つの支援を紹介していきます。
- 日本政策金融公庫からの融資
- 厚生労働省からの支援
- クラウドファンディング
日本政策金融公庫からの融資
起業で受けられる支援の1つ目は、日本政策金融公庫からの融資です。
中小企業や起業する人向けの融資プランを豊富に抱えています。
融資プランの例は、以下のとおりです。
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 再挑戦支援資金
制度によっては、最大3,000万円など融資限度額も大きいため、起業する際の助けとなるでしょう。
厚生労働省からの支援
起業で受けられる支援の2つ目は、厚生労働省からの支援です。
受けられる支援の例は、以下のとおりです。
- 再就職手当
- 人材確保等支援助成金
- キャリアアップ助成金
厚生労働省からの支援を受けるためには、「受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職、または事業を開始したこと」が条件となります
条件内に事業を開始したことと記載のあるとおり、就職はもちろん起業時にも支援を受けられます。
看護師として勤務していた病院で雇用保険の対象なら、再就職手当が受けられないか、一度確認してみてください。
クラウドファンディング
起業で受けられる支援の3つ目は、クラウドファンディングです。
クラウドファンディングでは、無料で利用できる専用サイトに決定したビジネスプランを掲載します。
掲載後、ビジネスプランに賛同してくれた人が資金を提供してくれる形となっています。
資金調達とあわせて起業内容の宣伝もできるので、大きなメリットでしょう。
しかし、資金調達には時間がかかるほか、賛同を得られないと資金提供はしてもらえません。
クラウドファンディングで支援を受けるなら、資金調達を成功させるために専門家のサポートを受けることがおすすめします。
まとめ:支援を活用して看護師の独立開業を目指そう
看護師の起業は、同業界だけでなく別業界での起業も可能で、さまざまなアイデアがあります。
起業には5つのステップがあり、日本政策金融公庫や厚生労働省から支援を受けることも可能です。
起業を考えている方は、本記事を参考に支援を活用して、看護師の独立開業を目指しましょう。