開業のための
Web集患戦略

開業医のための経営支援メディア
『ウェブドクター』

リフィル処方箋とは?医療機関向けにメリットやデメリット・注意点を紹介

最近日本に導入されたばかりのリフィル処方箋。情報が少なく、厚生労働省の資料も改訂が繰り返されているものになります。

リフィル処方箋の導入を検討されている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、リフィル処方箋についての情報をまとめて解説します。

この記事では、リフィル処方箋のメリット、デメリットから分割調剤との違い、処方時の注意点を解説します。

最新の制度の情報を仕入れておくことで、今後治療を受ける際の選択肢が広がりますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を監修した医師
見立 英史 国立・私立大学や開業医勤務を経て私立大学病院に勤務。一般歯科診療から全身麻酔手術症例までを行っています。日本口腔外科学会指導医・専門医、日本口腔科学会指導医。専門分野は口腔粘膜疾患。  

リフィル処方箋とは医師が決めた回数と期限内で最大3回まで使用可能な処方箋

リフィル処方箋とは、最大3回まで繰り返し使用可能な処方箋です。

アメリカやフランスなどではすでに採用されていますが、日本では比較的新しい処方箋で、令和4年4月に導入されました。

医師がリフィル(繰り返し)による処方が可能と判断した場合に限り、最大3回の受け取りを限度に発行できます。

リフィル処方箋と分割調剤の違い

リフィル処方箋と分割調剤の大きな違いは、それぞれの目的と調剤の期間です。

リフィル処方箋は、状態が安定しており、自己管理が可能な患者に対し処方され、決められた期間内でのみ調剤ができます。

これに対して、分割調剤は「長期保存が難しい薬剤の場合」「患者がジェネリック医薬品に不安のある場合」など、その薬を使い続けるために必要な措置です。また、分割調剤は患者の来局日に合わせた数の薬を調剤を行います。

リフィル処方箋のメリット3つ

リフィル処方箋には、メリットが大きく3つあります。

  1. 業務の負担が軽減できる
  2. 残薬問題の解決が期待できる
  3. より多くの患者を診察できる

1.業務の負担が軽減できる

リフィル処方箋は、処方箋をもらうための診察回数を減らせるため、医師の業務負担を軽減してくれます。医師不足が深刻な昨今、一人当たりの負担が軽減できることは大きなメリットです。

また、開業医であれば負担が軽減された分、他の業務に時間が使えるようになるため、業務負担の軽減の恩恵が大きいでしょう。

2.残薬問題の解決が期待できる

診察および処方箋を出す回数の減少に伴い、薬の調剤回数の削減できるので、残薬の問題が解決できる期待があります。

リフィル処方箋はその性質上、患者は一定期間内なら診察なしで繰り返し処方を受けられます。医師だけでなく、薬剤師の業務負担も軽減させられるでしょう。

3.より多くの患者を診察できる

リフィル処方箋により、患者は何度も病院に通わずに済みます。

患者側は、診察回数の減少や診察時の待ち時間短縮、そして医療費の削減になります

また、医師にとっては時間の余裕ができるため、別の患者を診察するなどできます。双方にとってメリットが大きいといえるでしょう。

リフィル処方箋のデメリット3つ

ここでは、リフィル処方箋の代表的な3つのデメリットを紹介します。

  1. 通院回数の減少により病院の収入が減少する
  2. 受診する間隔が長くなるため症状悪化のリスクがある
  3. 医薬品の転売・譲渡のおそれがある

1.通院回数の減少により病院の収入が減少する

通院回数の減少により、病院側としては収入減少の恐れがあります。

一人当たりの通院回数が減少するため、患者の負担軽減にはつながるものの、病院収入の減少による影響には注意しましょう。

2.受診する間隔が長くなるため症状悪化のリスクがある

患者の経過観察期間が長くなる点も大きなデメリットです。症状の経過、服薬状況の確認、直接の指導ができず、薬剤師は数少ない問診で病状の理解度や服薬状況を確認する必要があります。

そもそも、病状の理解が不十分で、より密な経過観察が必要な場合は、通常の処方箋を出して再来してもらい、観察するという対応になります。

リフィル処方箋の使用は、医師や薬剤師の責任が大きくなります。医師と薬剤師間のコミュニケーション方法を確立しておき、双方の連絡手段について準備をしておきましょう。

3.医薬品の転売・譲渡のおそれがある

医薬品の転売・譲渡のおそれがあることもデメリットの一つです。悪意を持った転売をするケースはもちろん、善意で他人に薬を渡してしまう恐れもあります。

自己判断で済ませるケースが増加すれば、相談や知識習得の機会も減り、健康被害や病状悪化につながる恐れがあります。

リフィル処方箋を処方する時の注意点3つ

リフィル処方箋は、患者の負担が減る反面、3つの注意点をおさえておきましょう。

  1. リフィル処方箋の保管は患者自身で行う
  2. 処方箋の期限切れや紛失は保険適用無しでの再受診となる
  3. 医薬品の種類によってはリフィル処方箋の対象外となる

1.リフィル処方箋の保管は患者自身で行う

リフィル処方箋の保管は患者自身のため、紛失しないように指導する必要があります。

また、期限についても注意が必要です。初回の受け取りは受診日を含め4日、2回目以降は薬剤師と患者とのやり取りで決められます。

2.処方箋の期限切れや紛失は保険適用無しでの再受診となる

リフィル処方箋は、期限切れや紛失してしまうと、再受診の際保険が適用できないため、高額の受診料となります。

また、薬局で一度でも薬をもらった状態のリフィル処方箋は再発行できません。再度受診をして処方箋を新しく出すことになる旨を伝えましょう。

3.医薬品の種類によってはリフィル処方箋の対象外となる

一部の医薬品(湿布薬など)では、リフィル処方箋を使用できないものもあります。

詳細は厚生労働省発表の「個別改定項目について」に記載されていますので、事前に確認してください。

まとめ:リフィル処方箋は現状や今後の動向を踏まえて導入検討しよう

本文中でもお伝えした通り、リフィル処方箋にはリスクもあります。患者の背景や病状・薬への理解度などを複合的に判断し、導入を検討しましょう。

ウェブドクターでは、開業医向けの情報を多く発信しています。これから開業する上での疑問を解決できる記事を多数掲載してますので、参考にしていただけると幸いです。