開業のための
Web集患戦略

開業医のための経営支援メディア
『ウェブドクター』

医療法人化の失敗事例を解説|医療法人化で失敗しないためのポイントを理解しよう

一般的に医療法人のほうが安定した経営ができ、ローンや借入の審査も通りやすいことから、医療法人化に憧れる方は多くいます。
しかし、医療法人が個人事業主よりも全体的に優れているわけではありません
もちろん医療法人化した場合でも失敗することはあります。
そこで、この記事では医療法人化の失敗事例を5つ紹介します。
また、失敗しないための方法も後半で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

医療法人化の失敗事例

それでは早速、以下の5つの医療法人化の失敗事例について解説していきます。医療法人化することには様々なメリットがある一方、つまづきやすいポイントが多いのも事実です。

  • 事例1:資金繰りがうまくいかない
  • 事例2:手続きに時間がかかりタイミングを逃す
  • 事例3:コスト増により経営悪化
  • 事例4:役員報酬を高くしすぎる
  • 事例5:後継者不在により引き継げなくなる

事例1:資金繰りがうまくいかない

1つ目は、資金繰りがうまくいかない事例です。
売上が思うように上がらなかったり、運転資金をあまり確保できていなかったりすると、資金繰りがうまくできなくなってしまうでしょう。
また、個人事業主時代に大きな借入をしている方はより注意が必要です。
個人事業主時代の借入は医療法人に引き継ぐことができないため、個人で返済していく必要があります。
そうなると、高額な役員報酬を支払い返済していくことになるため、資金が枯渇してしまうケースが多くなってしまいます。
借入をしている際には注意しましょう。

事例2:手続きに時間がかかりタイミングを逃す

2つ目は、手続きに時間がかかりタイミングを逃す事例です。
医療法人化するための手続きは複雑であり、かなり時間がかかります
さらに、医療法人は都道府県知事の認可を受ける必要がありますが、いつでも認可を受けられるわけではありません
そのため、医療法人化に適正なタイミングを逃してしまうことがあるため、注意してください。

事例3:コスト増により経営悪化

3つ目は、コスト増により経営悪化してしまう事例です。
より良い医療を提供しようと考えると、多くのスタッフを雇ったり高性能な機器を導入したりすることになるでしょう。
しかし、どれだけ質を高くしようとしても、経費に見合った売上が得られなければ、当然ながら経営は悪化してしまいます。
もちろん質の高い医療を提供することは大切ですが、背伸びしすぎないように注意してください

事例4:役員報酬を高くしすぎる

4つ目は、役員報酬を高くしすぎてしまう事例です。
役員報酬を高くしすぎてしまうと経営を圧迫してしまいます。
役員報酬は年1回しか変更できないため、無理のない範囲で役員報酬を設定することが大切です。

事例5:後継者不在により引き継げなくなる

5つ目は、後継者不在により引き継ぎできない事例です。
せっかく医療法人化したものの、後継者が不在のたえ引退ができないケースは少なくありません。
特に医療法人の場合だと、事業を受ける側も医師免許の保有が必須なため、一般事業と比べても後継者不在の状況に陥りやすいと言えます。

後継者がいなければ当然引き継ぐことができないため、継続するか医療機関を解散するかの二択を迫られます。
仮に継続したとしても、高齢の先生であればいつ体調を崩すかわからず不安を抱えながら運営を続けることになります。
一方で、医療機関を解散すると、今までに得た利益を個人のものにすることはできません
2022年現在で設立できるのは持分なしの医療法人のみなので、経営者に財産権がないからです。
解散は財産の問題だけでなく、今まで築いてきた信頼やブランドを失うことにもなってしまいます。

こういった事態を回避するためにも、医療法人化を検討する段階で後継者についても考えていく必要があるといえます。

医療法人化で失敗しないためのポイント

医療法人化で失敗しないためのポイントは、以下の3つです。

  • 医療法人化の目的をよく考える
  • 複数の専門家に相談する
  • 役員報酬額を再検討する

3つのポイントを意識することで、失敗の確率を減らしましょう。

医療法人化の目的をよく考える

1つ目は、医療法人化の目的をよく考えることです。
医療法人化の目的としてよく挙げられるのが、に節税の効果への期待です。
しかしながら、節税効果だけを目的に医療機関を運営していても、うまくはいきません

節税意外の医療法人化のメリット・デメリットもふまえ、自身が実現したい医療経営のためにはいつどのように法人化するべきかを考えていく必要があります。

場合によっては医療法人化せず開業医として働き続ける選択肢も十分考えられます。
今一度、医療法人と開業医のメリット・デメリットを比較しておきたいとお考えの方は、以下の記事を併せてお読みください。
開業医になるには個人事業主?医療法人?税金の違いやメリット・デメリットを解説

複数の専門家に相談する

2つ目は、複数の専門家に相談することです。
医療法人化の手続きは複雑で、医院の財務状況、先生個人の所得状況などから総合的に判断して決めていく必要があります。
しかし、法人設立の手数料を稼ぎたい顧問税理士に急かされ、個別の状況を十分に考慮しないまま医療法人化をして失敗してしまうケースをよく耳にします。

信頼のおける税理士であればもちろん問題ありませんが、可能であれば複数の専門家に相談し慎重に判断することが望ましいです。

役員報酬額を再検討する

3つ目は、役員報酬額を再検討することです。
役員報酬額が高いと経営を圧迫してしまう可能性が大いにあります。
毎年額を見直せるので、業績が悪化し始めていたり見通しが悪かったりする際は、役員報酬額を再検討してみてください。

まとめ

今回は医療法人化することで失敗する事例を見てきました。
それぞれの失敗事例に特徴がありますが、ポイントを意識すれば防げる事態でもあります。
自分の能力を過信せず、計画を立てた上で医療機関の運営をすることが大切です。
自分では解決できない問題は複数の専門家に相談した上で、解決策を探っていきましょう。