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オンライン診療の処方箋はどうする?発行の流れや注意点を解説!

「オンライン診療の導入を検討しているけど、処方箋はどうするのだろう……」
「オンライン診療が気になっているけど、処方箋の発行の流れや注意点を知りたい……」

 

このような疑問や悩みを抱えていませんか?

 

オンライン診療をする際には、院内処方と院外処方によって、処方箋の流れ・手順が変わります。

 

そこで本記事では、オンライン診療で処方箋を発行するメリットや、発行の流れについて解説します。処方箋を発行するときの注意点も紹介しているので、オンライン診療の導入を検討している方は、参考にしてみてください。

この記事の内容

【基礎知識】オンライン診療後の処方箋について

【基礎知識】オンライン診療後の処方箋について

オンライン診療後の処方箋の送付と取り扱いについて解説します。

医療機関は処方箋情報をFAXやメールなどで薬局に送付する必要がある

オンライン診療後、患者がスムーズに薬を受け取れるように、医療機関は処方箋情報を、FAXやメールなどで薬局へ事前に送付する必要があります。

 

電子処方対応の医療機関であれば、処方データをオンラインで直接薬局に送信できます。

 

患者が来訪予定の薬局を選びやすいように、事前に提示すると良いでしょう。ただし、すぐに受け取れる状態を作るためにも、薬局との連携が欠かせません。

 

具体的には、処方箋送付の方法を事前に取り決めたり、処方内容の確認・疑義照会のルートを明確化したりするのが望ましいです。オンライン診療を導入する際には周りの薬局との連携も重視しましょう。

発行した処方箋原本の取り扱い

処方箋を発行した際には、原本を法的に有効な文書として扱う必要があります。紙の処方箋を発行した場合は、医療機関が薬局へ郵送します。

 

電子処方箋を利用している場合は、原本に相当するデータが「電子処方箋管理サービス」に保存されるため、紙のやり取りは不要です。

 

ただし、薬局が電子処方箋に対応していないと利用できない点に注意しましょう。

医療機関がオンライン診療で処方箋を発行するメリット

医療機関がオンライン診療で処方箋を発行するメリット

医療機関がオンライン診療で処方箋を発行するメリットは、3つあります。

  1. 患者満足度の向上が期待できる
  2. 診療効率の改善が図れる
  3. 地域や距離の制限に対応できる

それぞれのメリットについて解説します。

患者満足度の向上が期待できる

オンライン診療で処方箋を発行するメリットとして、患者満足度の向上が期待できます。

 

慢性疾患で定期的に薬をもらう必要がある患者は、症状が安定していればオンラインで診察・処方が完結するので、待ち時間や交通費の負担が少なくなります

 

また、感染リスクを避けたいとい患者のニーズに応えられるため、オンライン診療で処方箋を発行することはおすすめです。

診療効率の改善が図れる

診療効率の改善が図れる点は、オンライン診療で処方箋を発行するメリットとして挙げられます。定期的に同じ薬を処方するケースでは、対面診療ほど時間をかけず診察・処方ができます。

 

また、医師の空き時間を活用して効率的にオンライン診療を組み込めるため、全体の診療スケジュールが最適化されやすいです。

 

医療側も患者側も時間のムダを減らせるので、お互いにとってメリットがあります。

地域や距離の制限に対応できる

オンライン診療で処方箋を発行すると、地域の距離の制限に対応できます。オンライン診療後に、処方箋を自宅に郵送すると、交通機関が少ない地域でも、薬を受け取りやすいです。

 

ほかにも、遠方の薬局と電子処方箋の連携を取っていると、患者は薬を受け取るために薬局に来店しやすく、負担を感じにくいです。

 

距離という壁を越えて、医療を届けられる点が大きな強みです。

医療機関がオンライン診療で処方箋を発行するデメリット

医療機関がオンライン診療で処方箋を発行するデメリット

医療機関がオンライン診療で処方箋を発行するデメリットは、主に2つあります。

  1. システム導入・ルールの遵守が必須
  2. 薬局との連携が求められる

それぞれのデメリットについて解説します。

システム導入・ルールの遵守が必須

オンライン診療は、法律やガイドラインに沿った仕組みと運用が求められる点に注意しましょう。

 

たとえば、患者に送る引き換え番号の管理や、疑義照会時の手順を守らないと、処方箋が無効になるリスクがあります。

 

とくに、遠方の薬局や郵送対応の場合、処方箋の有効期限「原則4日以内」を守る必要があるため、注意しましょう。

 

参照:厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針

薬局との連携が求められる

オンライン診療で処方箋を発行する際には、薬局との連携が求められます。

 

紙の処方箋を発行する場合は、患者が薬局に取りに行くまでの間に、郵送の遅延が発生することがあります。

 

また、電子処方箋を利用する場合でも、薬局側も対応していないと処方データを受け取れず、患者が薬を受け取れません。

 

このように、医療機関単独では完結しないので、地域の薬局との連携体制を整備する必要があります。

オンライン診療で処方箋を発行するための準備

オンライン診療で処方箋を発行するための準備

オンライン診療で処方箋を発行するための準備は、以下の3つが挙げられます。

  1. 厚生労働省の指針に沿った環境整備
  2. オンライン服薬指導に対応した調剤薬局との連携体制を構築する
  3. 電子処方箋を発行するためのシステム整備

それぞれの準備ポイントについて解説します。

厚生労働省の指針に沿った環境整備

オンライン診療で処方箋を発行するためには、厚生労働省の指針に沿った環境整備が必要です。

 

たとえば、通信環境は診療中に映像や音声が途切れないように、セキュリティが確保された安定しているインターネット回線の用意が必須です。

 

また、初診は原則対面診療からはじめ、診療内容の記録や保存を行う必要があります。

 

さらに、緊急時の対応策をあらかじめ用意しておくなどの環境整備が重要です。

オンライン服薬指導に対応した調剤薬局との連携体制を構築する

オンライン服薬指導に対応した調剤薬局との連携体制の構築は、重要な準備の一つです。調剤薬局と連携を取ることで、患者は診療後にスムーズに薬を受け取れます。

 

調剤薬局と連携する際には、処方箋の送付方法や業務フローを決めておくと良いでしょう。たとえば、処方箋は紙で送るのか、電子処方箋にするのかによって、対応の流れを決めやすいです。

 

ほかにも、患者が薬を受け取るまでの流れを明確化しておくと、ミスやトラブルを防げます。

 

患者に案内する際には、対応薬局のリストから選んでもらうように、案内ができる準備体制を整えるのがおすすめです。

電子処方箋を発行するためのシステム整備

オンライン診療で処方箋を発行するために、電子カルテや処方箋発行ソフトに電子処方箋を対応させましょう。

 

また、厚生労働省や各電子処方箋事業者の管理サービスに、医療機関として登録する必要があります

 

さらに、電子処方箋を利用するためには、患者の保険資格をオンラインで確認できる環境「オンライン資格確認システム」との連携も必要です。

 

電子処方箋を発行できる準備が整った後は、連携が取れている調剤薬局に一度テストとして送信し、実際に処方箋が発行できたか確認を取りましょう。

【院外処方】オンライン診療後に紙の処方箋を発行する場合の手順

【院外処方】オンライン診療後に紙の処方箋を発行する場合の手順

オンライン診療後に紙の処方箋を発行する場合の手順を解説します。

院外処方の場合は、以下の4つの手順で進みます。

  1. 処方箋を発行する
  2. 処方箋を調剤薬局に送信する
  3. 処方箋原本を調剤薬局に送付する
  4. 患者が薬を受け取るまたは自宅まで発送

STEP.1:処方箋を発行する

オンライン診療が終わったあとは、医師はレセコンや電子カルテから処方箋を発行しましょう。処方箋は紙で出力されるため、医師が署名または押印します

 

また、発行した処方箋が、法的に有効な原本になります。

STEP.2:処方箋を調剤薬局に送信する

オンライン診療後に処方箋を発行したあとは、処方箋を調剤薬局に送信しましょう。

 

患者が薬を受け取りたい薬局を選び、クリニックがその薬局に処方箋の内容をFAXや電子送信で送ります

 

処方箋が届いた薬局は、薬の準備を進めます。

STEP.3:処方箋原本を調剤薬局に送付する

処方箋を調剤薬局に送信したあとは、処方箋原本を調剤薬局に送付しましょう。

 

法律上は、処方箋交付日から4日以内に薬局に届ける必要があります。4日を過ぎてしまうと、処方箋が無効になるため、注意してください。

STEP.4:患者が薬を受け取るまたは自宅まで発送

薬局は処方箋の内容を確認し、調剤を行います。

 

患者が薬を受け取る、または自宅まで宅配やバイク便で薬を発送します

 

すでに調剤薬局にFAXで処方箋を送っていると、患者が翌日に薬局へ来店した際にすぐ薬を受け取ることが可能です。

 

患者の満足度の向上を図るために、調剤薬局との連携を入念に行いましょう。

【院内処方】オンライン診療後に紙の処方箋を発行する場合の手順

【院内処方】オンライン診療後に紙の処方箋を発行する場合の手順

今はあまり院内処方は多くありませんが、オンライン診療後に紙の処方箋を発行するときは、3つの流れで進みます。

  1. 処方箋を発行する
  2. 調剤を行う
  3. 医療機関内で患者が薬を受け取る

それぞれの流れについて解説します。

STEP.1:処方箋を発行する

オンライン診療後、医師はカルテに基づいて処方箋を発行しましょう。

 

院内処方の場合でも、処方内容は処方箋と記録します。処方箋は、院内の薬剤管理部門やスタッフに渡され、薬を準備する流れになります。

STEP.2:調剤を行う

院内の薬剤部や薬剤師、あるいは医師の指示を受けたスタッフは、処方箋に従って薬を準備します。

 

スタッフは、処方箋の内容を確認し、薬の種類や用量・日数を間違えないように調剤する流れになります。分包機で日数分に分けたり、シートごとに渡したりする場合もあるため、柔軟に対応しましょう。

STEP.3:医療機関内で患者が薬を受け取る

調剤が終わったあとは、患者が医療機関内で薬を受け取る方法と、自宅に発送する方法の2種類が挙げられます。

 

医療機関内で直接受け取る場合は、診療後に、患者本人や家族が来院して受け取ります。その後、患者自身が薬局へ持参して薬を受け取る流れです。

 

医療機関から自宅に送付する場合は、医療機関が処方箋を患者の自宅に届くように郵送します。患者は届いた処方箋を薬局に持参して、薬を受け取ります。

 

また、状況に合わせて薬剤師やスタッフが服薬指導を患者に行いましょう

オンライン診療後に電子処方箋を発行する場合の手順

オンライン診療後に電子処方箋を発行する場合の手順

オンライン診療後に電子処方箋を発行する手順は、5つの流れで進みます。

  1. 電子処方箋管理サービスに登録
  2. オンライン診療の実施
  3. 患者に電子処方箋の引き換え番号の案内
  4. 薬局の選択
  5. 薬の受け取り

それぞれの流れについて解説します。

STEP.1:電子処方箋管理サービスに登録

オンライン診療に電子処方箋を発行するためには、まず厚生労働省が定める電子処方箋管理サービスの登録が必要です。

 

電子処方箋管理サービスに登録することで、医療機関の電子カルテやレセコンと連携し、処方箋をオンラインで管理・送信できます

 

また、電子処方箋は、本人確認と処方データのやり取りの安全性が重要になるため、マイナンバーカードとオンライン資格確認システムを組み合わせて使用します。

 

オンライン資格確認でマイナンバーカードを連動させることで、患者の保険証情報を読み取ります。これにより、患者本人の保険資格が有効か、処方内容が正しく本人に紐づいているかを確認することが可能です。

 

そのため、マイナンバーカードや、オンライン資格確認システムが利用できる体制も整えましょう。

STEP.2:オンライン診療の実施

電子処方箋管理サービスに登録したあとは、患者と医師がビデオ通話やアプリを利用して、オンライン診療を実施しましょう

 

通常の診療と同じように症状を聞き取り、必要な薬を決めます。診療終了後、電子上で処方入力を行います。

STEP.3:患者に電子処方箋の引き換え番号の案内

医師が電子処方箋を発行すると、処方情報は電子処方箋管理サービスに保存されます。

 

また、同時に引き換え番号(処方箋ID)が発行され、患者に通知されます

 

引き換え番号は、アプリやメール、専用サイトなどで患者に伝えられるため、医師は質問されたとき患者に案内しましょう。

STEP.4:薬局の選択

患者に電子処方箋の引き換え番号が通知されたあとは、アプリやWebで薬の受け取る薬局を選択してもらいましょう

 

医療機関は、患者が薬を受け取る薬局に電子処方箋を送る必要があります。

 

また、アプリやWebで薬の受け取り先を事前に選択してもらうことで、薬局では患者が来る前に電子処方箋を照会し、薬の準備することが可能です。

 

患者にどこの薬局に行くか確認し、案内をしてあげると、患者満足度を向上させられるでしょう。

STEP.5:薬の受け取り

患者は、薬局に行って薬を受け取るときに、マイナンバーカードを提示します。

 

調剤薬局は、薬局のシステムで患者の電子処方箋を照合し、調剤を行います。来店が難しい場合は、薬局が薬を配送することも可能です。

オンライン診療で処方箋を発行するときの注意点

オンライン診療で処方箋を発行するときの注意点

オンライン診療で、処方箋を発行するときの注意点は、主に4つあります。

  1. 診療ガイドラインに準じた対応が必要
  2. 処方箋の備考欄にオンライン診療である旨を記載する
  3. 薬剤によって取り扱いに制限がある
  4. 8日以上の処方は禁止されている

それぞれの注意点について解説します。

診療ガイドラインに準じた対応が必要

オンライン診療で処方箋を発行するときの注意点として、厚生労働省が定める診療ガイドラインに準じた対応が必要です。

 

診療の内容や方法には制限があり、ガイドラインを逸脱した診療や処方は認められません。

 

とくに、オンライン診療は、慢性疾患の再診や経過観察などが中心になります。

 

診療ガイドラインに反した診療を行い、処方箋を発行するという状況を作らないように、ガイドラインの内容や方法は遵守しましょう

処方箋の備考欄にオンライン診療である旨を記載する

オンライン診療は、処方箋の備考欄にオンライン診療である旨を記載する必要がある点に注意しましょう。

 

薬局側が、処方箋の発行経緯を把握できるようにするためです。

 

薬局も、対面ではなくオンライン診療に基づく処方であることを確認したうえで、調剤記録に反映させる必要があります。

薬剤によって取り扱いに制限がある

オンライン診療の注意点では、薬剤によって取り扱いに制限がある点も理解しておきましょう。

 

抗がん剤や免疫抑制薬などの高リスク薬は、初診のオンライン診療では処方不可の場合があります。ほかにも、睡眠薬や抗不安薬など、依存性の高い薬は、制限が厳しいです。

 

たとえば、患者が強い睡眠薬を出してほしいとオンライン診療で希望しても、法律上や安全上の理由から処方できません。

 

代わりに対面診療を案内し、必要に応じて安全に処方しましょう。

8日以上の処方は禁止されている

オンライン診療による処方は、原則7日分までと定められています。

 

7日分までと制限されている理由は、長期処方による誤用・副作用リスクを高めてしまう状態を避けるためです。

 

たとえば、高血圧で通院中の患者に対し、通常の対面診療なら1か月分処方できる薬でも、オンライン診療では7日分までしか処方できません。

 

そのため、患者にはまず1週間分を処方し、問題なければ次回の対面診療で1か月分を出すと伝えるようにするなどしましょう。

オンライン診療の処方箋の有効期限は?

オンライン診療の処方箋の有効期限は?

オンライン診療の処方箋の有効期限は、発行日を含めて4日間です。この4日間は、土日や祝日も含まれます。

 

発行日を含めて4日間を過ぎてしまうと、処方箋は無効となり、薬局での調剤や薬の受取ができません

 

とくに、土日や祝日も期限に含まれるため、休日を挟む場合は、期限管理に注意が必要です。

まとめ:オンライン診療の処方箋はメリット・デメリットをしっかりと把握しよう!

まとめ:オンライン診療の処方箋はメリット・デメリットをしっかりと把握しよう!

オンライン診療で処方箋を発行する際には、診療ガイドラインを遵守した対応が必要です。

 

紙の処方箋と電子処方箋のどちらも、法的に有効な文書として取り扱う必要があります。ガイドラインを遵守したオンライン診療を導入できると、患者の満足度向上や医師の業務効率化を図れます。

 

オンライン診療の導入を検討している方は、本記事でご紹介した内容を参考にしてみてください。