「医院継承にはどんなメリット・デメリットがあるのか?」
「医院継承で起こりうるトラブルにはどんなものがあるのか?」
このようなお悩みを抱えていませんか?
医院継承を行う際は、メリット・デメリットを理解した上で、どんなトラブルが起こりうるのかを事前に想定しておくことが望ましいでしょう。
そこで、本記事では医院継承の現状や医院継承のメリット・デメリット、起こりうるトラブルを紹介します。
記事の後半では、医院継承の流れについても解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
この記事の内容
医院継承の現状
まずは、医院継承の現状について見ていきましょう。
全体的に見ると、医院継承のニーズは高まっていると言えます。
多くの医院が開業していますが、一方で廃業する医院も多くなっています。
2021年では、前年より10%以上も多い567件が廃業しているのです。
このことからわかるように、医院を継続して運営していくのはとても難しいことです。
廃業する理由には、コロナ禍などさまざまな要因により経営状況が芳しくないことが挙げられますが、院長の高齢化も大きく影響しています。
院長の数が、2011年では50代が1番多かったのが、2021年では60代が1番多くなっていることから、院長の高齢化は明らかです。
院長が高齢になり、これ以上経営を続けるのが難しいと判断したものの、後継者を育てているわけでもないため、医院運営を引き継げず廃業してしまうケースが少なくありません。
そこで、第三者への医院継承を行うことで、医院を廃業に追い込むことがなくなり、患者も新たな医療機関を探さずに済みます。
参考資料:株式会社帝国データバンク「医療機関の休廃業・解散動向調査(2021年)」
医院継承のメリット
医院継承のメリットは、主に以下の2つです。
- 一から集患する必要がない
- 初期費用を抑えて開業できる
1つずつ確認していきましょう。
一から集患する必要がない
1つ目は一から集患する必要がないことです。
新規開業する際は、新たに来院してくれる患者さんを探す必要があり、大きな労力がかかってしまいます。
しかし、医院継承であれば、既存の固定患者さんが多くいるため、新たに集患する必要がありません。
また、固定患者でなくても、医院の名前が地域に認知されているため、新規患者を取り込みやすい状況にあるともいえるでしょう。
初期費用を抑えて開業できる
2つ目は、初期費用を抑えて開業できることです。
新規開業しようとする場合、新たに土地や建物を契約したり機器や設備を導入したり新しくスタッフを雇ったりする必要があるため、多額の費用が必要です。
しかし、医院継承では既存の建物・機器・設備・スタッフのまま引き継げるため、これらにかかる費用が必要なくなります。
また、既存の固定患者がいることにより、収入の見通しが立てやすいのです。
そのため、余分な運転資金を確保しておく必要はなく、少ない運転資金でも開業できます。
これら、2つの理由から初期費用を抑えて開業ができるのです。
医院継承のデメリット
医院継承のデメリットは、主に以下の2つです。
- 患者さんとの関係作りが難しい
- スタッフとの関係作りが難しい
1つずつ確認していきましょう。
患者さんとの関係作りが難しい
1つ目は、患者さんとの関係作りが難しいことです。
医院をそのまま引き継げるとはいえ、先生が変わるため、患者さんの中には違う医院になると感じる方も少なくないでしょう。
引き継ぐ前の先生を信頼して来院していた患者さんは、先生が変われば継続して来院してくれない可能性もあるでしょう。
また、引き継ぐ前と後では診療方針が異なる場合が少なくありません。
診療方針が異なれば、別の医院に変えると考える方もいるため、既存の固定患者が引き続き来院してくれるように配慮することが大切です。
そのためには、丁寧なやりとりを心がけ、患者さんからの信頼を得るようにしましょう。
スタッフとの関係作りが難しい
2つ目は、スタッフとの関係作りが難しいことです。
患者さんと同じように、スタッフも引き継ぐ前と同じ方が勤務することが多くあります。
今まで、引き継ぐ前の先生と築いてきた信頼関係があるため、新しく関わる場合は一から信頼関係を作らねばなりません。
また、方針が変わると働き方が変わる場合もあるため、スタッフが戸惑ってしまう可能性も考えられます。
こちらも、患者さんの場合と同様に、丁寧にやりとりをし、スタッフからの信頼を得るようにしましょう。
時間がかかるかもしれませんが、焦らずゆっくり取り組むことが大切です。
医院継承で起こりやすいトラブル
医療継承では、起こりやすいトラブルが主に2つあります。
- 行政手続きの不備
- 継承後の方針変更により患者・スタッフの減少
1つずつ見ていきましょう。
行政手続きの不備
1つ目は、行政手続きの不備です。
継承前の先生とのやりとりで話がまとまり、継承できることになったとしても、役員変更等の手続きが認められない場合があります。
例えば、継承前に事業報告書や役員重任を出していなかったため、過去の分を提出してから役員変更を求められる事例などが挙げられます。
過去の分がなければ、役員変更等の手続きができなくなってしまうため、そうした手続きを滞りなく行っているのかをあらかじめ確認することが大切です。
継承後の方針変更による患者・スタッフの減少
2つ目は、継承後の方針変更による患者・スタッフの減少です。
先ほども「医院継承のデメリット」で触れましたが、継承前との方針変更があると患者さんもスタッフも離れてしまう可能性が少なくありません。
場合によってはスタッフ全員が退職になるケースもあります。
患者さんの減少は売上に直結し、スタッフの減少は医院運営の質に影響します。
継承がうまくいっても、継承後の医院運営がうまくいかなければ意味がありません。
継承を焦るのではなく、継承後も安定した医院運営ができるように考えながら継承を進めましょう。
医院継承の流れ
医院継承は、以下の4つの流れに沿って進めていきます。
- 開業へ向けた準備
- 継承クリニックの決定
- 継承クリニックとの契約
- 行政手続きの実施
1つずつ見ていきましょう。
開業へ向けた準備
1つ目は、開業へ向けた準備です。
主に以下の事項を中心に準備を進めます。
- 継承希望地や継承希望時期
- 医院のコンセプト決定
- 医院継承の専門家へ相談
- 専門家との秘密保持契約書・仲介契約書の締結
こうした準備を入念に行うことで、後々方針を変更したりトラブルに巻き込まれたりする可能性が減ります。
焦って決めるのではなく、じっくり準備を進めると良いでしょう。
継承クリニックの決定
2つ目は、継承クリニックの決定です。
専門家から紹介された中から、継承に適した医院を複数選定します。
この際、医院名や所在地等は明かられずに紹介される点に注意してください。
もし、医院名や所在地等を明らかにしたい場合は、当該医院に許可を取ることになります。
そして、気になった医院の院長と面談を実施し、自分の求める条件に合致するかどうかを判断します。
面談内容をもとに複数の医院を検討し、1つの医院に絞りましょう。
継承クリニックとの契約
3つ目は、継承クリニックとの契約です。
1つの医院に絞ったら、医院の院長と条件の調整をし、基本合意書を締結することになります。
その後、買収審査により医院が問題を抱えていないのかを調査し、問題がなければ最終条件の調整をした上で最終譲渡契約書を締結します。
最終譲渡契約書の締結が済んだら、契約書のとおりに継承を進め、継承の対価を先生に支払うことで継承は完了です。
行政手続きの実施
4つ目は、行政手続きの実施です。
継承しただけでは開業したことにはなりません。
保健所や地方厚生局に必要書類の提出や必要な申請をすることで開業できるようになります。
書類や申請に不備があると、開業準備に支障をきたす可能性もあるので注意してください。
まとめ
今回は、医院継承について解説しました。
一から集患しなくて済み、初期費用を抑えられるメリットはありますが、スタッフや患者さんとの関係作りが難しいというデメリットもあります。
さらに、手続きの不備等によりトラブルが起きる可能性がある点にも注意が必要です。
これらのメリット・デメリット、注意点を考慮した上で医院継承をするのかどうかを選ぶようにしてください。
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