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AI問診とは? Web問診との違いや導入メリット・デメリットを徹底解説

医療現場のデジタル化が進む中、患者の症状や背景を効率的に把握する「AI問診」が、新しいシステムとして注目されています。

AI問診は人工知能を活用し、患者の回答内容に応じて動的に質問を生成するのが特徴です。

この記事では、AI問診とWeb問診の違いを整理します。また、導入するメリット・デメリットや選定時のポイントについても詳しく解説します。

AI問診とは?

回路基板上の光るaiチップ。

AI問診とは、AI(人工知能)が患者の性別や症状などの回答内容に応じて最適な質問を自動生成し、スマートフォンやパソコンなどで行う事前問診システムです。

AIは機械学習を活用し、過去の問診データや医学論文などの膨大な情報をもとに、患者一人ひとりに合わせて深掘り質問を行います。

AI問診とWeb問診との違い

女性のマネキンがコンピューターの画面を見ている

AI問診とWeb問診の違いは、主に「質問内容の柔軟性」と「情報の深掘り」にあります。

AI問診は、患者の回答内容に応じてAIが次の質問を自動生成し、疑われる病気を推測しながら、最適な質問を深掘りできるのが特徴です。

そのため、患者ごとに異なる症状や背景に合わせて詳細な情報を収集でき、病気を見落とすリスクを減らせます。

一方、Web問診は、あらかじめ設定された固定の質問に患者が回答する仕組みです。

質問内容は事前に決まっているため、患者の症状に応じて動的に質問が変化することはありません。医師はその回答をもとに診断や追加質問を行います。

このように、AI問診は患者ごとに最適な質問を自動生成し、Web問診は決まった質問に答えるという違いがあります。

AI問診のメリット

コンピューターで何かを見せている男性

ここでは、AI問診がもたらす具体的な6つのメリットについて詳しく解説します。

  1. 患者の待ち時間を短縮できる
  2. 患者の心理的負担を軽減できる
  3. スタッフの作業負担を軽減できる
  4. 診療の質が向上する
  5. 問診の個別最適化につながる
  6. 疾患推測による診断補助ができる

患者の待ち時間を短縮できる

AI問診を取り入れると、患者の受付から診察までの流れがスムーズになり、待機時間を短縮可能です。

AI問診では、患者が自宅や院内で事前に症状を入力し、その結果が診察前に医師へ共有されるため、従来の問診よりも効率的に情報収集が進みます。

その結果、病院での問診や診察にかかる時間が短縮され、患者の待ち時間削減につながります。

患者の心理的負担を軽減できる

患者の心理的負担を軽減できる点も、AI問診がもたらすメリットのひとつです。

AI問診は、患者がタブレットやスマートフォンを使用して自分のペースで入力できるため、対面では伝えにくい内容も落ち着いて記入でき、ストレスや緊張感が和らぎます。

さらに、AI問診は一問一答形式で進むため、紙の問診表に比べて記入の手間やストレスが少なく、患者の満足度向上にもつながっています。

スタッフの作業負担を軽減できる

AI問診を導入すると、スタッフの作業負担を大幅に軽減できます。

従来の紙や口頭での問診では、患者への問診票の配布・回収、内容の確認や電子カルテへの転記など、多くの手間と時間がかかっていました。

AI問診では、患者がタブレットやスマートフォンで入力した情報が自動的に電子カルテへ反映されるため、スタッフが問診内容を手動で入力する手間が省けます。

この仕組みにより、受付や事務作業の効率化が進み、スタッフは患者ケアや治療など本来の業務に集中できるようになります。

診療の質が向上する

AI問診を導入すると、診療の質の向上が期待できます。

AI問診は患者の年齢や症状、既往歴などに応じて最適な質問を自動生成し、詳細で整理された情報を医師に提供するのが特徴です。

これにより、伝え漏れや聞き漏れが減り、専門外の疾患も見落としにくくなります。

また、事前に情報が整理されているため、診察時間を有効に使え、より質の高い医療提供につながります。

問診の個別最適化につながる

AI問診のメリットのひとつは、問診の個別最適化につながる点です。

AI問診は機械学習を用いて、患者の年齢や性別、既往歴、症状などに応じて最適な質問を自動生成し、患者一人ひとりに合わせた個別化された問診を実現します。

その結果、関連性の高い質問だけを効率的に深掘りでき、より精度の高い情報収集が可能となります。

疾患推測による診断補助ができる

患者の症状や回答内容からAIが疑われる疾患を推測し、診断補助ができる点も、AI問診のメリットのひとつです。

AI問診では、患者が入力した情報をもとにAIが最適な質問を自動生成し、さらにその回答から複数の疾患候補をリストアップして医師に提示します。

この仕組みにより、医師は専門外の疾患や見落としやすい病気も早期に発見でき、診断の精度向上や診療の質の底上げにつながります。

AI問診のデメリット

白と青のロボット玩具

活用するメリットが多いAI問診ですが、いくつか気になる難点も存在します。

ここからは、AI問診を導入する際に注意したい4つのデメリットについて解説します。

  1. デジタル操作が苦手な患者への浸透に時間がかかる
  2. 設問数が多くなりやすい
  3. 診断の絞り込みが困難になるケースがある
  4. 導入・運用コストがかかる

デジタル操作が苦手な患者への浸透に時間がかかる

AI問診のデメリットのひとつは、デジタル操作が苦手な患者への浸透に時間がかかる点です。

とくにスマートフォンやタブレット、インターネットの操作に不慣れな患者にとっては、AI問診は使いづらく、入力に時間がかかる場合があります。

また、設問が自動生成されて増えるケースも多く、デジタル操作への負担が大きくなるとの指摘もあります。

設問数が多くなりやすい

AI問診では、設問数が増えがちになる点もデメリットのひとつです。

AI問診では、患者の回答に合わせて質問が自動的に追加されるため、症状を詳しく聞き取る過程で設問数が増え、問診の入力に時間がかかる場合があります。

その結果、患者にとって負担となるケースも見受けられます。

診断の絞り込みが困難になるケースがある

AI問診のデメリットのひとつに、診断候補が多くなり、絞り込みが難しくなるケースがある点が挙げられます。

AI問診は患者の回答内容から自動的に鑑別診断リストを提示しますが、その精度は必ずしも高いとは限りません。

稀な疾患や非典型的な症状の場合、診断が誤ったり遅れたりするリスクが指摘されています。

また、AIの提示した診断候補が多すぎる場合や、医師がAIの判断精度を正確に評価できない場合、診断の絞り込みが難しくなるケースもあります。

導入・運用コストがかかる

導入や運用にコストがかかる点も、AI問診のデメリットといえます。

具体的には、タブレットやパソコンなどの機器代、システムのライセンス料、維持管理のためのランニングコストなどが必要です。

また、セキュリティ強化や職員向けの研修など、追加の設備投資や教育コストが発生する場合もあります。

AI問診が適したクリニックの特徴

人の手

AI問診が適したクリニックには、いくつかの共通した特徴があります。

ここからは、AI問診の導入によってより大きな効果やメリットが期待できるクリニックの特性について紹介します。

  1. 専門外の診断補助が必要
  2. 患者ごとに個別最適化された問診を迅速に導入したい
  3. デジタル活用に前向きな患者層が多い

専門外の診断補助が必要

AI問診は、患者の症状や属性に応じて最適な質問を自動生成し、幅広い疾患の可能性を推測できます。そのため、専門外の疾患や幅広い症状に対応する必要があるクリニックに好適です。

患者ごとに個別最適化された問診を導入したい

AI問診は、患者一人ひとりに合わせて質問内容を調整できるため、個別最適化された問診を効率的に実現したいクリニックに向いています。

デジタル活用に前向きな患者層が多い

スマートフォンやパソコンでの入力に抵抗が少ない患者層が多いクリニックでは、AI問診の利便性がより発揮されます。

AI問診システムの選び方

2人の医療専門家が話し合っています。

AI問診には多様な種類があり、クリニックや病院のニーズに合ったシステムを選ぶのが重要です。

ここからは、AI問診システムを導入する際に押さえておきたいポイントを紹介します。

  1. 利用シーン・患者層を把握して選ぶ
  2. 機能面の充実度で選ぶ
  3. 使いやすい操作性で選ぶ
  4. 電子カルテや他システムとの連携を確認する
  5. サポート体制で選ぶ
  6. セキュリティの高さで選ぶ

利用シーン・患者層を把握して選ぶ

AI問診システムの選び方では、利用シーンや患者層を把握して選ぶのが重要です。

たとえば、患者の年齢や症状、既往歴に応じて最適な質問を生成できるAI問診は、幅広い症状や多様な患者層に対応したいクリニックに向いています。

また、デジタル操作が苦手な高齢者が多い場合は、操作性やサポート体制を重視するのがポイントです。

このように、自院の診療方針や患者層に合ったシステムを選ぶと、AI問診導入の成功につながります。

機能面の充実度で選ぶ

AI問診システムを選ぶ際、機能面の充実度は非常に重要なポイントです。

たとえば、以下のような機能が充実していると、診療の質や業務効率の向上につながります。

【主な機能面のチェックポイント】

  • 問診票のカスタマイズ性
  • 電子カルテや予約システムとの連携
  • AIによる質問の最適化・トリアージ機能
  • 多様なテンプレートや多言語対応

自院の診療スタイルや患者層に合った機能が充実しているシステムを選び、AI問診システム導入の効果を最大限に高めましょう。

電子カルテや他システムとの連携を確認する

電子カルテや予約システムなど、既存の院内システムとの連携も大切な選定ポイントです。

連携できるシステムを選ぶと、問診内容が迅速かつ正確にカルテへ反映され、入力ミスや事務作業の負担を減らせます。

自院で使用している電子カルテや予約システムと円滑に連動できるか、導入前にしっかり確認しておきましょう。

サポート体制で選ぶ

AI問診システムの選び方において、サポート体制は非常に重要なポイントのひとつです。

医療現場では、システムの不具合や運用に関する疑問が診療に影響を及ぼす場合があります。

導入時の説明や運用開始直後のサポート、トラブル発生時の迅速な対応が受けられるかを必ず事前に確認しておきましょう。

とくに、24時間サポートや専任担当者によるサポート、チャットや電話での相談体制が整っているシステムは、安心して長く運用できます。

セキュリティの高さで選ぶ

AI問診では個人情報を扱うため、セキュリティ対策が十分に講じられているかも重要な選定基準となります。

セキュリティ対策が不十分な場合、情報漏えいやサイバー攻撃によるリスクが高まるため注意が必要です。

AI問診システムのセキュリティ対策の具体例には、以下のようなものがあります。

【セキュリティ対策の具体例】

  • 通信の暗号化(SSL/TLS)
  • アクセス権限管理
  • 定期的なバックアップと自動削除
  • IP制限
  • セキュリティ監査

上記のような対策がしっかりと取れていれば、AI問診システムの安全性と患者情報の保護が実現できます。

まとめ:AI問診を導入して業務効率化や診療の質向上を図ろう

コンピューターの画面を見ている男女

AI問診の導入は、医療現場の業務効率化と診療の質向上に大きく貢献します。

患者が自宅や待合室で事前に問診を入力できるため、待ち時間や診察時間の短縮、医療スタッフの負担軽減が可能です。

AIが情報を自動整理・抽出し、診断の見落とし防止や精度向上にも寄与します。

本記事を参考に自院に合ったシステムを選び、より良い医療サービスの提供を目指しましょう。