東京でクリニックの開業を考えているが「何をどうしたらいいかも分からない」という方はいらっしゃいませんか?
本記事では、クリニック開業までの流れや必要な費用、東京のクリニック開業事情などについて解説していきます。
多くの人が抱きやすい疑問についても解説しているので、最後までぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
東京でのクリニックの開業パターンとおすすめの形態
ここでは、東京でのクリニックの開業パターンとそれぞれに合ったおすすめの形態について解説していきます。
以下の表では、開業パターンと形態ごとの相性をまとめていますので、参考にしてみてください。
テナント | 戸建て | 医療継承 | |
---|---|---|---|
個人での開業 | 〇 | おすすめ | △ |
医療法人としての開業 | おすすめ | 〇 | おすすめ |
フランチャイズでの開業 | おすすめ | △ | △ |
個人での開業
個人での開業は、自分の名前でクリニックを立ち上げ、すべての運営責任を自分で背負う開業パターンです。失敗した際のリスクがすべて自分にのしかかる反面、自由度が高く、事業計画や経営方針を柔軟に決められます。
個人で開業する場合には、戸建てもしくはテナント物件がおすすめです。戸建てでは、自宅とクリニックを兼用することも可能で、個人での開業と相性が良いでしょう。テナント物件も雑居ビルや商業施設など種類が多く、自分好みの物件を選べるので個人向きです。
ただ、テナント物件の場合は注意が必要です。医療ビルや商業施設の物件は賃料が高い傾向があり、逆に賃料が安い雑居ビルは設備や間取りがクリニックに向かない場合があります。テナント物件を探す場合には、クリニックに適しているかどうか事前によく確認しましょう。
医療法人としての開業
医療法人としての開業は、個人ではなく法人格を取得してクリニックを開業するパターンです。
医療法人は、法人税の活用により節税がしやすく、また社会的信用が高いのが特徴です。ただ、開業までの書類作成や手続きが複雑化してしまうデメリットもあります。
また、医療法人としての開業では、医療継承も検討できます。医療継承とは、閉院予定の医療機関を新しい経営者に引き継ぎ、新たな体制の医療機関として運営することです。医療継承の場合、すでにあるクリニックを引き継ぐので、設備や内装に費用がかからず比較的低コストでの開業が可能です。ただ、継承者を探しているクリニックを見つける必要があり手間がかかるというデメリットもあります。
クリニックの開業支援を行っている会社に依頼することで、継承してくれる相手を探しやすくなるので、ぜひ利用してみてください。
フランチャイズでの開業
フランチャイズでの開業は、美容関係の診療科でよく見られるパターンです。
フランチャイズとは、本部となる企業に加盟し、対価(ロイヤリティ)を支払う代わりに本部のノウハウやブランド力を提供してもらって開業する方法です。クリニックの場合は、医療機関やそのグループに加盟することになります。また、フランチャイズの多い美容系クリニックの場合、他の診療科より法律的な縛りが緩く、自由に物件を選べるのでテナントがおすすめです。
ただし、本部からの支援によって比較的開業しやすいですが、経営の自由度が低く、好きにクリニック運営をしていきたい人には不向きでしょう。
クリニックを開業するまでの流れとスケジュールの目安
ここでは、クリニックを開業するまでの流れと、スケジュールの目安について解説していきます。
事業計画の作成(12~18か月前)
クリニック開業のための最初のステップは、綿密な事業計画の作成です。テナントでの開業の場合は約12か月前、戸建ての場合は約18か月前から準備すると無理なく進められます。
まずは「いつ開業したいのか」と「どういった方針のクリニックにしたいのか」を決定しましょう。開業時期とクリニックの方針が決まったら、以下のような内容を検討し、具体的な事業計画も決めていきます。
- クリニック開業の目的と長期的な目標
- ターゲットにする患者層
- 競合のクリニックの分析
- 開業に必要な費用の試算
- 開業後に見込まれる収支
事業計画はできるだけ念入りに作成することで、資金調達や開業直後の運営に大きく役立ちます。
資金調達や物件・土地の選定(7~12か月前)
事業計画が決まった後、7〜12か月前には、資金調達と物件・土地の選定を始めましょう。
ほとんどの場合、クリニック開業には多額の費用が必要です。自己資金で足りない分は、金融機関や行政の融資制度を利用して調達しましょう。事業計画を綿密に作成しておけば、融資の審査に通りやすくなり、この段階をスムーズに進められます。
またこの時期には、クリニックを開業する物件や土地も決めましょう。物件や土地を選ぶ際のポイントは、主に次の通りです。
- アクセスしやすさ
- 競合クリニックの数
- 診療や治療に十分なスペースがあるか
周囲の利便性や必要な広さを考慮して、クリニックの方針にあった場所を選んでみてください。
内装工事や医療機器の選定(4~6か月前)
クリニックを開業する物件が決まり次第、内装プランを業者と共有し内装工事を進めます。業者を選ぶ際には、医療施設の工事に携わった経験のある会社を選ぶと安心です。思い描いている内装を専門家に相談することで、より利便性とデザイン性に優れたクリニックにできるでしょう。
内装を決めつつ、クリニックに導入する医療機器の選定も必要です。診療科ごとに必要な医療機器は異なりますが、クリニック内のスペースや値段、機能などを考慮して選んでみてください。
開業直後の時期はリースで医療機器を導入すれば、初期費用を抑えられるので、導入の仕方も検討しましょう。
従業員の採用やクリニックの宣伝(1~3か月前)
開業の1〜3か月前頃には、従業員の採用やクリニックの宣伝を始めましょう。
クリニックでは、主に以下のような人材を集める必要があります。
- 看護師
- 受付・事務スタッフ
- 清掃スタッフ
採用にあたって、基本的に求人サイトや人材紹介会社を利用し募集していきます。思うように応募が来なかったり良い人材がいなかったりと、イレギュラーな事態も起こり得るので、募集期間に余裕を持っておくと安心です。
また、新しいクリニックが開業することを地域住民に知ってもらうのも重要です。ホームページやWeb広告、ポスティング、新聞広告などの宣伝を行い、ターゲット層に広く知ってもらえるようにしましょう。
会計・行政手続きやスタッフの研修(1か月前)
クリニック開業の直前の段階まで来たら、会計・行政の手続きを行います。具体的には、保健所への「診療所開設届」と厚生局への「保険医療機関指定申請」の提出が必要です。
この時に行う手続きがもし滞ってしまった場合は、計画通りに開業できなくなるので注意しましょう。
また、採用したスタッフの研修も順次進めていきます。クリニックの理念や方針を伝え、どのようなクリニックを目指しているのかを理解してもらうことが重要です。
さらに、導入した医療機器やシステム、電子カルテなどの使い方も共有し、スムーズに業務を進められる状態を作りましょう。
クリニックの開業に必要な費用
クリニックを開業するためには、一般的に1,500〜8,000万円ほどの資金が必要になります。自己資金が足りない場合は銀行から融資を受けられますが、返済を考えると自己資金はできるだけ多めに用意する方が安心です。そのため、自己資金は少なくとも1,000万円以上は用意しておきたいところです。
反対に、自己資金がほとんどないという場合は、銀行から多額の融資を受けないと開業できません。このようなケースにおいて、多額の融資を受けるには銀行から信頼されることが重要です。信頼を得るためにも、事細かな事業計画書を作成し、クリニックの将来性を明確なものにしておきましょう。
特に都市部のほうは家賃や物価が高く、地方よりも費用がかさむ可能性があります。そのため、東京などで開業する際には計画よりも多めに資金を調達することを心がけましょう。
以下は、クリニック開業の際に必要となる費用一覧です。必要な資金を算出する際には、参考にしてみてください。
- 敷金・礼金・仲介手数料
- 前家賃
- 内装工事費
- 設備費
- OA機器
- 医療消耗品
- スタッフの採用・研修費
- 集患・広告費
- 医師会費
- その他備品等にかかる費用
東京23区内と郊外でのクリニック開業事情の違い
ここでは、東京23区内と郊外でのクリニック開業事情の違いを解説していきます。それぞれのメリット・デメリットについて触れているので、東京でクリニックを開業したい場合はぜひ参考にしてみてください。
東京23区内
東京23区内の特徴の1つは、人口密度が高いことです。商業施設や住宅街が密集しているため、集患が比較的容易な地域になっています。また、公共交通機関の利便性が高く、アクセスしやすい立地に開業できれば、それだけでも多くの患者を取り込めるでしょう。
その一方で、クリニック同士の競争が激しい一面もあります。そのため、他のクリニックに負けないための差別化が重要です。専門性の高い診療科を取り入れたり、医療機器にこだわったりと特徴のあるクリニック作りが必要でしょう。
また、23区内は土地や賃料が高く、開業にかかる費用や維持費用が高額になりやすい特徴もあります。渋谷や新宿などの人気エリアは特に賃料が高いので、失敗しないためにも資金計画や場所選びは慎重に進めるほうが安心です。
郊外
東京郊外は、コストを抑えて広い土地を確保できるのが魅力です。23区内と比べて土地や物件が安いので、開業費用を抑えやすくなっています。
23区内では土地の広さが限られることが多いですが、郊外では十分な土地を活用して駐車場を確保できます。これにより、車で通院したい人を積極的に取り込むことが可能です。
また、クリニック同士の競争が比較的緩いことも23区内との違いです。ただこれにより、人口が少なく患者の数が限られているため、宣伝や地域密着による集患の重要度が高くなっています。
東京でのクリニック開業を支援してくれる会社3選
東京でのクリニック開業を支援してくれる会社は、以下の3つです。開業までの準備に不安がある場合は、ぜひ利用してみてください。
- なの花東日本(メディカルシステムネットワーク)
- 東京医療サポート
- ソリューショングループ
1.なの花東日本(メディカルシステムネットワーク)
なの花東日本は、無料で開業支援をしてくれるので、初期費用を抑えつつ専門家のサポートを受けられるのが魅力です。
またこの会社では、複数の医療機関を1つの施設にまとめることで、集患がしやすくコストも抑えられるメディカルモールやメディカルビルの企画開発をしています。通常の物件に加えて、効率的な経営を可能にするオリジナルの物件も紹介してくれるので、自分の理想に合った物件を探せるでしょう。
2.東京医療サポ
参照:東京医療サポート
東京医療サポートは、200件もの豊富な開業支援実績が強みで、これまでの経験からより多くの選択肢を提案してくれるでしょう。
事業計画の立案や物件探しなどに加えて、書類作成や手続きといった手間のかかる事務作業もサポートしてくれるため、面倒な準備をカットできます。
また医療業界の経験が豊富な会計事務所の紹介も行っており、開業までは無料でサポートしてくれます。開業前に無料で試してから、開業後にもお願いするか決められるので、業者選びに困っている人にもおすすめです。
3.ソリューショングループ
参照:ソリューショングループ
ソリューショングループは、クリニック開業の際に抱きやすい様々な疑問や不安に対応してくれる開業支援会社です。例えば、「患者は集まるのか」や「資金調達はどうしたらいいのか」など、開業に向けて引っかかることは何でも相談できます。
また、一連の開業準備をサポートしてくれるのはもちろん、後継者不足問題に対応した医業継承支援も行っています。後継者を探している医師と開業したい医師の仲介を行っており、それぞれの目的に合った支援提供が魅力です。
クリニック開業の際によくある質問
ここでは、以下のようなクリニック開業の際に生じやすい質問について解説していきます。
- 都市部で医院を開業しても大丈夫ですか?
- 自己資金はどれくらい用意しておけばよいですか?
- 医院の開業場所についてどのように考えればいいですか?
Q1.都市部で医院を開業しても大丈夫ですか?
都市部での開業は、適切な計画と差別化戦略があれば、成功の可能性はあります。
ただ、東京23区内の人気エリアなどでは、競争率があまりにも高くなっているので、一般的にはそういったエリアは避けるのが一般的です。都市部だからといって必ずしも失敗する訳ではありませんが、相当綿密に計画を立てないと成功は難しいでしょう。
Q2.2人で開業しても大丈夫ですか?
2人での開業は可能ですが、揉め事には注意してください。クリニックに限らず、2人以上での経営にはしばしば問題が起こりがちです。
具体的には、2人で運営していると、利益の配分や支出の負担で揉めるケースが多々あります。そういったトラブルにならないように、事前に話し合って利益の分け方や経費の負担について細かく決めましょう。また、決めたことを文書にしておくと、後からまた確認でき、またトラブルも客観的に解決しやすくなるので安心です。
Q3.医師会に入る必要はありますか?
医師会に入ることは、強制ではありません。医師会への加入は、以下のメリット・デメリットやクリニックのコンセプト、診療科などを考慮して判断しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・収入源が増える
・クリニックを知ってもらう機会が増える ・医療の情報が入りやすくなる |
・年会費が高い
・診療以外の仕事が増える |
医師会に入ると、医療業務の委託で学校検診や予防接種の仕事が回ってきます。これにより、クリニックを知ってもらう機会や収入源が増えますが、その分クリニックでの診療以外の仕事は増えてしまいます。
このように医師会への加入には、様々なメリット・デメリットがあるので、クリニック開業の前にはぜひご自身でで詳しく調べてみてください。
まとめ:東京でクリニックを開業してみよう
本記事では、クリニック開業までの流れや必要な費用、東京のクリニック開業事情などについて解説してきました。
開業までの準備は時間もかかりますし、慣れない作業ばかりで一歩踏み出せないという方もいるでしょう。そういった方は開業支援会社を利用することで、開業までのハードルを大きく下げることができます。
東京での開業を支援してくれる会社もあるので、ぜひクリニックの開業を検討してみてください。