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病院と診療所の違いは5つ!それぞれの特徴を簡単に紹介

「病院と診療所はどのような点に違いがあるの?」
「病院と診療所それぞれの特徴が知りたい」

医療機関は、「病院」と「診療所・クリニック」に大別されることが一般的です。

両者は法的には入院設備の数によって区別されていますが、その他にもさまざまな点で違いがあります。

医療機関で働くことを考えている方は、病院と診療所の違いを把握しておかなければなりません。

仕事内容や勤務形態、給与形態にも差があるため、自分の希望に合わせて勤務先を決定する必要があります。

本記事では、病院とクリニックの違いとそれぞれの特徴を解説するので、勤務先を選択する際の参考にしてみてください。

病院と診療所の違い5つ

病院と診療所には、大きく以下の5つの違いがあります。

  1. 医療法で定められた入院可能なベッド数
  2. 医師と看護師の人数
  3. 医療費や紹介状の有無
  4. 役割
  5. 施設の数

医療法で定められた入院可能なベッド数

病院と診療所は、医療法では入院可能な設備の数によって明確に区別されています。

「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
出典:医療法第1条の5第1項

「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
出典:医療法第1条の5第2項

医療法では、「病院」は20人以上の患者を入院させられる施設です。対して「診療所」は、19人以下の患者しか入院不可、もしくはそもそも入院設備がない施設を指します。

診療所は病院とは明確に区別されているため、「〇〇病院」という名前をつけられません。

診療所の開業時は、医療法の規則をふまえて名前をつける必要があります。

医師と看護師の人数

配置すべきスタッフの人数も、病院と診療所で異なるポイントの1つです。

たとえば医療法では、病院に必要なスタッフについて以下のように規定されています。

当該病院の有する病床の種別に応じ、厚生労働省令で定める員数の医師及び歯科医師のほか、都道府県の条例で定める員数の看護師その他の従業者
出典:医療法第21条の1

基本的に、病院に必要な医師は3名以上診療所に必要な医師は1名以上と定められています。

医療費や紹介状の有無

医療費に関しては、病院でも診療所でも、診療内容が同じであれば同額の料金が発生します。

ただし、病院に紹介状を持たずに受診した場合は、診療所との料金は同一ではありません。

急患をはじめとする例外を除き、紹介状なしで病院を受診する場合は特別料金として初診では5,000円、再診では2,500円が上乗せされます。

紹介状の有無によって料金に差が生じるのは、軽症の患者は診療所で診療し、重症の患者は病院で診療するという役割分担を推進するための仕組みです。

役割

病院と診療所は、それぞれ担っている役割が異なります。

病院は緊急搬送や難病や大けがの治療に対応する高度な医療機関です。

対して診療所は、慢性的な疾患や軽い病気の治療に対応する医療機関として機能しています。

施設の数

厚生労働省の調査「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によれば、令和3年10月1日時点での医療施設の総数は「180,396施設」です。

主な内訳は以下の通りです。

  • 病院:8,205施設
  • 一般診療所:104,292施設
  • 歯科診療所:67,899施設

前年比を見ると、病院は33施設減少しているものの、一般診療所が1,680施設、歯科診療所が25施設、全体で1,672の増設がされています。

病院の特徴

病院には、以下3つの特徴があります。

  1. スタッフの人数が多い
  2. 精密検査に適した設備が充実している
  3. 待ち時間が長い傾向にある

スタッフの人数が多い

病院は患者の数が多く、必要なスタッフの人数も診療所より多いです。

スタッフの数が多いため、看護師や医師の分業体制が確立されており、研修制度や教育体制が整備されているのも病院の特徴です。

精密検査に適した設備が充実している

病院は診療所に比べ、精密検査に適した設備が充実しているのが特徴です。

病院は、大けがや重症の病気の診療を担当するため、精密検査を実施するための設備が整っていなければなりません。

主に、マルチスライスCTや胸部X線撮影装置、MRI検査装置など、あらゆる精密機械が充実しています。

待ち時間が長い傾向にある

病院は患者数が多いため、診療所よりも待ち時間が長くなる傾向にあります。

救急患者重症患者を受け入れる機会の多さも、病院の待ち時間が長くなる理由の1つです。

緊急性の高い患者の治療や複雑な治療が必要になることで、診療の順番が前後したり、通常よりも時間がかかったりすることも珍しくありません。

診療所の特徴

診療所には、以下2つの特徴があります。

  1. 地域に密着した診療を行なっている
  2. 軽い症状でも気になれば受診できる

地域に密着した診療を行なっている

診療所は病院に比べて、地域に密着した診療を行っています。

軽い病気やけがの治療はもちろん、健康に関する疑問などに細やかに対応できるのが診療所の特徴です。

そのため診療所は、地域住民のかかりつけ医としての役割を担います。

地域患者の利便性を考慮したアクセスの良い立地や診療所同士の連携もポイントでしょう。

軽い症状でも気になれば受診できる

診療所は、軽い症状であったとしても、気になることがあれば受診しやすい医療機関です。

病院は、大きなけがや病気に対する診療が多いため、軽症での受診に抵抗がある方も多いでしょう。

診療所は、そもそも軽症の患者を診療の対象として想定しているため、些細な違和感や気になることでも診療してもらえます。

病院と診療所で仕事内容に違いはある?

病院と診療所では、以下のような点で仕事内容に差があります。

  1. 分業体制
  2. 教育・研修体制
  3. 忙しさ

病院は規模が大きく診療科目も多いためスタッフの数が多く、分業体制が確立されています。

対して診療所は、診療科目は限定されているもののスタッフの数は少ないため、幅広い業務に対応しなければなりません。

また、病院の方がスタッフが多い分、研修教育体制が整っている傾向にあります。

診療所の方が患者が少ないため、一人一人により丁寧に向き合って対応できるのも、病院と診療所の違いの1つです。

病院と診療所で勤務形態に違いはある?

一般的に、病院と診療所では以下のような点で勤務形態に差があります。

  1. 夜勤の有無
  2. 休日の取得

病院は入院設備があるため、夜勤が発生するのが一般的です。

対して診療所には入院設備がないことも多く、夜勤の必要性はあまり生じません。

また、病院は週末にもスタッフが出勤していなければなりませんが、入院設備がない診療所では、決められた診療日以外はスタッフも休日となります。

病院と診療所で給与形態に違いはある?

病院スタッフの方が診療所スタッフよりも給与が高くなることが一般的です。

「第23回医療経済実態調査」によると、常勤看護職員1月当たりの給与の平均値は、一般病院で「40.4万円」一般診療所では「32.2万円」でした。

参照:医療経済実態調査のデータ分析

病院のスタッフが診療所よりも給与が高い傾向にあるのは、規模が大きく福利厚生も充実しており、夜勤手当がつくことも多いからです。

まとめ:病院と診療所の違いや役割を理解してより良い医院やクリニックを開業しよう

病院と診療所には、従業員の数や紹介状の有無、役割など、違いは多々あります。

特に役割として、病院では入院施設が整っているものの、診療所では充実しているとはいえません。

このように、「病院は入院中心であり、診療所は外来がメイン」といった区分になる方向性で成り立っています。

今後、医院やクリニックの開業を検討されている方は、病院や診療所それぞれの特徴を理解して、より良い経営を目指してください。