キャッシュレス決済はさまざまな利点があることから、さまざまなお店でキャッシュレス決済が導入されています。
しかし、病院ではキャッシュレス決済が普及せず、現金払いが主流となっています。
では、なぜ病院でキャッシュレス決済が普及しないのでしょうか?
今回は病院でキャッシュレス決済が普及しない理由を解説します。
また、記事の後半では手数料を安くする方法やキャッシュレス決済を導入するメリットも解説するので、ぜひ最後までお読みください。
この記事の内容
病院でキャッシュレス決済が普及しない理由
ここでは、病院でキャッシュレス決済が普及しない理由を3つ解説します。
- 手数料が高い
- 入金サイクルが遅い
- 顧客からの要望がない
手数料が高い
1つ目は、手数料が高いことです。
現金払いでは手数料は発生しないため、本来収入になるはずである金額の一部が手数料として取られてしまうことにメリットを感じない医療機関が多くあります。
多くのキャッシュレス決済では2〜3%台の手数料が取られることが多く、特に規模の小さな病院では、手数料が大きな負担となり、経営を圧迫してしまう可能性も考えられます。
そのため、高い手数料を支払うよりも多少不便な現金払いにすることで、経営の悪化を防いでいるのです。
入金サイクルが遅い
2つ目は、入金サイクルが遅いことです。
現金では支払ったその場から入金するため、支払いのタイミングと入金のタイミングにズレがありません。
しかし、クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済では、支払いしたタイミングで入金するのではなく、一定期間の支払いをまとめて入金する形式となっています。
そのため、入金サイクルが遅くなってしまい、資金の余裕がなくなってしまうのです。
資金の余裕がなくなると経営が厳しくなるため、入金サイクルが遅いことも、キャッシュレス決済の導入が進まない理由の1つです。
顧客からの要望がない
3つ目は、顧客からの要望がないことです。
こちらもよく聞かれる意見ではありますが、病院の決済方法について声をあげる方は基本的にいないと考えるのが良いでしょう。
仮に決済方法に関する要望があったとしても、受付での対応や診察内容に対しての要望が多くなるため、必然的に優先順位は下がってしまいます。
しかし、全体の利便性に影響することなので、決済方法の改善をすることで患者の潜在的なニーズを満たせるでしょう。
病院のキャッシュレス手数料は高いのか?
では、本当にキャッシュレス手数料は高いのでしょうか?
先ほども解説した通り、基本的には経営状況が厳しい場合、キャッシュレス決済にかかる手数料の2〜3%が経営に大きな影響を与えます。
そのため、手数料のかかるキャッシュレス決済は導入されにくくなってしまうのです。
しかし、ここにキャッシュレス手数料への誤解があります。
確かに手数料は2〜3%かかりますが、それは「患者の支払う金額」に対してかかるものです。
患者は3割を自己負担する場合が多いため、全体の金額の3割のうちの2〜3%が実際に支払う手数料となります。
計算すると0.6〜0.9%となり、全体の金額の1%にも満たない金額になっていることがわかるでしょう。
そのため、想像よりも手数料が安いと感じた方もいるのではないでしょうか?
このことを念頭に置いたうえで、キャッシュレス決済の導入について検討してみてください。
病院のキャッシュレス手数料を安くする方法
キャッシュレス決済の導入を検討する際、多く議題に上がるのが「手数料が高い」こと。
そんな病院のキャッシュレス手数料を安くするには、以下の3つのサービスを利用する方法が考えられます。
- ORCAMO
- STORES決済
- Uペイ特別料率
1つずつ解説します。
ORCAMO
1つ目は、ORCAMO(日本医師会ORCA管理機構)を利用することです。
ORCAMOでは、日本医師会会員向けにキャッシュレス決済において特別手数料でサービスの提供をしています。
それぞれの手数料は以下の表の通りです。
支払い方法 | 日本医師会会員 | 非会員 |
---|---|---|
VISA、Mastercard | 1.5%(非課税) | 2.46% |
JCB、Amex、Diners | 特別料率(会員サイト参照) | 利用不可 |
交通系ICカード、WAON、nanaco、iD、楽天Edy | 2.53%(税込) | 利用不可 |
なお、「VISA、Mastercard/JCB、Amex、Diners」のクレジットカードが基本プラン、「交通系ICカード、WAON、nanaco、iD、楽天Edy」がオプションであること、クレジットカードは一括払いにのみ対応していることに注意しましょう。
STORES決済
2つ目は、STORES決済を利用することです。
STORES決済では、適用対象の医療業種の場合に特別な決済手数料が用意されています。
通常のクレジットカード決済手数料は3.24%〜のところ、特別な決済手数料では1.50%〜での提供。
適用対象の医療業種については、こちら『医療向け特別プランの対象外となる業種』からご覧ください。
なお、電子マネー決済、QRコード決済(WeChat Pay)は通常の決済手数料になる点には注意しましょう。
Uペイ特別料率
3つ目は、Uペイ特別料率を利用することです。
医療店舗向けに特別手数料を導入しており、「VISA、Mastercard」は1.9%、「JCB、Amex、Diners」は1.9%〜の手数料で利用が可能です。
対象となる医療店舗は「医療法第一条の5に定める病院または診療所、即ち医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所」(引用:「医療店舗向け特別科率キャンペーン」)となっています。
病院でキャッシュレス決済を導入するメリット
病院でキャッシュレス決済を導入するメリットは、主に以下の3つです。
- 差別化につながる
- 待ち時間の削減
- 非接触で支払いが簡潔
1つずつ解説します。
差別化につながる
1つ目は、差別化につながることです。
未だにキャッシュレス決済を導入していない医療機関は多くあります。
一方、クレジットカードやスマホ決済のみで買い物を済ませる人は増えているため、現金払いのみの医療機関は避けられる傾向にあるでしょう。
そのため、キャッシュレス決済が使えるだけで選択肢に入る可能性が十分に高いのです。
せっかく患者になってくれる可能性がある人を逃さないために、キャッシュレス決済を導入しましょう。
待ち時間の削減
2つ目は、待ち時間の削減です。
待ち時間が増えてしまう原因に、診察後の「支払い待ち時間」が長いことが挙げられます。
JCBによる検証では、現金払いよりもクレジットカード払いの方が16秒早いという結果が出ています。(※)
少しでも待ち時間を減らすためには、キャッシュレス決済を導入して、素早く支払いが終えられるようにしましょう。
(※参照:決済速度に関する実証実験結果)
非接触で支払いが完結
3つ目は、非接触で支払いが完結することです。
2020年の新型コロナウイルスの感染拡大以降、接触回数を減らす取り組みが各所でされています。
現金での支払いだと、現金を受け渡す際に直接的、あるいは間接的に接触機会が発生します。
一方、キャッシュレス決済であれば、自身でカードを挿入したりスマホを操作したりするだけで支払いが完結するため、接触回数を減らせるのです。
接触回数が減らせると、院内での感染拡大が起きにくくなるため、キャッシュレス決済を導入しましょう。
まとめ
今回は病院でキャッシュレス決済が普及しない理由を解説しました。
高い手数料や遅い入金サイクルは、キャッシュレス決済の種類によっては解決されることが多くあります。
必ずしも高い手数料を取られたり入金サイクルが遅かったりするわけではないので、ぜひチェックしてみてください。