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歯科医院必見のハンドピースの基本!種類と滅菌処理についても解説

歯科治療に必要不可欠なハンドピースにはさまざまな種類があり、使い分けが必要です。

適切に使わないと、不衛生なまま使い続けたり消耗が激しくなったりと、歯科医院の経営にリスクをもたらすことにもなりかねません。

この記事では、ハンドピースの種類やおすすめメーカーを解説しています。滅菌処理についても詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。

歯科医院に必須のハンドピースとは?

歯科ハンドピースの画像

歯科ハンドピースは歯を削る際に使用される歯科器具で、ダイヤモンドのバーを高速で回転させて虫歯や歯垢を除去します。

動力の違いによって、エアータービンとマイクロモーター(エンジン)の2タイプに分かれます。

エアータービンは、圧縮空気によってタービンを回転させる仕組みで、風車のような原理です。高速回転するローター(回転羽根)によって、ダイヤモンドのバーが回転し、歯を削ります。

回転数は、1分間に約30万回〜50万回と非常に速く、高い切削能力で振動が少ない点が特徴です。

マイクロモーターは、小さな電動モーターを回転させることで動作します。

エアータービンと比べて速度はやや遅く、音が静かなのが利点です。 回転数は1分間に約100〜40,000回で、コントラアングルハンドピースの種類により80〜200,000rpmにまで減速・増速が可能です。

直型、曲型、倍速コントラアングルなど、歯の位置や形により使い分けられます。

歯科治療に欠かせないハンドピースは5種類

歯科医の画像

歯科で使用されるハンドピースの主な5種類を解説します。

  • エアータービン
  • 等速コントラアングル
  • 5倍速コントラアングル
  • ストレート
  • プロフィーコントラアングル

エアータービン

エアータービンは、1分間に約30万〜50万回という高速回転が特徴です。

エアータービンは、主に天然歯や技工物の切削に使用されます。虫歯部分の切削や咬合調整など、高速で正確な作業が求められる場面で活躍します。

注水しながら使用することで切削時に発生する摩擦熱を弱め、目詰まりを防ぎます。

エアータービンのデメリットとして、トルクが弱いことが挙げられます。強い圧力をかけると回転が停止してしまうため、慎重な取り扱いが必要です。フェザータッチ(軽い圧)での使用が推奨されています。

作動するとキーンという超音波音がするので、治療時の患者の精神的負担が増す可能性があります。

等速コントラアングル

等速コントラアングルは、マイクロモーター(歯科用電気エンジン)で回転するため一定の回転数で確実な切削が可能なハンドピースです。

回転数は1分間に100〜40,000回とエアータービンよりも遅いものの、低回転でも十分なトルクが得られるのが特徴です。

歯髄周囲の象牙質の除去や、治療の仕上げ研磨、根管形成などに幅広く使用されます。

5倍速コントラアングル

5倍速コントラアングルはマイクロモーター(歯科用電気エンジン)で駆動し、通常のコントラアングルハンドピースよりも5倍の速さで回転します。

虫歯や銀歯の除去用バーを取り付けて使用され、硬いものを削る際に特に適しています。

治療中の静寂を保てるのが特長で、キーンという高周波音が発生せず患者への負担を軽減します。

また、ヘッドサイズが小型化されており、臼歯部などへのアクセスがスムーズに行えます。

ストレート

ストレートハンドピースは、まっすぐな形状で主に技工物の切削・研磨や補綴物の研磨など、口腔外で使用するハンドピースです。

たとえば、セラミック、銀歯、入れ歯といった技工物の調整や加工に利用されます。

カーバイドバーや研磨用バフなど、比較的大きめのバーをストレートハンドピースに装着することで、広い範囲を効率的に処理します。一方で、小型のヘッドサイズもあり、臼歯部の処理にも使えます。

プロフィーコントラアングル

プロフィーコントラアングルは、歯石を効果的に除去するために設計されていて、専用のチップやヘッドを装着し歯のクリーニングや歯面清掃・ステイン除去に使用されます。

ヘッドが小型化されていて、歯の細かい領域や歯周ポケットなどへのアクセスがしやすくなっているのが特徴です。

歯面清掃や歯石除去の際に細やかな操作が求められるため、プロフィーコントラアングルは低回転数で動作します。

歯科治療のハンドピースメーカーおすすめ5選

義歯を削る画像

歯科治療で使うハンドピースのおすすめメーカーを5社紹介します。

  • Kavo
  • 株式会社ビーエスエーサクライ
  • ヨシダ
  • オサダ
  • タカラベルモント

Kavo

KAVO出典:カボ プランメカ ジャパン株式会社

会社名 カボ プランメカ ジャパン株式会社
所在地 〒140-0001
東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー15F
ハンドピースの種類(シリーズ) マスター
エキスパート
サービス(アフターフォロー) アフターセールスサービス部門に送付し修理後返送
公式サイト https://www.kavo.co.jp/about

KaVo(カボ)は、歯科診療機器の分野で世界的に知られるドイツのメーカーで、100年以上の実績があります。

KaVoは、世界初の滅菌できる歯科用ハンドピースを開発しました。「マスター」と「エキスパート」の2つのシリーズでタービンを製造しています。

これらのハンドピースは芯ブレが少なく、高い操作性を実現しています。静音設計がなされており、患者に負担をかけにくいのも特徴の一つです。

株式会社ビーエスエーサクライ

株式会社ビーエスエーサクライ出典:株式会社ビーエスエーサクライ

会社名 株式会社ビーエスエーサクライ
所在地 〒468-0022
名古屋市天白区高島一丁目117番地1
ハンドピースの種類(シリーズ) C.C Strips シーシーストリップス
ストリッピング専用コントラハンドピース CGM-13V
サービス(アフターフォロー) 要問い合わせ
公式サイト https://www.bsa-sakurai.co.jp/

B.S.Aサクライは、歯科用品・歯科材料・歯科技工材料を扱う日本の企業です。

B.S.Aサクライが販売している「BAアルティメット」は、イギリスに本社を置く、ハンドピース販売/修理の欧州大手企業B.A.Internationalのドイツ製5倍速コントラです。

軽量で小型ヘッド、高い技術力で実現した小型ヘッドは、口腔内での高い使用感を実現しています。

ヨシダ

株式会社ヨシダ出典:株式会社ヨシダ

会社名 株式会社ヨシダ
所在地 〒110-8507
東京都台東区上野7-6-9
ハンドピースの種類(シリーズ) YWハンドピース
キュアオール ハンドピース
プロフィーコントラハンドピース
サービス(アフターフォロー) 電話
メール
訪問
公式サイト https://www.yoshida-dental.co.jp/

日本で最も古い歯科機械メーカーの一つであるヨシダは、ハンドピースからユニット、画像診断機器、レーザー機器まで広範な製品を手がけています。

「EXタービン」などは、軽量でありながら低コストにこだわり、さまざまなニーズに対応するラインアップが魅力です。

他にもYWハンドピースやキュアオール ハンドピース、プロフィーコントラハンドピースなど多様なラインナップを誇っています。

オサダ

長田電機工業株式会社出典:長田電機工業株式会社

会社名 長田電機工業株式会社
所在地 〒141-8517
東京都品川区西五反田5丁目17-5
ハンドピースの種類(シリーズ) CAG01
CAG02
WG-99LT
サービス(アフターフォロー) サービス(アフターフォロー)
公式サイト https://www.osada-electric.co.jp/dental/index.html

オサダのハンドピースには、軽量で持ちやすい形状にこだわり、音の静かさとパワーを両立させた高性能なラインアップがあります。

また、マイクロエンジン​​が含まれており、操作性のよい重量バランスと安定した切削感が得られるように設計されています。

コントラハンドピースは、ワンピースタイプで握りやすい形状になっており、プレスチャック式でバーの着脱をスムーズに行うことができます。

また、最新のハンドピース(ISO対応)は、ワンピースタイプで握りやすい形状になっており、Gモータ以外にもISO規格に対応したマイクロモータへの装着が可能です。

タカラベルモント

タカラベルモント株式会社出典:タカラベルモント株式会社

会社名 タカラベルモント株式会社
所在地 〒542-0083
大阪府大阪市中央区東心斎橋2-1-1
ハンドピースの種類(シリーズ) DA-320KV
N-5シリーズ
KaVo マスタートルク M9000L
サービス(アフターフォロー) コールセンター
全国20か所以上の営業所
公式サイト https://www.takara-dental.jp/

タカラベルモント株式会社は、サロン設備機器や医療設備機器の開発および製造、販売を行う会社で歯科用ハンドピースも取り扱っています。

歯科用ハンドピースの種類は治療用モーター・コントラアングル、タービン、カップリングなどです。「小型ヘッドサイズ」「プッシュボタン式/チャック式」「3点注水スプレー」「サックバック防止機能」など必要な機能が搭載されています。

歯科医院におけるハンドピースの減菌問題

手を洗う画像一部の歯科医院で、ハンドピースの滅菌処理が不十分なことが問題になっています。

ハンドピースは精密機器であり、1本あたりの価格が10〜20万円する上に、複数所有するためコストがかかります。滅菌処理のコストを軽減しようとする歯科も存在するのです。

また、一部の歯科医院では、滅菌処理が過度に行われるとハンドピースの故障が増加するとの信念が広まっています。これは、滅菌処理によってハンドピースの内部構造や潤滑部品が劣化しやすくなるという誤った認識に基づいています。

歯科医院におけるハンドピースのメンテナンス・滅菌工程

抜糸の道具

歯科用ハンドピースのメンテナンス工程を4ステップで詳しく解説します。

  1. 洗浄する
  2. 注油する
  3. 滅菌する
  4. メンテナンスする

洗浄する

使用後は、ハンドピースを器具から取り外し、ハンドピースの外部に付着した血液やタンパク質などの汚れを流水で洗浄して消毒します。

ハンドピースによって洗浄方法が異なるため、メーカーの取り扱い方法に従ってください。超音波洗浄機を使用するかどうかも、器具の仕様によります。

注油する

ハンドピースの稼働部分や歯車などは高精度で構成されており、スムーズな動作を維持するためには注油が必要です。注油は、部品の摩擦を軽減するために必要な工程です。

また、ハンドピース内部に侵入する菌や汚れの付着を防ぐ効果もあります。

ハンドピース用の自動注油装置が各メーカーから販売されており、導入すると注油作業にかかる時間や手間を大幅に削減できます。

自動注油装置は、一定の周期でハンドピースに必要な分だけ油を供給する仕組みです。一貫性のある注油が行われ、ハンドピースの寿命や性能を向上できるのがメリットです。

滅菌する

ハンドピースの滅菌は、滅菌機を使用して行います。

滅菌機の滅菌力は、N、S、Bの3つのクラスに分類されます。ハンドピースの滅菌においては、特にクラスSかBが必要です。

滅菌作業中にも治療を進めるために、滅菌待ちのハンドピースの代替となる器具を複数用意しておくことが大切です。

滅菌機の種類により滅菌時間が異なるため、短時間で滅菌が完了する滅菌機を使用するのがおすすめです。時間コストを軽減できれば複数のハンドピースを用意する手間やコストも抑えられるでしょう。

メンテナンスする

ハンドピースを使用している際に異音や振動、動作の不安定性を感知した場合、速やかにメンテナンスを行います。

ハンドピースの内部部品は消耗品であり、時間の経過とともに性能が低下していきます。異常が続く場合や定期的な点検の結果、部品の交換が必要な場合は、買い替えの検討も必要です。

ハンドピースの部品交換は一部セルフで行うことができるので、サポートコストを抑えたい場合は自身で行ってみるといいでしょう。

ただしメーカーの指示に従い、安全な手順で行うことが大切です。

まとめ:歯科医院のハンドピースは消毒・滅菌・メンテナンスを徹底しよう

歯科医院の光景

歯科治療において、ハンドピースは治療内容に応じて使い分けが必要な重要な機器です。しかしこれらは消耗品であり、数年ごとの買い替えが欠かせません。

ハンドピースのコストを削らず、メーカーの指示に準じた正しい使用方法を守ることが性能維持と長寿命につながります。

また、滅菌処理も怠らず行うことで、患者の安全性を確保し、感染症のリスクを最小限に抑えることができます。

歯科医院においては、患者の信頼を得るためにも清潔で安全な環境づくりが不可欠です。

定期的なメンテナンスや買い替えの計画も立てて、コストを抑えて正しくハンドピースを使用しましょう。