インプラント周囲炎の原因・症状とは?

インプラント周囲炎(インプラントシュウイエン)の原因

インプラントの周囲に炎症が生じるものをインプラント周囲炎と呼ぶ。インプラント周囲炎の主な要因は、細菌性の歯垢(プラーク)が溜まり、歯周病菌が歯肉とインプラントの境目から侵入することによって起こると見られている。インプラントと自分の歯(天然歯)の大きな違いは、歯根膜の有無にある。天然歯は周囲の骨との間に歯根膜を挟むが、骨と直接くっついてるインプラントにはそれがないため、天然歯に比べて炎症が起こりやすい傾向がある。

インプラント周囲炎(インプラントシュウイエン)の症状

インプラント周囲炎の初期段階(インプラント周囲粘膜炎)では自覚症状(痛み)はほぼないが、歯ぐきが腫れるなどの症状が徐々に散見されるようになる。炎症が歯槽骨にまで及ぶと歯ぐきからの出血が見られるようになり、膿が出てくるようになる。この状態までいくと歯槽骨が破壊され、最終的にインプラントが抜け落ちることもある。

インプラント周囲炎(インプラントシュウイエン)の治療

インプラント周囲のセルフケアと歯科医院でのメンテナンスが必須となる。症状が進めば抗生物質が適用されることもあるが、進行を抑制するには外科的にインプラント体の周囲を直接除菌・清掃する処置が行われる。

【受診科目】

  • 歯科
  • 歯科口腔外科

6人の医師がこの病気について述べています

歯科医師に聞いた
インプラント周囲炎の原因・症状・治療方法

6件中 1 ~6 件を表示

インプラントは治療後のメンテナンスこそが大事

インプラント治療を行った後にインプラント体が歯周病と同様の症状を引き起こすことがあります。これをインプラント周囲炎といい、歯ぐきの腫れや痛みなどの症状がみられるほか、歯ぐきから膿が出ることもあります。原因としてはお口の清掃不良やインプラントに過度な負荷がかかっていることなどが挙げられ、顎の骨の量が十分でないところにインプラントを埋入した場合にインプラント周囲炎を発症しやすいとされます。

最近はインプラント治療の症例数が増加傾向にあり、これに伴ってインプラント周囲炎を発症する患者さんも増えているといわれます。インプラント治療を受けられた場合は毎日の歯磨きをしっかりと行い、歯科医院で定期的なメンテナンスや嚙み合わせのチェックを受けるようにしましょう。

山崎 新 院長

和光市歯科

山崎 新 院長

  • 和光市/丸山台/和光市駅
  • 歯科 ●小児歯科 ●矯正歯科 ●歯科口腔外科

インプラント周囲粘膜炎の段階で適切なケアをすることが大切

インプラントがむし歯になることはありませんが、歯周病(インプラント周囲炎)のリスクは残ります。自分の歯であれば血流がありますので免疫がありますが、金属の塊であるインプラントには当然それがありません。むしろ免疫が働かないために、自分の歯よりも歯周病のリスクは高まると考えていいでしょう。
インプラントの周囲に菌がたまり、蓄積していくと、やがて炎症を起こして腫れを伴い、インプラントの周囲の骨が溶け、最後にはグラグラと不安定な状態となります。通常、病気の進行はゆっくりとしたものですが、中には急性的に進んでいくケースもあります。菌が入って腫れてしまっているわけですので、その場合には痛みも伴いますし、触ると出血したり、膿が出ることもあるのです。
インプラントは、骨の中に入っている下部構造と、歯ぐきの上に出ている上部構造とに分かれます。周囲炎であることが認められれば、上部構造を外し、インプラント本体だけの状態にして徹底的に汚れを取り除き、洗浄を行います。これにより、改善を図っていくのです。
インプラント周囲炎という言葉はメジャーになりましたが、その前段階としてインプラント周囲粘膜炎という病態があります。この段階で手を打つことが大切で、定期的なメンテナンスによって早期に発見し、セルフケアを含めたケアを行うことが重要になってきます。

荒川 英之 院長

黒川@歯科(黒川アット歯科)

荒川 英之 院長

  • 川崎市麻生区/黒川/黒川駅
  • 歯科 ●小児歯科 ●矯正歯科

周囲炎のリスクは、インプラントを入れた時から始まる?

インプラント体(人工歯根)の周囲に細菌感染が起こり、炎症が継続している状態をインプラント周囲炎と言います。インプラント周囲炎を防ぐには、常日頃のメインテナンスも重要ですが、実はそのリスクは、インプラントを入れた時から始まっているのです。インプラントの多くは上部・下部の2構造となっていますが、この上部(アパットメント)と下部(インプラント体)の連結面に生じた目に見えない間隙をマイクロギャップと言い、ここに微小な動き(マイクロモーション)が起こることで細菌が侵入し、炎症を引き起こすと言われています。
マイクロモーションを防ぐには、インプラントを埋入する位置が重要です。例えばですが、余りに頬の側に寄っていたり、逆に内側に寄っていたりすると、マイクロモーションを引き起こすことになります。また、インプラントの種類も重要です。アパットメントの形状はメーカーにより様々です。一概に言えませんが、歴史ある、世界的なメーカーのインプラントはマイクロギャップに留意した設計がなされています。インプラント治療を考えられた際には、そのあたりも判断基準にしていただくのがよいでしょう。

島田 惇平 院長

BLISS歯科・矯正歯科クリニック金町(ブリス歯科)

島田 惇平 院長

  • 葛飾区/東金町/金町駅
  • 歯科 ●矯正歯科

発症させないことを第一に考え、治療前・治療中・治療後の3つのフェーズで包括的に治療計画を立てることが重要

インプラント周囲炎は天然歯でいう歯周炎に相当します。天然歯との大きな違いは、インプラントは人工物のため、炎症に対しての防御機構が天然歯と比較して弱く、進行が早い傾向にあります。現在インプラントの10年生存率は90%以上と言われておりますが、インプラント周囲炎の罹患率は軽度なものを含めると80%という論文の報告もあります。原因は宿主因子と環境因子がありますが、治療計画の段階から発症させないように環境因子について考えることが発症の予防につながります。治療後も長期的な安定のために、患者さん本人によるセルフケアをしっかり指導させていただくことと、専門的な歯科衛生士によるメンテナンスが重要です。骨吸収を伴うインプラント周囲炎を発症してしまったら、外科的な処置が必要なケースが多いので、一度専門機関にご相談ください。

勝見 吉晴 院長

かつみ歯科クリニック

勝見 吉晴 院長

  • 木更津市/金田東/厳根駅
  • 歯科 ●小児歯科 ●歯科口腔外科 ●矯正歯科

自分の歯(天然歯)以上にケアとメンテナンスが必要

インプラント周囲炎は、歯を失った部分に入れたインプラントに起こる炎症で、天然歯の歯周病と似た経過をたどります。天然歯には歯根膜というバリア機構があり、細菌の侵入をある程度防ぎ、炎症が起きても再生の余地があります。しかしインプラントはチタン製のボルトで骨と直接結合しており、歯根膜がないため、細菌が侵入すると骨に直接ダメージが及び、進行が早く治療も難しくなります。そのため、天然歯以上に気づきにくく、症状が出た時には深刻な状況になっていることも少なくありません。症状が進行してインプラントがぐらつく場合は、骨との結合が失われた状態であり、回復は難しく、処置が必要となることもあります。こうしたリスクを避けるためには、毎日のセルフケアに加え、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。インプラントは一生ものとして口の中に残る大切な存在だからこそ、予防と管理の重要性をしっかり理解しておくことが大切です。

小島 康佑 院長

みなとみらい小島歯科クリニック

小島 康佑 院長

  • 横浜市西区/みなとみらい/みなとみらい駅
  • 歯科 ●矯正歯科 ●小児歯科 ●歯科口腔外科

「予防」と「早期発見」の重要性

インプラント治療に日々携わる中で私が強く感じているのは、治療後のメンテナンスこそがインプラントを守る最も重要なポイントだということです。インプラント自体はむし歯にはなりませんが、細菌によって歯ぐきに炎症が起き、歯周病と同じ経過をたどることがあります。これがインプラント周囲炎で、歯ぐきの腫れ・出血・痛み、膿が出るといった症状が見られ、進行するとインプラントを支える骨が溶けてしまうこともあります。インプラントには血流がないため免疫が働きにくく、天然歯よりも細菌の影響を受けやすいという点は、臨床でもはっきりと感じます。
周囲炎には前段階となる「インプラント周囲粘膜炎」があります。この段階ではまだ骨の破壊は起こっていないため、早期の介入で十分に改善が可能です。私が患者さんに最も大切だとお伝えしているのは、この粘膜炎のうちに気付くことです。定期メンテナンスでプラークやバイオフィルムをしっかりと除去し、ご自宅でのケア方法を見直すことで、症状が落ち着くケースは多くあります。軽い腫れや違和感の段階で受診していただけるかどうかが、大きな分かれ道になります。
周囲炎まで進行した場合には、より徹底した処置が必要です。私が行う治療としては、まずインプラントの上部構造(被せ物)を外し、インプラント体のみの状態にしたうえで徹底的な洗浄と消毒を行います。専用のチタン用器具やプラスチック製のキュレットを使い、インプラント表面に付着した汚れ・バイオフィルムを可能な限り除去します。必要に応じて抗菌薬の局所投与や、洗浄剤による細菌量のコントロールを行い、炎症の鎮静を図ります。骨の吸収量が大きい場合は、状態によっては再生療法を検討することもありますが、早期発見できればそこまで進まずに管理できることが多いです。

歯科医師として実感しているのは、「治療」よりも「予防」と「早期発見」のほうがはるかに大切だということです。丁寧なセルフケア、噛み合わせのチェック、そして歯科医院での定期メンテナンス。この3つを継続していただければ、インプラントは長期間安定して機能します。治療後の過ごし方こそが成功を左右するという考えは、今後も患者さんにしっかりお伝えしていきたいと思っています。

古賀 瞭 院長

江戸川橋駅前こが歯科

古賀 瞭 院長

  • 文京区/関口/江戸川橋駅
  • 歯科 ●矯正歯科 ●小児歯科 ●歯科口腔外科
1 PAGE  11 1