慢性甲状腺炎[橋本病]の原因・症状とは?
慢性甲状腺炎[橋本病](マンセイコウジョウセンエン)の原因
体質や遺伝的要素が関与しているとみられている。自己免疫疾患のひとつ。
慢性甲状腺炎[橋本病](マンセイコウジョウセンエン)の症状
甲状腺が腫れ、のどに圧迫感や異物感を感じる。通常は甲状腺の腫れ以外の症状(痛みや熱など)をともなうことはない。
慢性甲状腺炎[橋本病](マンセイコウジョウセンエン)の治療
甲状腺機能が低下している場合は、甲状腺ホルモンを服用する。
【受診科目】
- 内分泌内科
- 代謝内科
- 内科
※2人の医師がこの病気について述べています
医師に聞いた
慢性甲状腺炎[橋本病]の原因・症状・治療方法
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慢性甲状腺炎(橋本病)は20代~50代の女性に多く、不妊の原因にもなる
慢性甲状腺炎(橋本病)は体の中の自己免疫、甲状腺ホルモンが下がる病気です。原因はあまりなく、生まれつきの体質が影響し、ご家族によっては遺伝的に罹りやすい体質かどうかも関係します。年齢は20代~50代の女性に多い病気で、不妊の原因にもなるため、妊娠を考えている方の中で不妊の背景には、慢性甲状腺炎(橋本病)であることも。
甲状腺は代謝をつかさどるホルモンなので、甲状腺が出なくなることで体の代謝が悪くなり、汗をかかなくなったり、体重が増加したり、コレステロールの数値が悪くなったりします。そのため症状は、脈が遅くなったり、眠気が出たり、体重の増加、足のむくみ、認知症のように頭の回転が悪くなったり、脂質異常症にもなったりします。脂質異常症はよくある病気で、慢性甲状腺炎(橋本病)が隠れていることもあるのです。
治療法は採血してもらい、ホルモン投与、投薬すると改善されます。高齢者の方で急に認知症のような症状が出て意欲がなくなりますが、甲状腺のホルモンを補充すると治ることもあります。甲状腺機能が戻ることはないので、チラーヂン(甲状腺ホルモン剤)を補充して、うまくコントロールしていくことになるでしょう。
予防法はなく、何かに気をつければ罹らないという病気ではありません。ですから、慢性甲状腺炎(橋本病)を疑ってきちんと調べることが非常に大切です。
おばな内科クリニック
川名部 新 院長
- 川崎市中原区/上新城/武蔵新城駅
- 内科 ●糖尿病内科
その人にとっての最適な状態を探るオーダーメイド医療が求められる
【蛭間 重典 院長】
橋本病は成人女性の10人に1人はいるとされる、非常に身近な自己免疫性疾患です。ゆっくりと甲状腺が破壊され、最終的に甲状腺機能低下症へと至りますが、その経過や症状の出方には大きな個人差があります。
一般内科では「TSHやFT4を基準値内に保つこと」が治療目標とされますが、実際にはそれだけでは不十分なケースが少なくありません。特に甲状腺が萎縮しホルモン分泌が失われている症例では、単に基準値内に収めるだけでは疲れやすさや落ち込みやすさなどの症状が残り、やや過剰にホルモン補充をすることで初めて体調が安定することも報告されています。「検査値の正常」と「本人の最適値」は必ずしも一致しないという点が重要です。
一方で高齢者においては事情が異なります。甲状腺ホルモンを若年者と同レベルまで補充し代謝を高めることが必ずしも有益とは限らず、やや代謝が低めの状態を許容することが省エネモードとして長寿につながる可能性が示唆されています。年齢に応じた“適切な不足”という視点もまた重要です。
妊娠と甲状腺に関しても近年考え方は変化してきています。従来は橋本病の方が妊娠を希望する場合、TSH<2.5 μIU/mLを維持することが目標とされてきました。2026年時点での最新知見では、流産を繰り返していなければTSH<4.0 μIU/mL程度で十分であり、過度な治療介入を避ける個別化医療が進んでいます。
さらに、レボチロキシン(チラーヂンS)単独の補充では十分な症状改善が得られない患者において、リオチロニン(チロナミン)併用が有効となるケースも一定数存在します。どのような人に対して有効なのかを検討するため、2025年には日本甲状腺学会の臨床重要課題に選定されました。
このように、70年以上の歴史を持つ甲状腺ホルモン補充療法であっても、その最適化は単純ではなく、年齢・妊娠・体質といった多面的な要素を踏まえた調整が求められます。橋本病の診療は「数値を合わせる医療」ではなく、「その人にとっての最適な状態を探る医療」であり、専門性の差がそのまま患者さんの生活の質に直結する領域と言えるでしょう。
ひるま甲状腺クリニック 蒲田
蛭間 重典 院長 & 真梨乃 副院長
- 大田区/西蒲田/蒲田駅
- 内分泌内科