石垣 泰則 院長
YASUNORI ISHIGAKI
患者さんが人生を全うできるように
訪問診療でサポートしたい
順天堂大学医学部を卒業後、同大学脳神経内科の医局でキャリアを積み、1990年に地元である静岡に『城西神経内科クリニック』を開業。さらに、2009年に「本郷三丁目駅」より徒歩5分の場所に『コーラルクリニック』を開く。
石垣 泰則 院長
コーラルクリニック
文京区/本郷/本郷三丁目駅
- ●訪問診療
- ●内科
- ●脳神経内科
- ●脳神経内科
- ●リハビリテーション科
- ●リハビリテーション科
若くして開業したことで出会った在宅医療
初めから在宅医療に携わっていたわけではなく、もともとは地元静岡で神経内科を営んでいました。医学部生時代に脳神経の分野に興味を持ち、卒業後はそのまま順天堂大学病院の脳神経内科に勤務。33歳のときに『城西神経内科クリニック』を開院しました。ただ、開業するにはかなり若かった(笑)。30代前半なんて医者としてはまだまだ駆け出しの、言ってみれば半人前の状態ですから、周りからも無謀だと言われる始末で。何より自分自身、力不足を感じる日々が続いたわけです。このままではマズイ。もっと自らの見識を広げようと、開院しながらも積極的に学会や勉強会に参加するようになりました。そこで出会ったのが当時、在宅医療を推進していた佐藤智先生(「日本在宅医学会」前会長)、そして在宅医療というジャンルでした。先生の影響から在宅医療に取り組むことを決めた私は、静岡の病院に訪問診療を取り入れました。1994年のことです。本郷で在宅医療を始めたのは、それから15年後、50歳を過ぎようやく静岡の在宅医療が軌道に乗ってきたタイミングでした。静岡の病院で一緒に在宅医療に取り組んでいた順天堂大学の先生から、順天堂大学脳神経内科でも在宅医療を展開していきたいと相談を受け、2009年に当院を設けました。
地域と病院をつなぐ訪問診療
『コーラルクリニック』は神経疾患を専門とした訪問診療を行っている病院です。在宅医療の分野では、一般的に総合医療を提供している医療機関がほとんどですが、当院は患者様の多くがパーキンソン病などの神経難病、もしくは認知症の方で、その専門性が大きな特徴でもあります。当院の訪問診療を利用する場合には3つのルートがあります。一つがホームページなどをご覧になった患者さんからの直接申し込み。もう一つが医療連携室も含めた医療機関からの紹介。そして最後が現場のケアマネージャーさんからの紹介です。開業当初は、他の病院から患者さんを紹介されるケースが最も多かったのですが、当院の訪問診療が知られるようになってからは、ケアマネージャーさんからの依頼が増えてくるようになりました。例えば、認知症のひどい方がいて、身内の方も介護に疲弊していて、医療機関も近くにないから困っていると相談されることがあります。どこの医療機関につなげていいかわからないケアマネージャーさんが、認知症に関して『コーラルクリニック』が有名だからということで頼ってきてくださいます。今では申し込みの7割がこうしたケアマネージャーさんからの依頼になっています。一方で患者さんをこちらから他の医療機関へ紹介することもあります。その意味では、訪問診療は地域と大きな医療機関をつなげるという役割もあると感じています。
治らない病気を家で治すということ
在宅医療の本質は病気を家で治すということであり、これは私の訪問診療の基本的なスタンスでもあります。しかし私が診療しているのは、原因不明でだんだん神経が衰える神経難病の方や自分の神経を攻撃してしまう自己免疫疾患の方など、最終的に治らない病気がほとんどです。それでも「病気を家で治す」ということはどういうことか。それは1日1日を安心して過ごせたり、家族や社会の一員として生活できたりといった、患者さんの生きる尊厳を保つことを意味しています。それが神経疾患の訪問診療において在宅で病気を治すことであり、私たちの務めです。そのためには病気によるさまざまな苦痛を最小限に抑えると同時に、個々の患者さんの療養環境を整備していくことが必要になります。日々の生活や患者さんを支えるご家族などの介護者をサポートし、患者さんにとって過ごしやすい環境を整えることで安定した生活が送れるようになり、結果として生きる尊厳を保つことにつながると考えています。
納得する答えを見つけてもらうために
患者さんとのお付き合いで印象に残っているのは、ALSの患者さんのことですね。最初に会ったときは「なんで自分がこんな病気になったんだ」と泣き言や恨み辛みが多く、ネガティブな感情をお持ちでした。ただ、奥様から聞いたんですが、亡くなる2日前に「自分はこの病気になって良かった。ALSありがとう」と言ったらしいんですね。なぜなら、元気なときにはわからなかったことをいろいろと知ることができたから、と。この話を聞いたとき、この患者さんのように最後まで自分の人生をしっかりと持ち続けられるのは素晴らしいなと思ったんです。患者さん一人一人にこんな生き方をしてほしい。そのために私たち医者はどう患者さんと付き合い、どうサポートしていくべきか。私は、医者はあくまで医者として付き合うべきだと思っています。患者さんに対して家族と同様、同等に付き合うのではなく、一線を引いたところで最大限の治療やアドバイスを心がける。ご家族に対しても抱えている悩みにヒントは与えますが、実際の解決には手を貸さず見守る。医者ではなく、当事者が解決しないと、本当の意味で患者さんが納得した答えにたどり着けないと思うのです。例に出したALSの患者さんのお話も、なにより奥様がたいへん献身的に介護していたことが大きかったようです。
これから受診される患者さんへ
神経難病などで寝たきりになったり、認知症になったりした場合、要介護3以上と認定されたときが訪問診療を利用するひとつの目安です。その時点で、ケアマネージャーさんや病院の先生に訪問診療について相談してみてください。また、当院でも相談外来を行っていますので、神経疾患の患者さんで専門性を必要とされる方はぜひいらしてください。コーラルクリニック』は東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目駅」より徒歩5分、JR線「御茶ノ水駅」より徒歩9分のところにありますので、積極的に相談外来を活用していただければ嬉しいです。
※上記記事は2017年3月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。
石垣 泰則 院長 MEMO
- 出身地:静岡県静岡市
- 趣味・特技:スキューバダイビング、ジョギング
- 好きな本・愛読書:日本在宅医学会誌
- 好きな映画:いろいろ見ます
- 好きな言葉・座右の銘:リハビリテーションの真髄は在宅にあり
- 好きな音楽のジャンル・アーティスト:クラシック、ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリニスト)
- 好きな場所・観光地:沖縄
グラフで見る『石垣 泰則 院長』のタイプ
穏やかで明るく話しやすい先生 |
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
穏やかで明るく話しやすい先生 | ||||
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
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石垣 泰則 院長
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