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インスリン注射器とは?種類や正しい打ち方・注意点など解説

「インスリンの自己注射が治療として勧められたけど、インスリン注射器ってなんだろう……」
「インスリン注射はどのようなメリットがあるのかな……」

このような悩みを抱えていませんか?

インスリン注射は、血糖値を下げるために必要なホルモン注射で、糖尿病患者の方に勧められる治療です。

看護師や医師であれば注射などの施術に慣れていますが、一般の人はどのように扱えばよいかわからないケースが多いです。

そこで本記事では、糖尿病患者におすすめのインスリン注射器について解説します。

正しい打ち方やタイミングを含めて解説しているので、参考にしてみてください。

インスリン注射とは?

インスリン注射とは?

インスリン注射は、糖尿病患者が使用する自己治療法の一種で、注射器を利用して体外からインスリンを補う治療です。

インスリンは血糖値をコントロールする役割があり、1型糖尿病や2型糖尿病の中度~重度の方に利用されています。

血糖値を適正に保つ目的で使用されますが、注射器を利用するため、取り扱いには細心の注意を払いましょう。

インスリン注射器の種類

インスリン注射器の種類

インスリン注射器は、3種類あります。

  1. 一体型の使い切りタイプ
  2. カートリッジ型
  3. ペン型

それぞれの種類について解説します。

一体型の使い切りタイプ

使い切りタイプは、最初からインスリン薬液が注射器に入っています。

インスリンの残量を気にせずに使用可能で、使いやすさに優れています。

また、注射器や薬の交換などの作業が不要なため、高齢者や小児も適しているでしょう。

ただし、一度使い切ったあとは本体ごと廃棄する必要があるため、廃棄方法を調べておく必要があります。

さらに、1種類のインスリンしか使えず、混合できない点を考慮しておきましょう。

カートリッジ型

カートリッジ型は、注射器本体と薬液が、別々になっているタイプです。

本体は繰り返し使用可能で、カートリッジの交換だけで使えるので、家計に負担が少ない経済的な点が大きな魅力となっています。

また、薬だけを補充すればよいため、ゴミが少ないという点がメリットです。

ただし、初回使用時にカートリッジの装填作業が必要で、取り扱いに慣れる必要があります。

ペン型

ペン型は、ペンのような形状で、持ち運びしやすくデザイン性にも優れています。

本体に目盛りが付いており、注入量を簡単に調節できる点がメリットです。

1単位刻みで注入量を調整できるので、細かい投与ができるでしょう。

また、デザインが洗練されており、外出先でも使いやすいです。

ただし、ペンの操作方法を理解する必要があり、製品の中には針交換またはカートリッジ交換が必要になります。

インスリン注射器を使う際の基礎知識

インスリン注射器を使う際の基礎知識

使う際に覚えておきたい基礎知識は、以下の4つです。

  1. 保管方法と温度
  2. 針と注射器の衛生管理が必須
  3. インスリン製剤の中身と使用期限
  4. 注射場所の確保

それぞれの覚えておきたい基礎知識について解説します。

保管方法と温度

インスリンの注射は、未使用・未開封の場合は、2~8℃程度の冷蔵庫で保管します。

使用中のときは、15~30℃程度の室温で、約28日以内に使い切るのがおすすめです。

冷凍や高温での保管を避け、直射日光が当たらない場所で保管しましょう。

針と注射器の衛生管理が必須

針は、原則1回毎に交換し、毎回手を洗ってください。

使い終わった針は、家庭ごみではなく、医療廃棄物として専用容器に入れましょう

適当に針を捨ててしまうと、家族や回収業者が触れてしまった際に、怪我したり感染したりする可能性があります。

また、注射器とペン本体は、低規定に拭き掃除を行い、湿気を避けて保管してください。

インスリン製剤の中身と使用期限

インスリンは複数の種類があり、それぞれ使用目的や効果の持続時間が異なります。

たとえば、混濁タイプの場合は、使用する前によく振ってから打つことが重要です。

また、沈殿・変色・濁り・異臭がする際は、使用を避けてください。

開封日をラベルに記入しておくと、期限が過ぎてしまう心配がありません。

注射場所の確保

インスリン注射器は、同じ場所に打ち続けてしまうと、皮膚が固くなり、吸収が悪くなってしまいます

よく使用される注射部位は、へそ周りや太もも、上腕などがあげられます。

同じ部位に打つ場合でも、少しずつ場所をずらすと良いでしょう。

インスリン注射のタイミング

インスリン注射のタイミングは、インスリンの種類や目的に合わせて打つようにしましょう

種類 注射のタイミング
超速効型インスリン製剤 食事直前
速効型インスリン製剤 30分前
中間型インスリン製剤 毎日決まったタイミング
持続型溶解インスリン製剤 毎日決まったタイミング
混合型インスリン製剤 食事直前
配合溶解インスリン製剤 食事直前

たとえば、アスパルト製剤やリスプロ製剤などは、食事直前に打ちます。

ヒトインスリンRの場合は、食後の約30分前に注射を行い、食後の血糖値上昇に対応できる状態を作ります。

ほかにも、基礎インスリンと呼ばれるタイプは、1日1~2回で、毎日決まった時間に駐車してください。

ただし、具体的なタイミングや量は使用する製剤ごとに異なるため、必ず主治医の指導・処方書に従って打つようにしましょう。

インスリン注射器の正しい手順・打ち方

インスリン注射器の正しい手順・打ち方

インスリン注射器は、以下の4つの流れで行います。

  1. 注射の準備と手洗い
  2. 針をセットして空打ちし単位を合わせる
  3. 消毒後に穿刺して10秒待つ
  4. 針を外して廃棄する

それぞれの流れについて解説します。

STEP1.注射の準備と手洗い

まずは、すぐに注射するのではなく、事前に注射器や薬剤の準備と手洗いをしましょう。

洗いをしていない状態で注射器や薬剤を触ってしまうと、感染リスクがあります

石けんと流水で、手をしっかりと洗ってから準備してください。

また、注射を打つ前に、インスリンを室温に戻しておくと、駐車時の違和感を軽減できるでしょう。

STEP2.針をセットして空打ちし単位を合わせる

インスリン注射器を準備したあとは、針をセットして空打ちをしましょう。

1~2単位で試し打ちをすることで、エア抜きができるとともに、針先から薬液が出ることを確認できます

また、投与する単位数をダイヤルで正確に設定するようにしましょう。

空打ちを怠ってしまうと、正確な量が注入されないリスクがあります。

STEP3.消毒後に穿刺して10秒待つ

空打ちと単位合わせが終わったあとは、手を消毒して注射部位を決めましょう。

注射部位を決めたあとは、アルコール綿で消毒し、皮膚を軽くつまんで直角または45度の角度で針を刺してください。

穿刺後はインスリンをゆっくりと注入し、針を刺したまま10秒ほど数えます

10秒待つことで、液漏れを防ぎ、注入量を確実に体内に届けられるでしょう。

STEP4.針を外して廃棄する

インスリン注射器で穿刺後は、針を外して廃棄します。

針を取り外したあとは、医療用の専用容器にいれてください

廃棄方法は、自治体や医療機関の指示に従うことが大切です。

また、使用済みの針は、感染リスクを避けるために、必ず指定された指示に従って処分してください。

インスリン注射器取扱の注意点

インスリン注射器取扱の注意点

インスリン注射機の取り扱いで気をつけたいポイントは、3つあります。

  1. 単位換算が誤っていないか確認
  2. ほかの注射器との取り間違えがないように確認
  3. 種類・サイズを確認

それぞれのポイントについて解説していきます。

単位換算が誤っていないか確認

まず、単位換算が誤っていないか入念に確認しましょう。

インスリンは、単位で「U」を使用するケースが多いです。

たとえば、U-100とU-40がある場合、2つの濃度が異なるため、実際の使用量が異なります。

濃度が異なる注射器や薬剤を使用してしまうと、必要量以上のインスリンを駐車してしまうリスクがあるため、入念に確認してください。

ほかの注射器との取り間違えがないように確認

インスリン注射器は、他の注射器との取り間違えがないようにチェックしてください。

形状や色がインスリンと似ている製剤もあり、誤って違う注射器を使用してしまうと、命の危険に関わってしまう可能性があります

たとえば、GLP-1受容体作動薬やビタミン剤などは、インスリンと同様に自己注射で投与される場合があるため、取り間違え事故が起きてしまう可能性があります。

そのため、他の注射器と取り間違えがないように、何度も確認してください。

種類・サイズを確認

インスリン注射器は、針の長さや太さが異なります。

自分にあった種類やサイズを選ばないと、皮下注射が筋肉注射になってしまい、痛みや出血の原因になります

皮下脂肪が少ない方や高齢者は、4~5mmの短めの針がおすすめです。

定期的に、医療機関で注射部位や針の選定が適切か確認してもらいましょう。

インスリン注射のメリットや注意点

インスリン注射のメリットや注意点

インスリン注射でよく選ばれる部位は、主に腹部・太もも・上腕の3か所です。

それぞれのメリットや注意点は、以下の表のとおりです。

部位 メリット 注意点
腹部 吸収が安定しやすい 内臓に近い部分やへそ周りを避ける
太もも 注射時に目視しやすい 内出血が起きる可能性がある
上腕 皮膚が硬くなりにくい 片手での注射が難しい

たとえば、太ももの場合は、注射をする際に、目視しやすい点がメリットになります。

しかし、運動時に刺激が加わってしまい、内出血を起こしてしまう可能性があります。

ほかにも、上腕は左右交互に行うと、皮膚が固くなってしまう状態を防ぎやすいですが、片手での注射が難しいです。

それぞれの部位ごとにメリットや注意点が異なるため、どこに打てば良いか迷っている場合は、参考にしてみてください。

インスリン注射の捨て方と注意点

インスリン注射の捨て方と注意点

インスリン注射の捨て方と注意点は、3つあります。

  1. 使い終わったあとの針の扱いに気をつける
  2. 手指消毒と周辺環境の清潔・整頓を行う必要がある
  3. 使い回しは避ける

それぞれの注意点や捨て方について解説します。

使い終わったあとの針の扱いに気をつける

使用したあとは、針の扱いに気をつけるようにしてください。

使用済みの針には、体液や血液が付着しており、感染リスクがあります

また、使用済みの針を適当に処理しておくと、家族や収集業者が誤って触ってしまい、ケガ・感染してしまう可能性があります。

使用したあとは、針を本体から外したあと、必ず医療用の針捨て容器に入れましょう。

手指消毒と周辺環境の清潔・整頓を行う必要がある

手指の消毒と、周囲環境を清潔にするという点は、注射をする際には欠かせないポイントです。

注射は皮膚に穴をあける行為になり、感染症のリスクを常に伴います。

また、不衛生な環境で使用すると、穿刺部から細菌が入り化膿する可能性があります。

注射前後は、必ず石けんと流水で手指を洗浄しましょう。

また、アルコール綿で注射部位を消毒し、使用後のアルコール綿もすぐにゴミ箱に捨てるようにしてください。

使い回しは避ける

インスリンの針は、使い切り設計となっているため、再使用を想定していません

注射した際に、針が目に見えないほどに曲がっている可能性があります。

そのため、針を再使用してしまうと、出血・皮膚損傷の原因になる可能性があります。

インスリン注射のコツ

インスリン注射のコツ

インスリン注射のコツは、3つあります。

  1. 痛みを感じにくくするコツ
  2. 精神的負担を減らすコツ
  3. 注射機能を理解する

それぞれのコツについて解説します。

痛みを感じにくくするコツ

インスリン注射をする際には、皮膚や筋肉をなるべく刺激しない工夫をして、痛みを感じにくくしましょう。

具体的な例として、針は短めで細かいものを選んだり、注射部位を日替わりで変えたりするのがおすすめです。

ほかにも、針を垂直にゆっくりと刺し、注射後は10秒ほど待ちましょう。

また、注射前に常温に戻すと、冷たいインスリンと比べて痛みを感じにくいです。

精神的負担を減らすコツ

インスリンの注射をする際には、注射への恐怖心やストレスを和らげるなどを実践するのがおすすめです。

たとえば、注射するタイミングをルーチン化したり、音楽やテレビなどで注意をそらして緊張を和らげたりすると良いでしょう。

ほかにも、お気に入りのものを握ったり、針を刺す前に指で押して感覚を鈍らせたりする方法もあげられます。

注射機能を理解する

インスリン注射をする際には、注射器の仕組みを正しく知り、トラブルを防ぐようにしましょう

たとえば、単位の設定方法や空打ちの必要性を確認するのがおすすめです。

ほかにも、自分が使っているインスリンの作用時間を理解したり、メーカー・種類によって構造が違うため、説明書の確認や医師・薬剤師の指導をしたりすると良いでしょう。

まとめ:インスリン注射器についてよく理解して使おう!

まとめ:インスリン注射器についてよく理解して使おう!

インスリン注射は、血糖値を下げるために必要なホルモン注射で、糖尿病患者の方におすすめです。

注射は痛いというイメージを持つ方も多いですが、痛みを感じにくくするコツもたくさんあります。

ただし、インスリン注射はさまざまな注意点があるため、注射器の仕組みやインスリンの特徴を把握しておくと良いでしょう。

インスリン注射器の利用を検討している方は、本記事でご紹介した内容を参考にしてみてください。