エステサロンのM&A(合併や買収)は、事業の成長や経営資源の有効活用などを目的に行われますが、価格交渉や事業の統合など難しい課題も多くあります。
この記事では実際の成功事例を紹介しながら、エステサロンのM&Aの相場や業界の動向、成功に導くポイントなどを詳しく解説します。
この記事の内容
エステサロンのM&Aとは?業界の動向を解説!
エステサロンのM&A(合併・買収)は、事業の成長や経営の安定化を目的に行われる戦略的な手法です。近年のエステサロン業界では後継者不足や新規事業の開始、経営リスクの分散などの理由からM&Aが増加傾向にあります。
エステサロン業界のM&Aは、大手サロンから中小規模のサロンまで幅広く行われており、それぞれの規模や目的に応じた戦略が取られます。例えば、大手サロンは新しい技術やノウハウの獲得を目的にM&Aをし、中小規模のサロンは後継者不足の解消や事業継続のためにM&Aを活用する場合が多いようです。
エステサロンのM&Aが増えている理由
エステサロンのM&Aが増加している理由は一体何でしょうか?ここではその主な理由を3つ解説します。
理由①新しいサービスや技術の獲得
エステサロン業界は常に新しい技術やサービスが求められる分野です。顧客のニーズに応えるためには、最新の施術技術や機器を導入することが不可欠ですが、これらを自社で開発するには多くの時間とコストがかかります。
そこで、既にその技術やサービスを持つ他社を買収することで、迅速に新しいサービスを提供できるためM&Aを活用する企業が増えているのです。
理由②経営状況の最適化
エステサロンの経営には、設備投資や人材育成など多くのコストがかかります。特に、コストを一手に引き受けるのが難しい中小規模のサロンでは、M&Aで他社と統合することで設備や育成ノウハウを効率的に活用し、コスト削減や業務の効率化を図っています。
また、経営状況が安定している企業を買収することで、自社の経営状況も改善できるのです。
理由③事業規模の拡大
エステサロン業界では需要が急激に高まっているため、この機会に事業規模を拡大しようとする動きが増えています。
事業規模の拡大には、広告やマーケティングを活用してブランド力を高めたり、複数の店舗を持ち顧客の利便性を向上させたりすることが一般的です。
M&Aを通じて店舗数や顧客数を増やし、新たなサービス技術を習得して事業規模を拡大することで、さらなる成長を目指せます。
エステサロンのM&A相場
エステサロンのM&A相場は、立地条件や設備の状態、顧客数、売上高などの要因によって大きく異なります。ここでは、売却と買収の相場について詳しく解説します。
売却の相場 | 買収の相場 |
---|---|
300万円から600万円程度が一般的 設備や顧客数によっては数千万~数億円 |
小規模サロンは150万円程度 大規模サロンは10億円超の場合もある |
売却の相場
エステサロンの売却相場は、一般的に数百万円から数千万円程度が多いとされています。実際にはサロンの立地条件や顧客数、設備の充実度によって左右されますが、居抜き物件の場合は300万円から600万円程度が一般的です。
また、複数の店舗を安定して経営している、顧客数が多い、最新の設備を揃えているなどの好条件が重なると数億円規模の買収価格が設定されることもあります。
買収の相場
エステサロンの買収相場も、売却相場と同様に多くの要因によって変動します。主な要因としては、事業の収益性や市場の競争状況が挙げられますが、新規事業の拡大などのリスクが考えられる場合には価格が低く設定される場合が多いようです。
具体的な買収価格としては、小規模サロンは150万円程度から、大規模サロンでは10億円を超える場合もあり、専門家のアドバイスを受けながら適正な価格での取引を目指すことが大切です。
エステサロンのM&A成功事例
エステサロン業界ではM&Aを通じて事業拡大や新技術の導入を成功させた事例がいくつかあります。ここでは、代表的な成功事例を3つ紹介します。
- Neautech
- G.Pホールディング
- TBCグループ
事例①NeautechがプレシリーズAラウンドで資金調達を実施
株式会社Neautechは、オンライン診療プラットフォーム事業とクリニックプロデュース事業を展開する企業です。2023年10月、NeautechはプレシリーズAラウンドで約2.2億円の資金調達を実施し、オンライン美肌治療サービスの事業拡大を成功させました。
事例②G.Pホールディングによる不二ビューティの買収
G.Pホールディングは、2020年にRVHから不二ビューティの全株式を買収しました。
不二ビューティは、エステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」を運営している老舗企業で、既存の顧客基盤とブランド力を活かし、新たなサービスの導入や店舗のリニューアルをすることで競争力の強化に成功しました。
事例③TBCグループによるSWPホールディングスの買収
TBCグループはエステティックサロン業界の大手企業で、全国に多数の店舗を展開しており、SWPホールディングスを買収することで、事業のさらなる多様化と事業規模の拡大を図りました。
SWPホールディングスはエステサロンの運営だけでなく、美容関連商品の開発・販売も行っていたため、技術力と商品開発力を取り入れることで顧客に対するサービスの幅を広げました。
エステサロンのM&Aを成功させる3つのポイント
エステサロンのM&Aを成功させるためには、大切なポイントがいくつかあります。ここでは、M&Aを成功させるために重要な3つのポイントを詳しく解説していきます。
- 立地や技術面などの強みを活かす
- 事業が成長しているタイミングを逃さない
- 問題点は解決しておく
ポイント①立地や技術面などの強みを活かす
エステサロンのM&Aにおいて、立地や技術面の強みを最大限に活かすことは大切なポイントです。高い集客率が見込める立地に店舗を構えている場合や、最新の施術技術や高品質なサービスを提供していることは買い手にとって魅力的な要素になります。
例えば、都市部や繁華街に位置するサロンは、アクセスの良さから多くの顧客を引きつけることができ、独自の技術や特許を持つサロンは他社との差別化を図れます。これらの強みをしっかりとアピールし、M&Aの交渉を有利に進めていきましょう。
ポイント②事業が成長しているタイミングを逃さない
M&Aを成功させるためには、事業が成長しているタイミングを逃さないことが重要です。事業の収益性や将来性が高い時期に売却することで、より高い評価を得られます。逆に、経営が傾いている状態での売却は買い手にとってリスクが高く、評価が低くなる可能性があるため注意が必要です。
例えば、景気が良く低金利で資金調達が容易な時期や、同業種への投資やM&Aが活発に行われている時期は売却の好機となります。早い段階から準備を進めることで、適切なタイミングを逃さずに売却を実現できるでしょう。
ポイント③問題点は解決しておく
M&Aを成功させるためには、事前に事業の問題点を解決しておくことが大切です。買い手は買収後のリスクを最小限に抑えたいと考えるため、事業の問題点が明確である場合は、その解決策を提示することが重要になります。
例えば、財務状況の健全化や従業員のスキルアップ、顧客満足度の向上など、事業運営における課題を解決しておくことで、買い手にとって魅力的な企業となります。また、法的な問題や契約上のリスクも事前に解消しておくことで、スムーズなM&Aが可能です。
エステサロンのM&Aの進め方
エステサロンのM&Aを成功させるためには、計画的なアプローチと専門的な知識が必要です。ここでは、M&Aの基本的な進め方についてステップに分けて詳しく解説します。
- 目的の明確化
- ターゲット企業の選定
- 初期交渉と基本合意
- デューデリジェンス(精査)
- 最終交渉と契約締結
- PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)
ステップ1:目的の明確化
まず、M&Aを行う目的を明確にしていきます。エステサロンのM&Aの目的には、事業規模の拡大、新しい技術やサービスの獲得、経営リスクの分散などがあります。目的が明確であるほど、適切なターゲット企業を選定しやすくなるでしょう。
ステップ2:ターゲット企業の選定
次に、M&Aのターゲットとなる企業を選定します。ターゲット企業の選定には、業界の動向や市場の競争状況、企業の財務状況や経営状況を考慮する必要があります。
これらの情報をしっかりと把握するためには専門的な知識が必要になるので、M&A仲介会社やマッチングサービス等を利用して適切なターゲット企業を見つけやすくするのがポイントです。
ステップ3:初期交渉と基本合意
ターゲットとする企業が決まったら、初期交渉を行い基本合意を締結します。この段階では、M&Aの大まかな条件や価格について話し合います。
基本合意は正式な契約ではありませんが、交渉の方向性を確認するための重要なステップです。
ステップ4:デューデリジェンス(精査)
基本合意が成立したらデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスでは企業の財務状況や法務リスク、経営状況などを詳しく調査します。この調査結果を基に最終的な買収価格や条件を決定するため、隠れたリスクがないか詳細に行う必要があります。
ステップ5:最終交渉と契約締結
デューデリジェンスの結果を踏まえて最終交渉を行い、正式な契約を締結します。契約締結時には、最終的な買収価格や支払い条件、従業員の処遇など、具体的な条件を盛り込んだ契約書が作成されます。
契約書には法的な問題も発生するため、法務専門家のサポートを受けることが多いでしょう。
ステップ6:PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)
契約締結後は、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)を実施します。PMIとは買収後の統合プロセスのことで、組織の統合や業務の調整、従業員のモチベーション管理なども含まれます。
PMIはM&Aの成功に直結するため、慎重に進めていきましょう。
番外編:仲介サイトの活用
M&Aは適切なターゲットの選定や法的手続きが発生するため、個人で進めようとするとたくさんの工数がかかってしまいます。M&Aをスムーズに進めるためには、専門家のサポートを受けることがおすすめです。
M&Aの仲介サービスでは、法務・財務の専門家が交渉や契約手続き、デューデリジェンスなど、各ステップで適切なアドバイスを行ってくれるので、大幅に工数を抑えられます。また、M&Aの案件情報を知りたいという方にもおすすめです。
次の章ではおすすめのサービスを詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
エステサロンのM&Aにおすすめのサービス
エステサロンのM&Aを成功させるためには、信頼できるM&A仲介サービスを利用することが重要です。ここでは、エステサロンのM&Aにおすすめのサービスを3つ紹介します。
サービス①株式会社BGパートナーズ
株式会社BGパートナーズはM&A仲介業務を専門とする企業で、美容業界に特化した豊富なM&A仲介の実績を活かし、サロンの特性を理解した上でのサポートをしてくれます。
また、美容業界に精通したアドバイザーが在籍しており、適切なアドバイスを提供してくれるだけでなく、業界内での広いネットワークを活用して最適な買い手・売り手を見つけられます。
サービス②株式会社トランビ
株式会社トランビは、オンラインM&Aプラットフォームを提供している企業です。エステサロンのM&Aにも対応していて、インターネット上で売り手と買い手をマッチングするサービスを提供しています。
成約手数料がかからないのが大きな特徴となっていて、M&Aにかかる費用を大幅に削減できます。必要に応じて専門家のアドバイスも受けられるので安心です。
サービス③株式会社日本経営研究所
株式会社日本経営研究所は、M&A仲介業務をはじめとする経営コンサルティングを提供しており、エステサロンのM&Aにも対応している企業です。M&Aだけでなく、経営全般に関するコンサルティングを提供しているため、事業の成長戦略を総合的にサポートしてくれます。
また、経営コンサルタントやM&Aアドバイザーが在籍しており、専門的な知識と経験を活かしたアドバイスを受けられたり、独自のマッチングシステムを活用してスピーディーな成約を実現してくれるのも嬉しいポイントです。エステサロンの経営全般を見据えたM&Aを検討している企業におすすめのサービスとなっています。
エステサロンのM&Aはメリットと注意点を押さえて検討しよう
エステサロンのM&A(合併・買収)は、事業の成長や経営状況改善を目的とした戦略です。近年では後継者不足や新規事業の拡大を目的としたM&Aがエステ業界でも増加しています。
M&Aを成功させるには、立地や技術面などの強みを活かし、事業が成長しているタイミングを逃さないことが重要です。事前に問題点を解決しておくと買い手にとって魅力的な企業となり、スムーズな交渉が可能となるでしょう。
適切な価格交渉と法的手続きをスムーズに行うために、専門家の協力を受けられる仲介サービスの活用を検討してみてください。