スタッフがすぐに辞める歯科医院の特徴は9つ！定着させる6つの対策も解説

スタッフがすぐに辞めてしまい、「中々定着しない」「人手が足りない」と悩んでいる歯科医院は少なくありません。

スタッフの離職が多いのには、必ず何らかの原因が隠れています。その原因を解消しない限り、現状は何も変わりません。

そこで本記事では、スタッフがすぐ辞めてしまう歯科医院の特徴や定着してもらうための対策について解説していきます。歯科医院の環境をより良くしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

歯科医院におけるスタッフ離職の現状

給与の低さや福利厚生の充実度、スキルアップする機会がない、人間関係などを理由に、さまざまな業界で離職は起こります。中でも歯科医院のスタッフは、離職率が非常に高い職業の1つです。

公益社団法人　日本歯科衛生士会が2014年に実施した「歯科衛生士の勤務実態調査」によると、勤務先を変更した経験が「ある」と回答した人は全体の74.4％を占めています。

参照：歯科衛生士の勤務実態調査報告書｜公益社団法人　日本歯科衛生士会

多くの人が歯科医院を退職する主な理由は、以下の通りです。

• 給与の低さ
• 福利厚生の充実度
• スキルアップする機会がない
• 人間関係

このように、労働環境が整備されていないことが主な原因で多くのスタッフが離職しているのが歯科医院の現状です。

スタッフが辞める歯科医院の特徴は9つ

スタッフがすぐに辞めてしまう歯科医院の主な特徴は、以下の9つです。

1. 院内全体の雰囲気が悪い
2. スキルアップできる環境や機会が整備されていない
3. 新人スタッフへの教育体制が十分に整っていない
4. 日々の成果や努力が適正に評価されない
5. 休暇制度や福利厚生が充実していない
6. スタッフ一人ひとりに対する業務の負担が大きい
7. やりがいを感じられない
8. 給与が低い
9. 結婚や出産を迎えて体力的に難しい

ここでは、上記の特徴についてそれぞれ解説していきます。

院内全体の雰囲気が悪い

スタッフが辞める歯科医院の特徴の1つとして挙げられるのが、院内全体の雰囲気が悪いことです。

歯科医師の態度の悪さや相性の合わないスタッフがいるなどが原因で、人間関係が上手くいかず、離職するというケースが多くあります。

どのような業種でもそうですが、特に医療を扱う職業においてチームワークは必要不可欠です。スタッフの態度や機嫌が明らかに悪いとスタッフ同士だけでなく、来院した患者に対しても居心地の悪い空間になっていまいます。

人間関係は当事者同士の問題ではなく、職場全体としての問題です。そのためスタッフが気分よく働けるように管理者である院長が積極的に職場環境の改善をしていくことが重要です。

スキルアップできる環境や機会が整備されていない

スキルアップできる環境や機会が整備されていないのも特徴の1つです。

スタッフの中には、ただ淡々と仕事をこなすのではなく、自分自身のスキルを磨いて患者のためにできることを増やしたいと考えている人が多くいます。そういった人たちからすると、スキルアップできる環境や機会が不十分な職場だと仕事に対してモチベーションが上がらず、離職する原因となってしまいます。

新人スタッフへの教育体制が十分に整っていない

スタッフの知識量や技術、経験の量は人それぞれです。歯科医院には、別の医院で勤務した経験のあるスタッフもいれば、新卒のスタッフや未経験のスタッフもいます。

そんな中で新卒や未経験のスタッフは、教育体制が十分でないと仕事に対し不安や不満を抱いてしまうでしょう。そういった状況が続くと、次第にモチベーションが低下し離職してしまうという事態を招いてしまいます。

日々の成果や努力が適正に評価されない

スタッフが辞めてしまう歯科医院では、日々の成果や努力が適正に評価されていない場合が多いです。

優秀であり努力を怠らないスタッフは、日々成長しながら質の高い仕事をしようと向上心を持って働いています。しかし、日々の成果や努力が適正に評価されず、給与などに反映されないとモチベーションが下がってしまうでしょう。

そのような環境が改善されないと、優秀なスタッフが離職していき、売上の減少だけでなく他のスタッフの業務負担まで増加してしまいます。

仕事が回らなくなれば、患者の満足度にも影響を及ぼしてしまうため、スタッフの成果や努力を適正に評価し給与に反映するという仕組みを確立することが重要でしょう。

休暇制度や福利厚生が充実していない

休暇制度や福利厚生が充実していないというのも、離職率の高い歯科医院の特徴です。

歯科医院というのは医療事務や歯科衛生士といった女性が多い職場です。そういった職場では、特に休暇制度や福利厚生の充実しているかどうかが重要です。

産休や育休など仕事と日常生活のバランスを保てるように、休暇制度や福利厚生を整備することで、スタッフの働きやすい環境を築き上げられます。

スタッフ一人ひとりに対する業務の負担が大きい

スタッフ一人に対する業務の負担が大きいというのも特徴です。

歯科業界は常に人手が足りておらず、多くの歯科医院で人材の確保が課題となっています。人手不足により、スタッフ一人ひとりの負担が大きい上に、辞めていくスタッフがいるとさらに負担が大きくなってしまいます。

そのような状況が続けば、給与と仕事量が見合っていないという不満からさらなる離職者を出すことになるでしょう。

やりがいを感じられない

日々の業務からやりがいを感じられなくなることで離職するスタッフもいます。

毎日仕事を淡々とこなすだけの職場だと、モチベーションが高いスタッフからすると物足りずつまらないと感じる場合があります。

スキルアップの部分と共通して常に成長できる環境であることは、スタッフの満足度の向上につながるでしょう。

給与が低い

「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」によると、平成27年では「年収200万以上300万円未満」の人が最も多いという結果が示されています。

参照：歯科衛生士の勤務実態調査報告書｜公益社団法人 日本歯科衛生士会

この年収の場合、毎月の給与は25万円程度で貯蓄するためには、生活を切り詰める必要があるというのが現状です。

また歯科医院スタッフの業務は一人ひとりの負担が大きく、仕事の量に対して給料が低いというのも問題点でしょう。

結婚や出産を迎えて体力的に難しい

歯科医院には、女性が多く在籍しています。出産のために休んでいて復帰した人や子育て真っ最中の人など、結婚や出産を機に環境が大きく変わり、体力的に難しいと感じる場合が多いようです。

そういった人の中には、離職して家庭に専念するという人だけでなく、子育て中のスタッフが多く在籍している歯科医院に転職しより良い待遇で働くという人も多くいます。

福利厚生などの待遇を改善することで、結婚や出産で環境が変わった人も働きやすい職場になるでしょう。

スタッフが辞める歯科医院が取るべき対策6選

スタッフが辞める歯科医院が取るべき対策は、主に以下の6つです。

1. スタッフ同士のコミュニケーションを密に取る
2. 給与体制を見直す
3. 休暇制度や福利厚生を充実させる
4. 成長できる環境や機会を積極的に提供する
5. 業務フローを見直して効率化を図る
6. スタッフの要望や不満を定期的にヒアリングする

スタッフ同士のコミュニケーションを密に取る

スタッフに定着してもらうための対策として、スタッフ同士のコミュニケーションを密に取ることが重要です。

定期的にミーティングや食事会を開くことで、スタッフ同士のコミュニケーションを促せます。仕事や日常生活の悩みなどを共有し、お互いに仲を深められます。

またこういった場がきっかけに仕事の中でのコミュニケーションが増えれば、業務上のチームワークも向上し良い人間関係の構築につながるでしょう。

管理者側である院長が、積極的にコミュニケーションを取れる場所を作ることが大切です。

給与体制を見直す

給与体制の見直しは、スタッフの不満を解消するために重要なポイントです。

給与に不満を持つスタッフの多くは、仕事量と給与が見合っていないと感じています。そのため、年功序列で給与を決めるのではなく、日々の努力や成果を適正に評価し反映させていくことが大切です。

また基本給に加えて、一人ひとりの能力や資格を鑑みて手当を支払うことも有効です。給与が上がれば、スタッフのモチベーションが向上し資格や知識の取得といったスキルアップへの意欲にもつながるでしょう。

休暇制度や福利厚生を充実させる

女性が多く働いている歯科医院にとって、休暇制度や福利厚生を充実させることは欠かせません。

産休・育休はもちろん、労働時間の削減や副業制度の制定などスタッフのワークライフバランスを実現できる働きやすい職場作りが大切です。

こういった休暇制度や福利厚生の整備はスタッフのモチベーションを向上させ、長く働きたいと感じてもらえるでしょう。

成長できる環境や機会を積極的に提供する

成長できる環境や機会を積極的に提供することは、スタッフ一人ひとりのモチベーション向上に影響します。

海外研修の機会を提供したり、資格を取得するための費用を負担したりとスタッフ自身が成長したいと感じられる職場作りが重要です。

スタッフがスキルアップすることで、業務の質が向上すると共に患者の満足度も向上するでしょう。

業務フローを見直して効率化を図る

スタッフ一人ひとりの業務負担を減らすためには、業務フローを見直して効率化を図ることが重要です。

ITツールを導入することで、労力がかかっていた予約や受付、料金精算などを効率的にこなせるようになります。

また新たに歯科助手や事務スタッフを雇うことも有効です。単純に人数を増やせるだけでなく、歯科医師や歯科衛生士が専門的な業務に集中できる環境につながります。

こうした対策を講じることで、スタッフの負担を減らしつつ効率的な業務を実現できるでしょう。

スタッフの要望や不満を定期的にヒアリングする

スタッフの要望や不満を定期的にヒアリングできる場を設けることも重要です。

院長とスタッフが一対一で面談する機会を設けることで、一人ひとりの要望や不満を聞き、現状を把握することができます。

その上で職場としての問題点をあぶり出し、適切な改善策を提供できれば、スタッフのモチベーション向上につなげられるでしょう。

まとめ：スタッフが辞める歯科医院から長くいたい医院に変革しよう

スタッフが辞める歯科医院には、この記事で紹介した特徴が見られる傾向にあります。

常に人手不足と言われている歯科業界にとって、離職率を下げることは大きな課題の1つです。そういった課題のためにも、歯科医院の状況を変えて、スタッフが長く居たいと思えるような医院に変革しましょう。

人手不足に悩んでいる歯科医院の方は、この記事を参考にしつつ、改善してみてください。