開業医と勤務医は、どの点が異なるかご存知ですか?
「開業医が雇う側で、勤務医が雇われる側」程度の理解はあるけれど、詳しくはわからないと感じる方も少なくないはずです。
本記事では、開業医と勤務医の違いやそれぞれのメリット・デメリット、さらには開業医になる方法や開業医として成功するためのコツも解説します。
ぜひ本記事を参考にして、開業について考えてみてください。
この記事の内容
開業医と勤務医の違いは?
開業医と勤務医の違いは、どの点にあるのでしょうか?
ここでは、働き方と年収についての違いに絞って見ていきます。
次項では、メリット・デメリットの比較もしているので、あわせてご覧ください。
開業医と勤務医の働き方の違い
まず、開業医と勤務医の働き方の違いを解説します。
開業医も勤務医も、基本的には業務時間が決められており、それにしたがって働きます。
しかし、1番大きな違いは手術の有無です。
開業医は自ら手術を行うことが少なく時間外労働になることも稀なのですが、勤務医であれば、勤務時間外でも緊急の手術を行うことがあります。
また、開業医は患者さんを診察する時間が多くなり、勤務医は手術などの技術的な仕事が多くなる点には違いがあります。
開業医と勤務医の年収の違い
続いて、開業医と勤務医の年収の違いを解説します。
厚生労働省による「第22回 医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」を参考にすると、一般診療所における年収の違いは以下の通りになります。
- 院長;約2,756万円
- 医師:約1,048万円
およそ2.7倍もの差があります。
この違いをどのように捉えるかは個人次第なので、ご自分の価値観に照らして考えてみてください。
開業医と勤務医のメリット・デメリット
開業医と勤務医には、それぞれメリット・デメリットがあります。
以下に、開業医と勤務医のメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
開業医 | 収入が高くなる 自由度が増える 自分独自の色を出せる |
集患を自分でやらなければならない 業務の種類・量が増える 責任が増す |
勤務医 | 安定した収入 保障の充実 |
収入は高くない 自由度が低い |
それぞれのメリット・デメリットを比較することは、今後進む道を決める上で重要になるので、理解しておきましょう。
以下で、それぞれの点について解説します。
開業医のメリット
まずは、開業医のメリットから見ていきましょう。
開業医のメリットは、主に以下の3つです。
- 収入が高くなる
- 自由度が増える
- 自分独自の色を出せる
1つずつ解説します。
収入が高くなる
1つ目は、収入が高くなることです。
開業医を目指す方の多くが収入アップを目的としていることからも分かる通り、勤務医よりも開業医の方が年収が高い傾向にあります。
「開業医と勤務医の年収の違い」でも説明した通り、約2.7倍もの差があります。
収入を増やしたい場合には開業医になることをおすすめします。
自由度が増える
2つ目は、自由度が増えることです。
開業医は、自分で治療方針を決めたり、自分で医療設備を選定できたりします。
他にも、さまざまな点で自由が効くため、自分の思い通りの医療を行いたい場合は開業医になることをおすすめします。
自分独自の色を出せる
3つ目は、自分独自の色を出せることです。
2つ目の「自由度が増える」と近しい考えではありますが、自分のキャラクターを全面に出して治療できます。
自分がクリニックの顔となるため、自分のキャラクターが好きで来院してもらえる患者さんも出てきます。
開業医のデメリット
続いて、開業医のデメリットを見ていきましょう。
開業医のデメリットは、以下の3つです。
- 集患を自分でやらなければならない
- 業務の種類・量が増える
- 責任が増す
1つずつ解説します。
集患を自分でやらなければならない
1つ目は、集患を自分でやらなければならないことです。
勤務医であれば、病院が集患してくれていたため、自動的に患者さんが来てくれる感覚になりますが、開業医では全く異なります。
チラシやホームページ、SNS、Web広告などを駆使して、自身で集患しなければ、患者さんは一人も来てくれません。
地道な積み重ねが後々大きな力になるため、継続的に集患対策を行う必要があります。
業務の種類・量が増える
2つ目は、業務の種類・量が増えることです。
直前で紹介した集患を始め、医療設備の管理や給与の支払い、スタッフの勤怠管理など、面倒な業務が多く発生します。
これらをスタッフに任せることもできますが、初めのうちは資金に余裕がないことが多いため、現実的ではありません。
そのため、業務の種類・量が増えることに耐えられない方は、開業には向いていません。
責任が増す
3つ目は、責任が増すことです。
開業すると、医院の責任者は自分になるため、医院で起きるさまざまな問題に対して、全て自分の責任として対応する必要があります。
治療ミス、患者さんとの揉め事など、さまざまな問題が起こりうるため、これらに対して責任感を発揮できなければ、開業は向いていません。
勤務医のメリット
では、勤務医のメリットも見ていきましょう。
勤務医のメリットは、以下の2つです。
- 安定した収入
- 保障の充実
1つずつ解説します。
安定した収入
1つ目は、安定した収入です。
開業医では、クリニックの経営が傾くと、自身の収入を削ってでも運転資金を確保する必要があります。
しかし、勤務医では安定した収入が確保できている場合が多く、経済的にも精神的にも安定して働けます。
保障の充実
2つ目は、保障の充実です。
勤務医であれば、病気や怪我をした際も会社の保障制度を利用することである程度の収入が得られます。
しかし、開業医では、自分以外に意思が在籍していなければ、自分が病気や怪我で出勤できない場合、そもそも患者さんを診れないので、収入が入りません。
そのため、多少の病気や怪我をしても安心できる点は勤務医のメリットとして挙げられるでしょう。
勤務医のデメリット
最後に、勤務医のデメリットも見ていきましょう。
勤務医のデメリットは、以下の2つです。
- 収入は高くない
- 自由度が低い
1つずつ解説します。
収入は高くない
1つ目は、収入は高くないことです。
開業医に比べれば、収入は劣ります。
しかし、安定的に収入が入ってくることや病気や怪我になった際の保障と天秤にかけて判断してみましょう。
自由度が低い
2つ目は、自由度が低いことです。
病院全体の方針に従う必要があるので、自分の裁量は開業医よりは少なくなる傾向にあります。
また、大きな病院だと異動を命じられることもある点には注意しましょう。
開業医になるにはどうすれば良い?
開業医になるためには、以下の2つの方法が考えられます。
- 新規開業
- 承継開業
それぞれ、どんな特徴やメリット・デメリットがあるのかを解説します。
新規開業
新規開業とは、文字通りゼロから新しく医院を開業することです。
開業方法としては、新規開業が一般的な方法です。
医院の運営に関する一切を自分で決めることになります。
当然、開業資金も自分で用意する必要があり、場合によっては借入も含めて1億円以上必要になる場合もあります。
自分の思い通りの医院を開業できる点で魅力的ではありますが、開業当初は軌道に乗らず苦しい思いをするケースも少なくありません。
メリット・デメリットを天秤にかけて、開業するかどうかの判断をすることが必要です。
承継開業
一方、承継開業とは、既存の医院を受け継ぐ開業方法です。
親子で引き継ぐ場合もあれば、近年は全くの第三者が承継するケースも増えています。
新規開業よりも資金を必要とせず、すでに固定の患者さんもついているため、最初から安定した経営がしやすい環境にあります。
一方で、設備や患者さんをそのまま引き継ぐことになるため、自由度は下がります。
自分の思い通りの設備を使うには大幅な変更が必要であり、また既存の患者さんに満足してもらうためには、今までのやり方を一定程度受け継ぐ必要があります。
また、スタッフも引き続き勤めてくれるケースがほとんどであり、前からいるスタッフと良好な関係を築けるようにすることも大切です。
開業医として成功するためのコツ
開業医として成功するためのコツは、以下の3つです。
- 準備を念入りに行う
- 患者さんの信頼を獲得する
- スタッフとの人間関係を良好に
1つずつ解説します。
準備を念入りに行う
1つ目は、準備を念入りに行うことです。
特に新規開業をする場合には、準備をしなければならない事項がとても多いです。
立地・物件選定、資金調達、内装工事・設備の選定、スタッフの採用、集患など、ザッと挙げるだけで、これほどの準備事項があります。
これらを駆け足で進めるのはかなり困難なことなので、期間に余裕を持って、念入りに準備することが大切です。
患者さんの信頼を獲得する
2つ目は、患者さんの信頼を獲得することです。
患者さんとの信頼関係を築き、リピート率を増やすことが、クリニック運営を安定させる上で大切になります。
- スタッフの対応が丁寧
- 待ち時間を減らす(オンライン予約の導入)
- 患者さんと話すときは「目」を見る
- 会計システム・オンライン決済を導入し、負担を減らす
以上の点を意識するだけでも、患者さんとの信頼関係が改善する可能性が考えられるので、ぜひ実践してみてください。
スタッフとの人間関係を良好に
3つ目は、スタッフとの人間関係を良好にすることです。
先生もスタッフもどちらも人間ですので、関係がうまくいかないことも少なくないでしょう。
人間関係が悪化してしまうと、クリニック内の風通しが悪くなり、辞めてしまうスタッフも出てきてしまいます。
また、労使関係でのトラブルによって、辞めてしまうスタッフもいます。
スタッフが辞めると、採用に注力しなければならなくなり、本来力を入れなければいけない部分がおろそかになってしまうでしょう。
すると、顧客満足度も下がり、リピート率が悪くなり、経営が悪化してしまうなど、負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあります。
そのため、スタッフとは定期的に話し合いの場を設けることで、良好な関係を維持することが大切です。
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まとめ
今回は、開業医と勤務医の違いについて解説しました。
開業医になると年収が上がり、自由度が高まりますが、勤務医は安定した収入が得られ、病気や怪我の際の保障も充実しています。
それぞれメリット・デメリットがあるため、自分の性格等も含めて検討する必要があります。
ぜひ開業される方は、今回の内容を参考に、開業医を目指しましょう!