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医療法人のM&Aとは?M&Aのスキームとメリット・デメリットを成功事例と合わせて詳しく紹介

医療業界では、医師や看護師不足による人材確保の難化や診療報酬の改定による経営環境の悪化などから、M&A(合併・買収)が注目を集めています。

本記事では、医療法人におけるM&Aのスキームやメリット・デメリットを詳しく紹介します。また、成功事例も合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

医療法人のM&Aの概要

医療法人のM&Aの概要

医療法人のM&A(合併・買収)とは、医療機関の経営権や事業を他の医療法人などに譲渡することです。医療機関の経営効率化、サービスの質の向上、地域医療への貢献などを目的として行われることが多くなっています。

また、医療法人のM&Aは、一般的な企業のM&Aと比較すると特殊な手続きや規制が多く、医療法人の種類(社団医療法人、財団医療法人など)によっても異なるため注意が必要です。

医療法人のM&Aの特徴

医療法人のM&Aには、他業種のM&Aとは異なる特徴がいくつかあります。
まず、医療法人は非営利性が原則のため、利益の追求よりも「地域医療への貢献」や「医療サービスの質の向上」などが重視されます。
また、患者への対応や医療従事者の雇用維持など、社会的な配慮が必要とされることも多いようです。そして、医療法人の種類によっては、出資持分の有無などにより買収手法が限られることも特徴の一つとなっています。

医療法人のM&Aの注意点とは?

医療法人のM&Aを進める際には、M&Aの目的が地域医療への貢献などの非営利性の目的に沿っているかを確認する必要があるため、注意が必要です。
他の注意点としては、医療法人の種類に応じた適切な買収手法を取る、関連する法律や規制を遵守するなどが挙げられます。また、患者や医療従事者への影響を最小限に抑えるための配慮も求められることが多いです。

医療法人のM&Aの相場

医療法人のM&Aの相場は、対象となる医療機関の規模、地域、財務状況、将来の成長見込みなどによって大きく異なります。一般的に、医療法人の買収価格は純資産や将来の利益見込みを基に算出されるため、数百万円~数千万円となることが多いです。中には総合病院などの買収で数億円単位の金額となったケースもあります。

医療法人のM&Aスキームとは?持分あり・持分なしに分けて解説

医療法人のM&Aスキームとは?持分あり・持分なしに分けて解説

医療法人のM&Aスキームは、持分あり医療法人と持分なし医療法人の二つに分けられます。それぞれの特徴を詳しく紹介していきます。

持分ありのM&Aスキーム

持分ありの医療法人の場合は、「出資持分の譲渡」と「経営権の承継」が中心となります。
持分あり医療法人では出資者が財産権を持っていて、出資持分の譲渡が可能で、出資持分を持つ社員がその持分を第三者に譲渡することで経営権を移していきます。この場合、社員が持っている出資持分によって対価となる金額が変わるので、注意が必要です。
また、出資持分の譲渡だけでは経営面での不安が大きいため、経営に関わる社員を確保し、出資持分の譲渡と同時に社員の入れ替えをすることが一般的です。

持分なしのM&Aスキーム

持分なし医療法人の場合、出資持分がありません。よって、「経営権の移行」や「事業の譲渡」は、主に法人格の継承や事業譲渡契約によって行われます。事業譲渡では事業の一部または全てを第三者に譲渡でき、譲渡する対象や範囲を個別に選べます

この場合、医療従事者を含む従業員の雇用契約については個別に同意を得る必要があり、事前に譲渡後の診療方針や給与面の調整などをすることが多いです。

医療法人がM&Aを行うメリット・デメリット

医療法人がM&Aを行うメリット・デメリット

医療法人がM&Aを行う場合には、多くのメリットとデメリットがあります。ここでは、メリットとデメリットをそれぞれ4点ずつ挙げて解説していきます。

M&Aを行うメリット

  • 経営の強化
  • シェアの拡大
  • 経営リスクの分散
  • 後継者問題の解決

M&Aにより効率的な運営が可能になると、サービスの質の向上新たな医療サービスの提供が可能となることがあります。そのため、経営面の強化や地域でのシェアを拡大することが可能になるのです。
また、複数の医療機関が統合することで、経営リスクを分散したり後継者不足の問題を解決できます。安定した経営と事業の継続が可能になるのも大きなメリットと言えます。

M&Aを行うデメリット

  • 経営方針の相違
  • 初期投資の高額化
  • 患者やスタッフの流出
  • 法律や規制上の問題

異なる医療法人が統合する場合、経営方針や診療方針の違いが問題になるケースがあります。また、M&Aには高額な費用がかかることも多く、特に小規模な医療法人にとっては大きな負担となるでしょう。また、M&A後のシステム整備や設備投資にも費用がかかる可能性もあり、初期投資の高額化は大きなデメリットとなっています。

そして、M&Aに不安を持つ患者やスタッフの流出や法律等の問題が起こる場合もあります。リスクを最小限に抑えるために、患者やスタッフに対する事前の説明とM&Aに必要な事前調査をしっかり行いましょう。

医療法人のM&A成功事例3選

医療法人のM&A成功事例3選

医療法人のM&Aでの成功事例を3つ紹介していきます。

成功例①東芝と医療社団法人緑野会のM&A

東芝が運営する「東芝病院」を医療社団法人「緑野会」へ譲渡した事例です。緑野会は幅広い医療ニーズに応えるために、病院での診療はもちろん、在宅診療や看護学校の運営なども行っています
東芝病院の譲渡に伴い、より地域のニーズに合わせた診療方針へ変更し成功しています。

成功例②日立製作所と医療法人社団大坪会のM&A

日立製作所が運営していた「小平記念東京日立病院」の事業を医療社団法人「大坪会」へ譲渡した事例です。日立製作所の経営状況を改善するため似た経営方針を取っている大坪会へ譲渡することで、地域医療への貢献は継続しつつ、経営状況を改善することに成功しました。

成功例③医療法人沖縄徳洲会と社会医療法人社団木下会の吸収合併

医療法人「沖縄徳洲会」が、経営の改善や法律の遵守のために、医療社団法人「木下会」へ吸収合併された事例です。この事例では、最初に一部の病院が経営を譲渡しその後全ての医療機関が合併されました。経営方針などのすり合わせをしてからの譲渡となったため、混乱を最小限に抑えることに成功しました。

医療法人のM&Aにおすすめの仲介サイト3選!

医療法人のM&Aにおすすめの仲介サイト3選!

医療法人のM&Aでは、法律や規制などに多くの注意が必要です。そのため仲介サイトなどを使用して、専門家の助言の元進めることが多くなっています。
ここでは、医療法人のM&Aにおすすめの仲介サイトを3つ紹介します。

サイト①株式会社CBパートナーズ

株式会社CBパートナーズは介護・医療に特化したM&A仲介会社です。2016年の設立以降、介護や医療の現場で求められている後継者不足や経営方針の転換、事業の拡大などのニーズに合わせたM&Aを提供してきました。
企業HPには、実際の成約事例やお客様からの声を積極的に掲載しています。

サイト②株式会社ストライク

株式会社ストライクは、東証プライムに上場しているM&A仲介会社です。設立は1997年で、現在までに約2000件以上のM&Aを成約に導いています。中でも後継者問題の解決に力をいれており、1人のM&Aコンサルタントが売り手と買い手の両方を担当する一気通貫」のサービスが特徴です。
医療法人以外にも多様な業種に対応していて、手厚いサポート体制が高評価を集めています。

サイト③日本M&Aセンター

日本M&Aセンターは、1991年に設立されたM&A仲介会社です。中堅・中小企業を対象としたM&A仲介業務で高い評価を得ていて、年間800件以上ものM&A支援を行っています。
中でも事業承継案件に力を入れていて、事前のコンサルティングから戦略の立案、候補企業への提案・交渉・成約まで一貫してサービスを提供しているのが特徴です。また、アフターサービスやM&Aに関する情報発信も高評価を集めていました。

医療法人のM&Aでよくある質問

医療法人のM&Aでよくある質問

医療法人のM&Aでよくある質問を4つ紹介します。

  • 医療法人のM&Aはどのような流れで行いますか?
  • どれくらいの件数がM&Aされている?
  • 株式会社や営利目的でのM&Aはできるの?
  • M&Aにかかる期間やスケジュールの目安は?

医療法人のM&Aはどのような流れで行いますか?

医療法人のM&Aの流れとしては、主に以下の通りです。

  • 専門家への事前相談・事前リサーチ
  • 仲介業者の選定とアドバイザリー契約
  • ノンネーム登録や買い手への資料準備など
  • 売り手と買い手のトップ面談
  • 基本合意契約
  • 行政調整
  • デューディリジェンス
  • 最終契約の締結
  • クロージング

各ステップをクリアしてM&Aを成功させましょう。

どれくらいの件数がM&Aされている?

医療法人のM&Aの件数は、公開されているデータによると、年間数十件から数百件の範囲で行われています。医療業界は他業種に比べてM&Aが活発ではないため、全体的な件数としては少数となっていました。

株式会社や営利目的でのM&Aはできるの?

医療法人のM&Aでは、株式会社や他の営利企業が医療法人を買収することは法律で制限されています。それは、医療法人は非営利性が原則で、その目的や運営の透明性が求められるためです。
そのため、営利を目的とした企業による直接的な買収は許可されていません

M&Aにかかる期間やスケジュールの目安は?

医療法人のM&Aにかかる期間は、交渉の進行状況によって大きく異なります。一般的には数ヶ月から1年程度を見込むことが多いです。
事前の準備から買収候補の選定、買収前調査、契約締結まで、それぞれ時間が掛かることも多いです。特に買収前調査は、医療法人の法規制や運営実態を詳しく調査する必要があるため、長期間に渡る可能性があります。

医療法人のM&Aは異業種からの参入や経営の安定化に効果的だった

医療法人のM&Aは異業種からの参入や経営の安定化に効果的だった

医療法人のM&Aは、経営の安定化異業種からの参入などの戦略として効果的です。M&Aにより、必要な資本や新しい医療サービスを取り入れ、経営を強化することが可能になるからです。また、設備投資の拡大やサービスの質の向上も大きなメリットと言えます。
さらに、M&Aは医療法人にとっても、経営リスクの分散後継者問題の解決に効果的で、長期的な事業の持続可能性を高める効果が期待されています。メリットとデメリットをしっかりと把握し、M&Aの成功に繋げていきましょう。