日頃から生活習慣には気を付けることが重要。異常があれば早めに消化器内科を受診してほしい
MASLD(metabolic dysfunction associated steatotic liver disease)とは主にメタボリックシンドロームに関連し、肝臓に脂肪蓄積を認める病態のうちアルコール性、ウイルス性、薬剤性を除いたものを指します。また進行し肝炎になった場合MASH(metabolic dysfunction associated steatohepatitis)と呼ばれます。
肝臓に脂肪が蓄積する要因として他の生活習慣病同様に遺伝因子と環境因子が挙げられ、アルコール以外の場合糖質や脂質の摂りすぎには注意する必要があります。またMASLDは肥満と強い相関があり、BMI25未満の場合MASLDの有病率は18.4%ですが、25以上30未満だと63.4%、30以上だと89.1%だったとする報告もあります。(Eguchi Y et al. J Gastroenterol 47(5): 586-595, 2012)
肝臓に蓄積した脂肪組織はインスリン抵抗性を持つため、脂質異常症や2型糖尿病、高血圧といったほかの生活習慣病を合併する可能性が高まります。そしてこれらは脳血管疾患や心筋梗塞といった重篤な病気を引き起こすリスクがあります。
また、もしさらに進行し肝硬変になった場合、栄養を蓄積する、アンモニアなどの毒素を排出するといった肝臓の重要な機能が失われ、最悪の場合命にかかわる危険性もあります。
定期的に血液検査や画像検査を行うことで肝機能や脂肪肝の程度を知ることは可能です。日頃から生活習慣には気を付けるのが一番重要ではありますが、もし健診などで異常があった場合はなるべく早く消化器内科を受診するようにしましょう。
- ファミリークリニック川崎
- 渡邉 勝一 院長
- 川崎市川崎区/日進町/川崎駅
- ●訪問診療