齋藤 博 院長
HIROSHI SAITO
患者さんやご家族からいただく「ありがとう」の言葉を励みに、地域で一番の医療サービスをご提供したい
大阪大学基礎工学部情報工学科卒業。和歌山県立医科大学卒業後、東京女子医科大学の血液内科に籍を置き、研鑽を積む。その後、青梅市立総合病院や至誠会第二病院などで診療にあたり、平野クリニックにて在宅医療に携わる。2006年3月、『一生堂クリニック』を開設。
齋藤 博 院長
一生堂クリニック
世田谷区/上祖師谷/仙川駅
- ●訪問診療
- ●内科
人生のターニングポイントは大学時代
私の家は医師の家系で、脳外科医の父が3代目、私は4代目ということになります。とはいえ、子どものころから「お医者さんになろう」と思っていたわけではなく、むしろ「絶対になりたくない」と思っていました。私が小さい頃(昭和20年代)は貧しい時代でした。父は医者をしていましたが、黒澤明監督の映画『天国と地獄』に描かれたように、当時医者は貧乏でした。私たち一家が住んでいた官舎も狭く、夜になると六畳一間に家族4人、川の字で寝ているところに電話がかかってきて、起こされてしまうことが度々ありまして…(笑)。夜中でも出かけて行く父の姿を見ては、「医師にだけはならない」と思ったものでした。
実際に、高校を卒業すると大阪大学の工学部に進んだのですが、大学3年生のときの出来事が大きな転機となりました。ある日突然、妹が亡くなり、瞬く間に家族が壊れてしまったのです。私は失意の両親のために何ができるかと考え、「お父さんにもう一度、生きる望みを与えなさい」という伯父の言葉に背中を押され、医師になることを決意しました。それからはもう、医学部受験に向けて1日16時間もの猛勉強をして、改めて和歌山県立医科大学に入学しました。
訪問診療の喜びは、「ありがとう」の言葉を直接聞けること
大学卒業後は東京女子医科大学の血液内科に籍を置き、がんに対する免疫治療の研究などに従事していました。その後、青梅市立総合病院や至誠会第二病院などで経験を重ね、在宅医療と出合ったのは清瀬にある平野クリニックでした。大きな病院で診療していると、どうしても「3分診療」になってしまいがちですが、訪問診療では患者さんやそのご家族とゆっくりお話しすることができます。患者さんやご家族と触れ合い、直接「ありがとう」という言葉を聞けることは、病院の勤務医だったときには体験できないことでした。
訪問診療に携わる喜びを感じつつも、実際に24時間体制で対応できるかどうか…私の中で迷っていた時期もありました。しかし、人間の人生にとって最も大事な「最期の時間」を支えることにやりがいを感じ、開業することを決意しました。認知症になった父を介護する母の姿を見てきたこともありますが、やはり私としては患者さんやご家族とゆっくり向き合えること、充分な時間を取ってお話しできることが決め手になりました。今でも一つのご家庭ごとに30分の時間をお取りしていますし、初めて伺う場合はカンファレンスも含め2~3時間ほどかけて、そのお宅のストーリーやご家族の想いまで把握するようにしています。
地域一番の医療サービスを目指して
『一生堂クリニック』の開設は、2006年でした。当初はここから歩いて5分ほどの場所にクリニックを構えたのですが、ご縁があって現在の場所へと移転してきました。「一生堂」はイッショウではなく、イッセイと読みます。祖父の代まで住んでいた島根県益田市の集落(津和野の近く)では、昔から屋号が一軒一軒についていたのです。齋藤家の屋号が一生堂で、開業した際に、その名前を使いました。私自身もクリスチャンであり、キリスト教の教えである「嘘をつかない」「神様の前でも恥ずかしくない行動をする」ことをモットーに、地域一番の医療サービスをご提供したいと考えています。
医療をサービス業というと、少々違和感のある方がいらっしゃるかもしれません。しかし、訪問診療は医師1人で対応できるものではなく、ケアマネージャーさんやヘルパーさんの存在なくしては成り立たないものです。医師として、私は医療を担当するわけですが、だからと言って特別偉いわけではありません。ケアマネさんやヘルパーさんと声をかけ合い、よくコミュニケーションを取り、それぞれのご家庭に合ったサービスをご提供する…。その結果、患者さんやご家族に「一生堂にお願いしてよかった」と喜んでいただけたら何よりです。サービス業と違って医業にはどうしても階級といいますか、序列化されているような所があって私はあまり好みません。クリニックを運営する便宜上、仕方なく「院長」をしておりますが、私はいつもごく普通の「齋藤さん」でありたいと思っています(笑)。
1日24時間。地道に、きちんとした医療を行う
地域一番のサービスを提供したい…そうは思っても、私たちがいきなり患者さんのお宅に伺うことはできません。私たちは、ケアマネージャーさんや病院からご紹介をいただいて、はじめて患者さんやご家族とお会いすることができます。ですから、間に入ってくださるみなさんに、真っ先に「一生堂」を思い出してもらわなくてはいけません(笑)。
最近は訪問診療に対応するクリニックがたくさんありますけれど、私たちが胸を張って言えるのは「地道に、きちんとした医療を行っている」ということでしょうか。何よりも大事にしているのは、患者さんとご家族にしっかり向き合うこと。自分がしたい治療をご提案するのではなく、患者さんの想いやご家族のご希望を充分に伺って、それぞれのご家庭に合わせたサービスをご提案したいと思います。1日24時間、お電話が入ればたとえ夜間でも必ず駆けつけますし、たとえ死期が迫っていてもそっと手を当て言葉をかけてさしあげるのが「手当て」だと考えています。また、患者さんの多くは人生の先輩であり、親しみを込めてお話をすると同時に尊敬の念も忘れないようにしています。サービス業ですからお金は頂戴しますが、それ以上の満足感や幸福感を与えてさしあげられるように、チーム一丸となって取り組んでいます。
これから受診される患者さんへ
「パークハイアット」や「京王プラザ」など、新宿西口エリアにはさまざまな高層ホテルが立ち並んでいます。たくさんのゲストが訪れ、たくさんのスタッフがおもてなしをして、きっとどのホテルを選んでも一定のサービスを受けられるでしょう。そうした中で私たちが目指すのは、小さいながらも温かく行き届いたサービスに定評がある「山の上ホテル」です。患者さんへの尊敬とご家族への優しさを忘れずに、この地域で一番の医療サービスをご提供していきたいと思います。
※上記記事は2021年6月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。
齋藤 博 院長 MEMO
- 出身地:広島県
- 趣味:クラシックカー。大工仕事。ヴァイオリン、サックス、フルート、クラリネット
- 好きな本:科学的なジャンル。『プルーフ・オブ・ヘヴン:脳神経外科医が見た死後の世界』
- 好きな映画:『ウエスト・サイド物語』『英国王のスピーチ』
- 好きな言葉・座右の銘:ペイフォワード(恩送り)
- 好きな音楽:クラシック。ヘンデルの『メサイア』、ジャズ
- 好きな場所:沖縄の海
グラフで見る『齋藤 博 院長』のタイプ
どちらかというと エネルギッシュで明るく話しやすい先生 |
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
どちらかというと エネルギッシュで明るく話しやすい先生 |
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穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
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