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薄田 康広 院長

YASUHIRO USUDA

ときには1時間以上も話し込んでいく患者さんも。
病理診断、東洋医学…広い視点で人を診る

横浜市立大学卒業後、同大学病理学講座助手、病理解剖を学ぶ。国立横須賀病院の病理検査医として勤務後、石心会狭山病院で内科医の研鑽を積んだ後、本郷三丁目駅より徒歩5分のこの地に開院。

薄田 康広 院長

薄田 康広 院長

うすだクリニック

文京区/本郷/本郷三丁目駅

  • ●内科
  • ●訪問診療

なんでも話を聞いてくれて、家族でかかれる…かかりつけ医の条件

薄田 康広 院長

生まれ育った文京区で開院して15年以上たちます。標榜科目は内科ですが、なかでも小児の患者さんが多いのは特徴かもしれません。小さかったお子さんが今ではすっかり成人した姿などを見ると、時の経過を感じますね。
今ではプライマリードクターという言葉も浸透してきましたが、まだそんな言葉もない医師を志した当初から、最終的にはどんな症状も診る“かかりつけ医”になりたいと考えていました。“かかりつけ医”とは、●自宅や職場の近くにあってすぐにかかれる、●なにかあったらいつでも対応してくれる、●家族でかかれる、●気軽に、かつゆっくりと話ができる、●必要なら高度医療を行う大病院へ連携をとってくれる…だと考えています。なんでも話を聞いてくれ、診てくれる…そんな近くて濃い、町のクリニックを目指しています。
やはり、自分の近くにいる人たちにまずは健康でいてほしいし、その人たちがいつどんな病気になるかはわかりませんよね。専門科目と突き詰めることや高度な手術も大事ですが、“どんなときでも多少でも役に立てる”ということも大事なことだと思うのです。私が“かかりつけ医”を志したのはなによりもこの点です。そのためには可能なかぎり多くの分野について一定以上の知識を持っていることと、重大な病気の兆しがあったらすぐに専門医に連携がとれることが大事だと考えています。

大学卒業後選んだのは“人の体は結果どうなるのか”を検証する病理科

薄田 康広 院長

内科、とくにかかりつけ医というのはいろんな人を長く診ることができます。それも志望の理由でした。どちらかというと人見知りで、物事に夢中になると周囲を気にせず熱中してしまうタイプなのですが、だからこそ逆に人とじっくりコミュニケーションをとる仕事をすべきかもしれない、それなら町のかかりつけ医がいいだろうと。
しかし、私が医学部に入った頃はまだ“総合医療”などという言葉もなく、“専門分野を追求することこそ一人前の医師”という雰囲気で、“ジェネラルドクター”などというと学内でも鼻で笑われていた時代でした。でも、人体について知れば知るほど、ある臓器がおかしいからといってそればかり診ていたら、様々なことを見逃してしまうということがわかってくるんです。なので、ちょっとへそまがりなところもあるせいで(笑)、当初の夢を変えずにもち続けていましたが、風当たりは厳しかったですね。
卒業間際に専門科目を選ばなければならなくなったとき、当時の横浜市大にはモラトリアム的にいろんな科をローテーションで回らせてくれる研修制度があり…これはいまではどの大学でも普通ですが…そこで病理科も回ることができて、これなら、と思いました。学べば学ぶほどあらゆる病気についてわからないことが出て来る。この状態でどれかひとつに専門を絞るというのはどうしても納得できない、と思っていたときに、一番納得のいく科目が病理科だったのです。手術で摘出した臓器や組織、亡くなられた患者さんの体をお借りして、死因や治療効果などを検証する科目です。臨床の過程を見て、最終的にご遺体と照らし合わせて、これはどのようにしてできて、発達した病気なのかを検証する。内視鏡医が病気の場所から採取した組織を顕微鏡で診て病気を診断することも、病理医の仕事です。病気がどんなふうに進行して、最終的に臓器はどんな状態になるのかわかります。カルテと照らし合わせ、亡くなる2週間前にこんな出来事があった、臓器はこのように変化した、体の他の部位にはこんな影響があった…などと、臨床とは全く違った視点で病気を診ることができ、治療の役に立てることができます。
ここで学ばせてもらったおかげで、普通の医師とはちょっと違った観点で病気を診ることができるようになりました。例えば腫瘍なども、たびたび採取してこまかくスライスして顕微鏡で診たりしているので、手の感触が覚えているんです。だから患者さんの皮膚に触れただけで悪性か見当がついたり。今は技術の発達で体を切らずに判断できる時代ですので、昔ほど病理解剖は必要とされなくなりましたが、でもだからこそ貴重な経験だったかもしれません。

内科なのに小児の患者が多い理由は、痛くない注射

薄田 康広 院長

役立ったといえば、当院にお子さんが多くいらっしゃるのもこの病理科での経験のおかげです。注射があまり痛くないらしいんです。1回の注射に滅菌の注射針を必ず二本開封します。一本はバイアルから注射液を吸うのに使用し、もう一本は患者様の皮膚に刺すのに付け替えます。組織を薄くスライスして診ることが日常だったので、刃物は一回でも使うと切れ味が落ちるというのをこの病理科で経験しており、針も新品でなければ先が鈍くなって刺すとより痛いんです。ディスポの針を一本よけいに使い、あとは診察室のあちこちにおいてあるおもちゃで気を反らせて、さっと打つ、これがお子さんへのスムースな注射のこつです。
もちろん看護師が押さえ込んだりなんてこともありません。当院にはたくさんお子さんがいらっしゃいます。大人には大人の、子供には子供の個性というものがありますよね。見ていると学ぶ点がたくさんあります。でも本当にどんどん成長して変化していくので、それに比べて自分は…とショックを受けたりもしますが(笑)。

東洋から、西洋から。同じ病気を違う視点で診ることで深い診断と治療が可能に

漢方薬をよく使うのも当院の特徴です。高校時代から東洋医学には興味がありました。西洋医学にできないことを、東洋医学で行う、とよく言われますが、私は同じものを違う視点で見ているということだと思います。例えば円の面積を測るとき、定規で測るのと分度器で測るのではまるきり違う数字が出てきます。そんな感じです。同じ円(=病気)を違う道具(=西洋医学と東洋医学)で計測する。物事はいろんな視点で見られたほうが理解が深まりますから、視点の数は多いほうがいいでしょう。
けれど漢方もなかなか誤解が多く、慢性疾患のためのもの、だとか長期使用しなければ効果がない、副作用がない、などといわれますが、急性の症状に効果のあるものも多いですし、副作用は出にくいですが全くないわけではない。そんなこともきちんと伝えながら処方しています。
お子さんにも効果がある場合が多いです。不思議なことですが、お子さんは自分の体に必要らしいとなにかで判断すると、自分から進んで飲むことが多いんですね。そして治癒するともう飲みたくないという。そんな症例をたくさん見てきました。大人の疾患に対しても同じで、当人がまずく感じないと体に合っている場合が多いんです。不思議ですよね。こんなところが漢方のすごいところだと思います。
東洋医学ではその人全体を見て診断します。顔色、歩き方、喋り方、声の調子…熟練した漢方専門医などは、患者さんが診察室に入ってきた瞬間にその人の体質(証)や合う漢方がわかるといいますが、私もときどき勘が働いて“あ、この人にはあれが効きそうだな”とわかるときがあり、そんなときは、患者さんにお薦めします。けれど、“こんな歩き方をする人にはこんな体質で、だからこの漢方薬”とわかりやすく定型化はできないんですね。こういう極端に単純化した診断は危険です。薬箱の裏にある病名・症例だけ見て選ぶのもお薦めしません。面倒でも専門医に自分の体質を判断してもらうことから始めましょう。

これから受診される患者さんへ

やはりどんな病気でも大事なのは、ボヤのうちに消しましょう、ということです。大火事になる前に。なのでなんでも相談に来てください。できれば家族が同じクリニックにかかることがのぞましいです。病気は遺伝が強く影響しますから、両親がどんな体質なのかわかると、病気を見つけることが容易になるんです。ときには自分の過去にかかった病気などを忘れていて医師に正しく伝えられないこともありますが、そんなことも長くおつきあいしていつもお話していれば、こちらで見つけてあげられることもあります。「あれ?そういえば子供のときアトピー体質だった」なんてことを、会話のなかで思い出させてあげるのも医師のつとめです。そんなこともあって、当院では可能な限り患者さんとお話します。待合室に患者さんがいなければ1時間以上平気でお話していく方も多い。医師のほうもこのおしゃべりからいろいろ学ばせてもらっています。本郷三丁目の駅から5分、菊坂通り沿いにあります。ぜひ気軽に立ち寄ってください。あと、要介護5の方には訪問診療も行っています。当院は二階で階段があがれない方のために始めました。こちらもぜひご相談ください。

※上記記事は2017年10月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

薄田 康広 院長 MEMO

  • 出身地:文京区
  • 趣味・特技:クレーンゲーム
  • 好きな本・作家:山本周五郎、東野圭吾
  • 好きな映画:ニューシネマパラダイス、フィールドオブドリームズ
  • 好きな言葉・座右の銘:書かれた医学は過去のものである、目の前の患者の中にこそ新しい医学がある
  • 好きな場所・観光地:屋久島

グラフで見る『薄田 康広 院長』のタイプ

穏やかでやさしく話しやすい先生

穏やかでやさしく
話しやすい
エネルギッシュで
明るく話しやすい

先生を取材したスタッフまたはライターの回答より

穏やかでやさしく話しやすい先生
穏やかでやさしく
話しやすい
エネルギッシュで
明るく話しやすい

先生を取材したスタッフまたはライターの回答より

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