神楽坂メンタルクリニック

永井 常高 院長の独自取材記事

永井 常高 院長

「あなたらしさ」を大切にできる場所でありたい

永井 常高 院長ナガイ ツネタカ

学習院大学法学部政治学科 卒業。熊本大学医学部 卒業。静岡赤十字病院にて初期臨床研修。慶應義塾大学医学部 精神神経科教室 入局。公益財団法人 井之頭病院 勤務を経て、2025年11月1日に『神楽坂メンタルクリニック』を開業。

愛着のある場所で、地域の方々のこころの健康に寄り添っていく

永井 常高 院長

当初、私は大学の文系学部に所属していました。もともと健康優良児だったため大病や事故に遭ったことがなく、「医師を志そう」などとは考えていなかったのです。ところが、大学時代に再生不良性貧血という指定難病を患い、思いがけず一年間休学して闘病生活することになりました。壮絶な闘病生活で病と向き合う中で、今思い返しても、本当に素晴らしい主治医ならびに医療スタッフに救われた経験から、今度は自分が「心や体のことで悩んでいる方の力になりたい」と強く思うようになり、熊本大学医学部へ進学したのです。

医学を学ぶ中で、精神医学は「症状として心の動きが現れる学問」であり、身体疾患とはまた異なる奥行きを感じました。人が病を抱えながらも、どのように回復へ向かっていくのか。そのプロセス自体に強く惹かれたことを覚えています。
実際に臨床に出ると、どの診療科でも精神的な苦痛が伴っていることを実感しました。患者さんのお話をしっかり聞き、関係を築きながら、同じ方向を向いて回復を目指す――その共同作業に大きなやりがいを覚えました。精神科医には特別な才能が必要だと思い込んでいましたが、むしろ“普通の感覚で人の話を聞けること”こそ大切なのだと気づき、自分にもできるのではないかと感じたことが、精神科に進んだ大きな理由です。

開業の場所に神楽坂を選んだのは、この街で長い時間を過ごし、日々の風景やお祭りの賑わいを含めて、この土地がとても好きだったからです。自分が愛着を持つ場所で、地域の方のこころの健康に寄り添いたい。そんな思いから、2025年11月、『神楽坂メンタルクリニック』を開院しました(東京メトロ東西線「神楽坂駅」1b出口より30秒、JR「飯田橋駅」3B出口より12分、大江戸線「牛込神楽坂駅」A3出口より7分、東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」4番出口より11分)。

患者さんと共に歩んでいく感覚を大切に

永井 常高 院長

開業して間もない時期ではありますが、来院される方の傾向も少しずつ見えてきました。仕事や人間関係のストレスによる適応障害の方が比較的多く、ほかには不安障害などの神経症の方も多い印象です。年齢層としては30〜40代の方が中心で、近隣にお住まいの方や、職場がこの近くにある方がよく来院されます。
私は年齢や疾患による線引きをするつもりはありません。これまで多様な患者さんを診てきましたし、精神科医として幅広く対応できるよう経験を積んできました。必要な場合には入院を勧めることもありますが、まずは最初の窓口として相談していただく場所でありたいと考えています。
また、私は現在も静岡赤十字病院で外来診療を続けています。入局した頃から約12年、同じ場所で診療を続けてきたこともあり、一人の方を長期間にわたり診ることの大切さを強く感じています。患者さんの人生の一部を共に歩むような感覚で関わることができるのは、精神科ならではの魅力と思っています。

本人の回復力を生かしながら、ストーリーを共に見つめる

永井 常高 院長

精神科の治療は、短期間で症状だけを整えるものではなく、長く関わりながら、その人自身が持つ回復力を少しずつ取り戻していくプロセスと考えています。薬で一気に良くなる病気は多くありません。だからこそ、押し付けるような治療ではなく、自然な流れで回復力が育っていくよう、そっと伴走する姿勢を大切にしています。困っていることの背景には、その人その人の「ストーリー」があります。うまく言語化できない感覚も含め、一つひとつを丁寧に整理しながら、耐性やストレスの受け止め方を一緒に育くんでいくことが治療の中心になります。
たとえば適応障害は、環境だけが原因と思われることが多いのですが、実際には本人のキャパシティや発達特性、過去のトラウマが影響していることも珍しくありません。表面に見える症状にとらわれず、背景まで含めて理解していくことで、初めて本質的な回復につながります。だからこそ、目の前の症状だけで判断せず、「その人全体を診る」ことを診療方針の柱にしています。長く寄り添うことで、少しずつ変化が生まれ、その積み重ねが回復の道をつくっていくのです。

多様な疾患に向き合う中で ― 継続しやすい治療環境を整備

思春期から高齢期まで幅広く診療してきましたが、中でもアルコール依存症については、専門病棟で約5年間治療に携わり、多くの経験を積んできました。依存症外来を行っていた頃は、一般の精神科クリニックでは対応が難しいとして紹介される患者さんも数多く訪れていました。依存症は意志の弱さではなく、意思決定の機能そのものが損なわれる病気であり、ご本人一人の力だけで立て直すのは容易ではありません。家族が先に相談に来られるケースも多く、本人と家族の双方への支援が重要になります。依存症プログラムの教材作成や家族会、市民講座に関わってきた経験は、現在の診療でも大きな力になっています。

一方で、来院が難しい方や家から出にくい方も少なくありません。将来的には、再診を中心にオンライン診療を活用し、必要に応じて臨床心理士によるカウンセリングも組み合わせられる体制を整えていきたいと考えています。医師の診療だけでなく、心理的支援を加えることで、より包括的で継続しやすい治療環境をつくり、患者さん一人ひとりが自分のペースで回復に向かえる場を提供していきたいと思っています。

これから受診される患者さんへ

当院では、患者さんご自身が持つ“回復力”を最大限に生かせるような治療を心がけています。精神科の治療は、医師が何か特別なことをして劇的に変えるというよりも、もともとその方の中にある力がゆっくりと立ち上がってくるのを支えていく作業に近いように思います。無理に背中を押すのではなく、自然な流れの中で回復が育っていくように、そっと伴走する姿勢を大切にしています。

当院が、こころの問題で悩む方々の「心の居場所」となれるよう力を尽くしてまいります。気持ちが落ち着かないとき、誰かに話を聞いてほしいと思ったとき、そのままの状態で来ていただければ十分です。悩みの背景には必ず、その方だけのストーリーがあります。困っていることや不安に感じていることを一緒に整理し、“あなたらしさ”を取り戻すお手伝いができればと思っています。皆さんの日々が少しずつ楽になり、自分らしさを感じられる時間が増えていくよう、寄り添いながら支えていきたいと思っています。

※上記記事は2025年11月に取材したものです。時間の経過による変化があることをご了承ください。

永井 常高 院長MEMO

出身地:
東京都
出身大学:
熊本大学医学部
趣味・特技:
ドラム
好きな映画:
『インター・ステラー』、『ニュー・シネマ・パラダイス』
好きな場所・観光地:
熊本
座右の銘:
「努力が質を生む」
電話

03-5579-8290

所在地

東京都新宿区神楽坂6-39 エキューラ神楽坂 2A

駅名

  • 神楽坂駅
  •  飯田橋駅 牛込神楽坂駅 江戸川橋駅

駐車場

近隣にコインパーキングあり

WEB

https://kagurazaka-mental.com/

特徴

クレジットカード対応 / 男性医師 / オンライン診療 / マイナンバーカード保険証利用うつ病 / 適応障害 / アルコール依存症 / 発達障害 / 産後うつ / 不登校 / 診断書即日発効

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