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クリニック必見の節税対策9選!今すぐ取り組める方法も紹介

個人事業主として新たにクリニックを開業する医師にとって、勤務医とは違う税制度に戸惑うケースは多くあります。

収入が増えるほど税負担は大きくなるため、早い段階からの節税が欠かせません。

「節税対策の方法が知りたい」
「何が経費として認められるのかわからない……」

このような悩みを抱えるクリニック経営者は多いでしょう。

そこで本記事では、新たにクリニックを開業する医師必見の節税対策9選を紹介していきます。今すぐ取り組める方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

クリニックにおける節税対策の重要性

日が差し込む窓ギエ和のデスクで電卓を使っている

個人開業医のクリニックでは、累進課税制度によって税金が高額になるため節税対策が重要です。

クリニックの売上が増えれば、支出も増やして良いと考えるかもしれません。しかし、売上が増えれば税率も上がるため、後になって所得税の支払いが困難になる恐れがあります。

個人開業医は、所得税の他にも、事業税や住民税、固定資産税などを支払わなければなりません。

ある程度所得税の算出をしていても、うまく節税ができていなければ、確定申告の際に想定していた以上の所得税を収めることになるでしょう。

そのためにも、できるだけ早い段階で節税対策を取り入れる必要があります。

クリニックの節税対策なら経費の計上は必須

白衣姿の2人がパソコンに向かい資料を見ながら話し合っている

それでは、クリニックの節税対策に有効な方法とチェックしたいポイントを解説します。

  • 経費を増やす
  • 見落としがちな必要経費をチェック

経費を増やす

クリニックの節税対策では、経費の計上は必須です。

収入を減らせば税率は下がりますが、生活に支障が出る恐れがあるため現実的ではありません。経費を増やせば、収入を減らさなくても税率を下げられます。

個人開業医のクリニックで認められる経費は以下の通りです。

項目 対象
設備費 土地・建物
車両
精密機器
パソコン
高額な医療機器(減価償却費での計上が可能)
人権費 従業員の給与・賞与
社会保険料
福利厚生費 従業員の健康診断
社員旅行費
研修費など
会議費 会議で使用するコーヒー・お茶代・弁当代
コピー代
レンタルルーム利用料
交際費 医師同士の食事代(業務に関連する場合のみ)
事業に関わる取引先へのお中元・お歳暮・手土産
出張費 学会に参加する際に発生する交通費・宿泊費
その他 学会で着用するスーツ代
事業目的で車を利用する際のガソリン代など

上記は全て経費として計上できますが、あくまでも事業目的での利用に限られます。プライベート目的で利用したものは、経費とは認められません。

見落としがちな必要経費をチェック

クリニックの節税対策では、見落としがちな必要経費もチェックしましょう。

自宅兼クリニックの場合、クリニック事業で使用するものは経費として計上できるものもあります。

家賃・車関連・通信費・光熱費などが該当しますが、プライベート利用だけでなく、クリニック事業で利用する分は経費として計上可能です。

クリニック事業で利用したものは、領収書を保管しておきましょう。

クリニックの開業医なら取り入れたい節税対策9選

5つの四角の中央にある赤いチェックマークを指さしている

続いて、クリニックの開業医が取り入れたい9つの節税対策を紹介していきます。

  1. 小規模企業共済に加入する
  2. 中小企業倒産防止共済に加入する
  3. スタッフ対象の生命保険に加入する
  4. iDeCoを活用する
  5. 所得分散を見直す
  6. 償却資産の廃棄
  7. 特別支出控除を受ける
  8. 租税特別措置法の特例を利用する
  9. クリニックの法人化を検討する

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済に加入すれば、月々の掛け金が所得控除の対象になります。

小規模企業共済は、1,000円~70,000円まで、500円単位で自由に設定できるのもポイント。

個人開業医には退職金がありません。小規模企業共済に加入しておけば、節税対策以外にも退職金を準備できる利点があります。

中小企業倒産防止共済に加入する

個人開業医の節税対策として、中小企業倒産防止共済に加入するのも選択肢のひとつです。

中小企業倒産防止共済に加入しておけば、取引先が倒産しても倒産連鎖を防げます。

担保も保証人も不要で、掛け金の最大10倍(上限8,000万円)までの借り入れが可能。月々の掛け金は5,000円~200,000円の間で自由に設定できます。

掛け金は経費に計上できますし、税制優遇により節税対策になるのも嬉しいポイントです。

12ヶ月以上掛け金を収めれば、自己都合でも8割以上の解約金を受け取れますが、12ヶ月未満は掛け捨てとなるので注意しましょう。

40ヶ月以上収めれば、解約時に100%掛け金が戻ってきます。

スタッフ対象の生命保険に加入する

タッフ対象の生命保険に加入するのも節税対策には有効です。

スタッフの病気や怪我にも備えられますし、退職金の原資としても活用できます。

ただし、保険金の受取人をスタッフの家族にする必要があるので注意してください。受取人をスタッフの家族にすれば、保険料の1/2を経費として計上できます。

iDeCoを活用する

iDeCoを活用するのもクリニックの節税対策になります。

個人開業医であれば、月々68,000円まで掛けられ、掛け金は全額所得控除の対象です。月々の掛け金が68,000円の場合、年間で816,000円が控除されます。

iDeCoは投資信託として利益を上げられるのが魅力ですが、元本割れのリスクがあることに留意しましょう。

所得分散を見直す

家族経営のクリニックでは、所得分散を見直すのも有効です。

所得金額が同じでも、1人の所得とした場合は所得税が高くなりますが、家族内で分散すれば、所得税を引き下げられます。

償却資産の廃棄

償却資産の廃棄も節税対策になります。

償却資産は、医療設備やパソコン、空調設備やコピー機などクリニック事業で使用する資産に課税されます。

1月1日時点で所有しているものに課税されるので、12月31日までに廃棄すれば課税されません。

償却資産は台帳を作成し市町村に提出しますが、台帳からも消去しておかないと課税されるケースがあるので注意してください。

特別支出控除を受ける

クリニックの節税対策では、特別支出控除を受けるのも選択肢のひとつです。

特別支出控除は、特定支出の合計が給与所得控除額の1/2(最高125万円)を超えたとき、超過分が控除対象になります。

特別支出控除の対象は以下の通りです。

  • 通勤費
  • 転居費(転任に伴う転居)
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費(転任に伴う配偶者との別居となった場合)
  • 勤務必要経費(衣服費・図書費・交際費など)上限65万円

特別支出控除を受けるには、確定申告の際に明細や証明書の添付が必要です。

租税特別措置法の特例を利用する

租税特別措置法の特例を利用するのも節税対策になります。

ただし、租税特別措置法の特例を利用できるのは一定の条件を満たしたクリニックだけです。

  • 保険診療収入が5,000万円以下
  • 総収入が7,000万円以下

上記の条件を満たしていれば、租税特別措置法の特例を利用できます。

クリニックの法人化を検討する

クリニックの収入が上がったら、クリニックの法人化を検討しましょう。

個人開業のクリニックでは、最大税率が55%ですが、法人化すれば一定で17.59%です。800万円を超えると27.21%になりますが、クリニックの法人化により大幅な節税が可能になります。

さらに、医療法人化すれば、医療法人から給与を受け取れるのも利点です。区分は給与所得となるので、給与所得控除が適用されます。

個人開業の場合退職金はありませんが、法人化により退職金を受け取れるのも利点です。

ただし、法人化すると倒産防止共済には加入できないので注意しましょう。

クリニックの節税対策に関するよくある質問

水色の背景とQ&Aの文字の上に虫眼鏡がある

では最後に、クリニックの節税対策に関してよくある質問を紹介します。

開業にかかった資金は経費に計上できますか?

クリニックの開業にかかった資金は、開業費として経費に計上できます。

対象となるのは、開業までの期間で発生する賃貸料や交通費、広告宣伝費や通信費などです。

ただし、賃貸物件で返金される敷金や、10万円を超える固定資産税、商品の仕入れ代金は開業費に該当しません。

また、開業費は開業した年に全額計上もできますが、翌年以降での計上もできます。

利益が増え所得税が上がったタイミングで、開業費を計上すれば節税対策になるでしょう。

開業医の経費が7割認められるのは本当ですか?

租税特別措置法26条による所得計算では、概算経費の特例が認められています。

この制度を活用すれば、7割近くが経費として計上できるので、節税対策にも有効です。

ただし、社会保険診療報酬によって、計上できる額が異なります。

社会保険診療報酬 経費に計上できる割合
2,500万円以下 社会保険診療報酬×72%
2,500万円~3,000万円以下 社会保険診療報酬×70%+50万円
3,000万円~4,000万円以下 社会保険診療報酬×62%+290万円
4,000万円~5,000万円以下 社会保険診療報酬57%×490万円

※参照:租税特別措置法

クリニックの開業には多額の費用がかかるため、安定した経営ができるようにこの措置が適用されています。

まとめ:クリニックの節税対策は経験豊富な税理士に依頼しよう

クリニックの開業をするにあたって、節税対策はしっかりと考えることが大切です。収入が増えるほど所得税率が高くなりますが、節税対策を取り入れることで負担を軽減させられます。

本記事では今すぐ取り組める節税対策を紹介しましたが、難しさを感じる場合は経験豊富な税理士への依頼を検討しましょう。