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家族性高コレステロール血症の対処(治療)方法
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家族性高コレステロール血症と類似した病気を探す
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家族性高コレステロール血症とは何か
家族性高コレステロール血症(FH)は、LDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)が生まれつき高くなる遺伝性の病気です。特徴としては、(1)LDLコレステロールの上昇、(2)若年での心筋梗塞などの冠動脈疾患、(3)腱や皮膚にできる黄色腫(コレステロールのかたまり)などが挙げられます。
この病気は常染色体優性遺伝で、両親のどちらかから変異した遺伝子を受け継ぐだけでも発症します。日本では約300人に1人が該当するとされ、治療を受けている高コレステロール血症の患者さんの約8.5%もFHの可能性があります。無治療のままだと心筋梗塞などを若くして起こすリスクが非常に高く、早期の発見と治療が重要です。
診断のポイント
FHの診断には以下の3つの基準があります:
* LDLコレステロールが180mg/dL以上(未治療時)
* アキレス腱肥厚や皮膚の結節性黄色腫
* 近親者にFHや早発性冠動脈疾患の既往がある
このうち2項目以上を満たすと臨床的にFHと診断されます。1項目のみでもLDLが特に高い(250mg/dL以上)場合などは、遺伝子検査を行うことがあります。また、FHと診断された場合は、家族にも同様の遺伝子変異がある可能性があるため、ご家族にも検査を勧めることが一般的です。
治療と管理
治療の目的は、LDLコレステロールをできるだけ早く、十分に下げることです。目標値は、心血管疾患の既往がない場合で100mg/dL未満*、既往がある場合は55mg/dL未満とされています。
第一選択薬はスタチンという薬の投与で、これは肝臓でのコレステロール合成を抑える働きがあります。スタチン単独で効果が不十分な場合は、腸でのコレステロール吸収を抑えるエゼチミブを併用します。
さらに重症の場合には、PCSK9阻害薬やsiRNA製剤が選択肢となります。これらはより強力にLDLコレステロールを低下させますが、費用が高額となるため、高額療養費制度も含めて事前に確認してご相談の上処方するか決めることになります。
家族性高コレステロール血症は、「見逃されやすいけれど早期診断が命を救う病気」です。家族に心疾患の既往がある方や、高コレステロールで治療中の方は、FHの可能性を念頭に医師と相談し、必要に応じて検査を受けることが大切です。正しい診断と適切な治療によって、将来の心疾患リスクを大きく減らすことができます。