認知症の原因・症状とは?
認知症(ニンチショウ)の原因
高齢者の認知症の約60~80%を占めると言われるアルツハイマー型認知症に次いで、血管性認知症やレビー小体型認知症が続く。慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症などの疾患が原因となることもある。
認知症(ニンチショウ)の症状
後天的な脳の障害により、認知機能が徐々に低下し、日常生活に支障をきたすようになる疾患。ものを覚えられない、これまでできたことができなくなる、といった症状の他に、徘徊などの行動が見られるようになる。老化現象による、いわゆるボケとは異なる。
認知症(ニンチショウ)の治療
現時点において根本的な治療法は確立されていないが、進行を遅らせる治療薬等の開発が進んでいる。一方、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症などの疾患のように外科的治療で治るケースもある。
【受診科目】
- 脳神経内科
- 精神科
※5人の医師がこの病気について述べています
医師に聞いた
認知症の原因・症状・治療方法
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認知症は誰もがかかる可能性のある病気。進行に合わせて適切なサポートを
認知症は動脈硬化や生活習慣病などの影響によって発症すると考えられていますが、基本的には誰もがかかる可能性のある病気です。病気の発症には遺伝的な要因もあり、脳梗塞を経験している方の場合は進行が速いといわれます。
認知症はもの忘れ(記憶障害)から始まることが一般的で、穏やかだった人が怒りっぽくなるなど心理面・行動面に変化がみられるようになります。やがて進行すると今どこに居るのか分からなくなる、時間の感覚がなくなるといった見当識障害が現れ、さらに進行すると自宅のまわりを徘徊(はいかい)することもあります。
現在のところ認知症対する根本的な治療は確立されていないため、多くの場合症状はゆるやかに進行していきます。忘れっぽくなったことをご本人が気にしているようならまだ安心といえますが、周りの人が気付くような変化がみられた場合には症状が徐々に進行していると考えてよいでしょう。
認知症患者さんはご自分が認知症であることを受け入れられないケースが多く、日常生活を送るうえでは周囲のサポートが欠かせません。処方されたお薬を適切に使用するというのはもちろん、デイサービスや趣味を通じて周囲と関わる機会を持つことも大切です。患者さんご本人が楽しんで打ち込める、生きがいのようなものを見つけてあげてほしいと思います。
さいとう内科クリニック
齋藤 拓郎 院長
- 所沢市/小手指町/小手指駅
- 内科 ●放射線科 ●消化器内科
社会との接点を持ち続けることで症状の進行抑制が期待できる
私たち人間は成長するまでの過程で、話すこと/覚えること/食べること……などの能力を身につけます。認知症はこうしたさまざまな能力の低下が、加齢の速度よりも早く進行する病気です。認知症には日本人にもっとも多いアルツハイマー型認知症のほか、血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の4つのタイプがあります。
認知症の症状にはもの忘れ(記憶障害)などの中核症状のほかにBPSDと呼ばれる周辺症状があり、怒りっぽくなったり、うつ症状が現れたり、食事ができなくなったりするほか、幻覚が見えるという方もいます。こうしたさまざまな症状によって患者さんご本人の生活維持が難しくなり、ご家族が支えきれない状態になることが大きな問題だと言えるでしょう。
現在まで、認知症は根本的な治療法は確立されていません。そのため患者さんには「治らない」ということをご理解いただいたうえで、一人一人がその人らしい生活を続けられるように、適切な治療や介護サービスを受けていただくことが重要となります。完治を望めない病気ではあるものの、デイサービスや友人との会話などを通して社会との接点を持つことにより、病気の進行を抑えることが期待できます。
文京根津クリニック
任 博 理事長・院長
- 台東区/池之端/根津駅
- 内科
お口から認知症の兆しが見えることが多々ある
高齢化が進んできている影響なのかもしれませんが、患者さんの中に認知症の方が多くなってきている実感を持っています。今までなかったことが急に現れるようになると言うのでしょうか。歯みがきを忘れてしまっていたり、磨き残しが目立ってきたり。これまできれいにされていた方が、気づくと、そのような状態が目立つようになってくるのです。
ご家族の方から「ちょっと最近」と相談を受ける機会も多くなってきました。ご家族が近くにいらっしゃる方はまだいいのですが、お一人暮らしやご高齢のご夫婦となりますと、こちらもその後の対応が難しくなってきます。歯周病菌が認知症に関係していることがわかってきており、歯科も関係のないことではありません。お口周辺にその兆候が現れやすいということもあり、気づいたことがあればお伝えするようにしています。
山内歯科医院
山内 真紀子 院長
- 港区/白金台/白金台駅
- 歯科 ●小児歯科 ●矯正歯科 ●歯科口腔外科
「認知症」の治療法は1つではない……?
加齢に伴って患者数が増加する「認知症」には、さまざまなタイプがあります。一般に広く知られるアルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型の「4大認知症」のほか、65歳未満で発症する若年性認知症などもあります。
認知症の治療法は認知症のタイプによって異なります。またビタミン不足などで認知症と同様の症状が現れることがあるため、正しい診断のもとに適切な治療を行うことが大事です。もしも物忘れや幻覚など心配な症状があれば、早めにご相談いただくことをおすすめします。
当院に受診される方の中で、認知症の方は1割程度で、一番多い理由はうつ状態や不安や不眠の方です。日本の医療のいいところは世界にも誇れるアクセスの良さですので、精神的な悩みのある方は一人で抱えずに、重症化する前に是非早めにご相談いただければと思います。
村上医院
村上 健 院長
- 江戸川区/鹿骨/篠崎駅
- 精神科 ●心療内科 ●内科
「他者との交流」こそが認知機能維持に役立つ
認知症は脳の機能低下が生じ、記憶や判断力などの認知機能に影響を及ぼす病気です。年齢を重ねるにつれてさまざまな物質が脳内にたまり、神経の伝達を妨げることが大きな原因だと考えられています。近年は認知症の治療薬開発が進められていますが、いまだ特効薬と言えるものは現れていません。
認知症についてはお薬による治療よりも、非薬物療法によるアプローチが有効です。非薬物療法とは文字どおりお薬を使わず、他者との交流によって認知機能の維持を目指す方法です。たとえばデイケアなどの通所サービスを利用して、家族ではない第三者と会って話をすると脳が刺激され、認知機能にもよい影響をもたらします。
高齢者を1人ぼっちで家に閉じ込めるようなことは避け、社会性を保てる環境を整えてあげることが、認知機能の維持に有効であることをぜひ知っていただきたいです。
西嶋医院
西嶋 公子 院長
- 町田市/成瀬台/こどもの国駅
- 内科 ●小児科