五十嵐 大樹 院長への独自インタビュー

選択肢としての在宅医療を広めていきたい

きっかけは祖父の死でした。祖父は末期の大腸がんで病院で亡くなりました。今とは異なり、当時は終末期は病院で過ごすことしか出来なかったのです。選択肢のひとつとしての「自宅での生活を優先した在宅医療」を普及させたい。この一心で医師を目指そうと思うようになったのです。
大学卒業後は埼玉県にある総合病院で地域医療や在宅医療を中心とした研修プログラムを受け、都内の在宅医療専門クリニックに勤務したのち、2020年の春に『中野訪問クリニック』を開院いたしました。地域医療を担っていく上で、私自身が住民の1人である馴染みのある中野で訪問診療を始めていきたいと考えたのです。

生活面を相談できる主治医に

患者さんは、ご高齢の方、精神科の疾患、がんの終末期の方など様々な理由で通院が困難になった方が対象ですが、これまで医療をまったく受けてこられなかった、主治医のいない方も増えている印象です。在宅医療の主治医であるからには、病気だけではなく、生活面や家族背景まで把握していることが重要です。外来診療で診るよりも、ご自宅に伺えば、どのように毎日を過ごされているか、一目瞭然です。例えば、お薬を出すとしましょう。外来ではお渡しするだけですが、この人は飲めるのか？ということから始まるわけです。在宅医療では、誰が飲ませて、誰が確認し、服薬の体制をどう維持していくかまでを視野に入れることになります。ご自宅での生活環境が大きく影響を与えるため、様々な情報を共有し患者さんを支えていくことになります。

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