佐山 圭子 院長
YOSHIKO SAYAMA
「かわいいけれど大変!」ではなく「大変だけどかわいい!」
そんな子育てになるように、スタッフみんなで子育てを支援していきます
和歌山県立医科大学卒業。国立国際医療研究センター、静岡県立こども病院、佼成病院、都立広尾病院、まつしま病院等で小児科医として研鑽を積む。保健センターで健診業務を担当後、2011年に『ひだまりクリニック』を開業(東京メトロ丸の内線「東高円寺駅」より徒歩5‐6分)。
佐山 圭子 院長
ひだまりクリニック
杉並区/和田/東高円寺駅
- ●小児科
母親を大事にすることの大切さを身をもって知って
1人目の子を産んだ時、すごく辛かったんです。切迫早産で10週間入院したのですけども、点滴と安静は、ありふれた医療行為ですが、患者になり大変なことがよくわかりました。お産も、サポートをあまり受けられず、再手術が必要な会陰裂傷となり、本当に心身ともに納得できない辛い思いだけが残ったお産でした。子育ても不安がいっぱい「かわいいけど大変」で、キャリアが閉ざされる気持ちも強く、なかなか「二人目を」という気にはなれなかったんですね。
復帰して担当した摂食障害の女の子から「親に愛された実感がない」と訴えられたとき、自分自身のことを改めて考えることになりました。自分の子どもは愛された実感をもってくれているのか?と。子育てを経験したのに、不安な母親から訴えられると一緒に不安になるような小児科医だったことにも気づき、「このままではいけない」と、最初の子から6年近くが経ち、2人目をと思えるようになりました。「今度は絶対に満足できるお産をしたい」そう考えた私は、探し求めて妊娠期から信頼関係を作る産婦人科と助産師の二人組に出会い、お産に臨みました。二人で本当に大事にしていただきました。出産は幸せな体験で子どもはかわいく、「大変だけどかわいい」そんな子育てができました。「母親を尊重して支援することが子育てへの力になる」それ以来、私は、子育て支援は母親支援からという信念を持って働いています。
その後10年ほど経て、クリニックを立ち上げました。
子育て支援は、母親支援から
『ひだまりクリニック』は2011年の開院以来、乳幼児健診・予防接種、そして母親学級を中心とした予防中心の医療を提供しています。完全予約制となっており、感染症の方と接触する心配がありません。2015年には1階のみだったクリニックを、産後間もない時期の母親を支援するために助産師が活躍できる場を作りたくて2階まで拡張し、母乳育児支援や産後ケアをおこなっています。産後ケアとは、産後の不安と緊張でいっぱいで支援が不足する時期に、母子の育ちを見守る支援のことです。よく知られていることですが、産婦人科と小児科の間には“切れ目”があります。小児科に行くのはワクチンのための生後2ヶ月後になることが多く、産後の一番心細い時期の支援がすっぽり抜けてしまってるんですね。そこを切れ目なく継続的にフォローしていくのが産後ケアです。休息できるだけでなく、母親として子育てのスキルを少しずつ得て自信をつける、元気になり子育てが楽しく思えるようになる、それが産後ケアの目標です。
医師が1階にいるので、医療的にも、お母さんやスタッフの安心、サポートにもなります。不安で聞きたいことがあれば、助産師だけでなく医師にも気軽に聞けますしね。子育てには、お母さんの幸せ・元気が一番大切です。「かわいいけど大変!」ではなく、「大変だけどかわいい!」と思える子育てを私たちがみんなで支えていきます。保険診療も予防接種も同じ時間にすることができます。特に双子育児の方は楽だと思います。
お母さんに必要な知識を提供する母親学級
月に2回、乳児期の前半と後半にわけて、「ねんねクラス」と「はいはいクラス」をしています。母親学級には予防のための健康教育的な要素がありますし、いろいろな赤ちゃんやお母さんに出会うのもとても意味のあることです。健康な赤ちゃんを育てていても、育ちの折々に不安はつきものです。生活リズム、泣き、体重増加、発達、母乳やミルク、食事、育児環境、事故、抱き方・あやし方・寝かせ方、睡眠夜泣き、、、多かれ少なかれ悩みのない子育てはないでしょう。お風呂の入れ方から上の子の赤ちゃん返りや夫との関係性なども話題になります。病気に関しては、重症度の見分け方、ホームケアなど、お母さんに必要な安心できる知識をおつたえしています。初めてのお子さんですと、お母さんも不安ばかりで、子どもの熱にもドキドキしてしまうものです。でも、病気は子どもが育つ中で必ずかかるもの。そして、その経験が次にいきます。最初は不安だったお母さんも、病気の子どもをみる目が育っていきます。クラスの出会いから、お母さんたちが仲良くなりお付き合いが続いて助け合っているのを報告してもらうこともあり、とても嬉しく思っています。子育ては正解はないといいますが、私達も正しいことを伝えるだけでなく、一緒に問題を考えていきましょうという気持ちでいます。母親学級、健診、予防接種、産後ケア、母乳相談、、、当院では、一貫して「伴走型支援」を目指しています。
指導ではなく、支援。まずお母さんのお気持ちを聞くことから
私たちは知識を提供しますけど、選ぶのはお母さんです。お母さんにはそれぞれの背景があり、考え方や価値観も異なります。そして、どのお母さんも、最初はいろんなことに悩んでらっしゃるのです。今はネットからの情報で、リアルな場での相談をしないまま悩みを深めている方が多いのも気になっています。ひだまりクリニックでは、まずお気持ちを聞いて、お母さんの意思を尊重しながら、何が現実的にできるかということを一緒に探していきます。指導ではなく支援です。正しいと思うことを一方的に伝えるだけでは足りないと思っています。母乳にかける思いもそれぞれで、お気持ちを聞いたうえでできることを一緒に工夫して進めていきます。子育てにはこれをしたらうまくいくという絶対的な正解はなく、一人一人に向き合いながらのアドバイスが大事なのだと思っています。日本の少子化がここまでになった大きな要因として、女性が大事にされてこなかったことがあると考えています。女性なら母親になるのが当たり前、痛みに耐えて当たり前、母親ならやるのは当然で、できて当たり前、仕事はやめて当たり前、病気になれば母親が呼ばれて仕事の工面をして看病するのが当たり前、こうした社会の風潮であったり偏見、場合によっては母親自身の思い込みも子育てを大変なものにし、孤独に抱え込み、結果、私自身もそうでしたが、「1人でもういい」となってしまう。そんな子育ての前向きでない辛い話悲しい話を聞けば、周囲の人も前向きになれませんよね。子育てをしてこなかった現在の社会のトップ(政治や企業の)は、集団生活の初期にどれほど頻回に子どもが病気になるか、家事と仕事の両立、そこに子どもの看病が加わるとどれほど大変か全く知らないのです。もっと子育て世代の現状を知るべきだと思います。
お産は女性にとって大きな決断。男女平等の教育をされて久しいですが、お産も母乳育児も母親でなくてはできません。覚悟をしてそれを引き受ける女性に産んでよかったと思ってもらえるように、女性の周囲の人、地域、社会、国は、しっかり女性を支えなくてはならないと思います。そのうちの一分野に医療もあるでしょう。母親が「産んでよかった」「子どもが可愛い」「子育ては楽しい」と思えるからこそ、子どもも生まれてきてよかったと思えるのです。「遅い」と思う方もいらっしゃるでしょうが、今、ようやく国も全力で取り組み始めています。少子化・産後うつ・虐待・・・それらが少なくなるようにと願い、助けてくれる人がいると思ってもらえるように、産後ケアをスタッフみんなで取り組んでいます。よりよい質の産後ケアが、どこにいても望む人だれもが公平に提供されるようになっていけばいいと願っています。
これから受診される患者さんへ
子育てに正解はありません。初めての子育ては悩むことばかりでしょう。なぜ自分はできないんだろう、なぜこの子はこうなんだろうと。自責の念で苦しむ方もいらっしゃいます。出産も子育ても、大変なことや悩むことは多いでしょう。心にも身体にも負担がかかります。でも、その悩んだことも決して無駄なことではありません。立ち止まることがあっても、ゆっくりでもいいんです。ちょっとずつ、あなたらしく、子どもと一緒に育っていけばいいと思うんですね。誰にでもその力はあります。その力を引き出して、工夫しながらできることを一緒に考え、一緒に育ちを見守り 、一緒にその育ちを喜ぶ、それが私たち支援者の役割です。お母さんの笑顔が、子どもには一番。
お母さんが笑顔になれるように願って、助産師、保育士の多職種連携で応援しているクリニックです。
※上記記事は2023年9月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。
佐山 圭子 院長 MEMO
- 出身地:東京都
- 趣味・特技:手芸、縫い物
- 好きな本・作家:トルストイ
- 好きな音楽やアーティスト:Cateen、松任谷由実
- 好きな場所:高原
- モットー:「子育て支援は母親支援」
- 出身大学:和歌山医科大学
グラフで見る『佐山 圭子 院長』のタイプ
穏やかで明るく話しやすい先生 |
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
穏やかで明るく話しやすい先生 | ||||
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
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