ウイメンズクリニック南麻布
港区/南麻布/広尾駅
- 婦人科
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清水 敬生 院長への独自インタビュー
進行癌から患者さんを救う「ガイドラインを超えた医療」。
幼い頃から人と違うことをするのが好きな子で、小中学校の先生に大分ご迷惑をおかけしました。何かを解決する時、人とは違う方法を見出していく。良くも悪くも私の小さい時からの特徴であったようです。その精神は医師になってからも変わりませんでした。ガイドラインをご存じでしょうか?これはあくまでもminimal requirementであって必ずしもbest managementではありません。これだけやっていれば何かトラブルが生じても問題にはならない(医療訴訟になっても負けない)という医師を守る規約になっているという見方もできます。婦人科癌治療に於いてガイドラインに従うと、3,4期の進行癌を完治させることはほぼ不可能です。私は癌研究会付属大塚病院および国際医療福祉大学三田病院で婦人科進行癌の治療に20年以上取り組んできました。通常進行癌を治療する時は、先に手術をして、その後に抗がん剤治療を行います。しかしこの方法では3,4期の進行癌を治すことはできません。これに対し私は先に抗がん剤治療をして、転移癌を消して、原発巣を小さくすることにより3,4期癌を1,2期以下にして、その後に拡大手術を行い、根治不能と診断された3,4期の患者さんを少なからず助けてまいりました。これはガイドラインから外れる治療です。ガイドラインを無視するのではなく、それを超える治療であると考えております。
ガイドラインを超える治療例として、これまで私のグループで行ってきたことは、1) 子宮頚部円錐切除の日帰り手術、2) 頚癌IB1-2期(腺癌も2例含まれる)に対する抗癌剤治療の後、円錐切除で子宮温存し、妊娠出産まで可能にした事、3) 子宮体癌と誤診される事の多い子宮筋腫の一種であるAPAM (atypical polypoid adenomyoma)を癌研時代 (1997年)に初めて病理診断(癌研病院の病理部門の診断は子宮内膜癌G2)し、子宮温存、妊娠出産に成功し、その後38例を子宮温存出来ていること、4) 子宮内膜癌 (子宮体癌) のホルモン療法 (子宮温存): 以前日本の学会や研究会で年齢制限(42歳まで)があったが、当時から年齢ではなく女性ホルモン値 (LH, FSH, E2測定)に基づいて、子宮内膜癌に対しホルモン療法を実施継続し、なるべく子宮摘出しない方針で管理している。5) 卵巣癌IA期に対して妊娠する能力を温存する治療を施行、 6) 卵巣癌のなかでも予後不良といわれている明細胞癌IC期例で、子宮温存し、妊娠出産に成功した事、7) 卵巣子宮内膜症(米国ではチョコレート嚢胞) 5cm以上でも (10 cm以下まで) 90%以上の患者さんにおいて、注射(Gn-RH agonist)と低用量ピルによる治療のみ (手術なし)で寛解(いわゆる治った状態に)させていること、8) 子宮筋腫も同様になるべく手術しない方法で管理している事、などがあります。患者さんの要求レベルは年々高くなっており、ガイドライン治療のみでは対応しきれません。患者さんがガイドラインを超える要望を医師に求め、それに答える新たな治療を開拓することにより、ガイドラインが書きかえられることにもつながっていると考えております。従って、患者さんは遠慮せず、非常識なくらい高い要求をしてもよいと思っております。医師はそのかじとりをし、さらに勉強をして新たな治療の開発に努め、その結果医療が進歩していくと考えております。
婦人科で最も難しい子宮頚部円錐切除数はが日本最多。
当院の特徴でもあります「円錐切除の日帰り手術」は、私自身は1997年に始めましたが、日本ではスタンダード(ガイドライン治療)にはなっておりません。因みに海外では殆どの国で日帰りです。当院では、日帰り円錐切除を毎週5例行っています(2014年:262例)。患者さんの多くは妊娠を希望されており、切除による早産のリスクを心配されます。大きく切り過ぎないで欲しい。しかしながら悪い所(CIN III)はちゃんと取り除いて欲しい。即ち、「ちゃんととって下さいね、でも取り過ぎないで」という手術です。子宮の手前側の切除範囲は術前に確認できますが、切除幅、及び頚管(頭側)の切除範囲はわからないまま切除しなければなりません。進行癌の様に徹底的に切除する(取る)のと違い、残す手術ですから、婦人科で最も難しい手術であると思っております。相当な経験と病理の知識(自分で標本を見れる能力)が必要です。当院では、1) HPVの型(31種類検索)、2) 異形成の質(軽度、中度、高度)、3) 異形成の量(コルポスコピーで見える異形成の範囲)の3つの要素を考慮して円錐切除の必要性を十分検討した上で、円錐切除しております。異形成を有する患者さんに対しては、組織診を治療的に行い(数多く、深く採取)、なるべく円錐切除を回避できるよう努力しています。 ささやかではありますが、この場所から世界基準の治療[office gynecology]を展開させて頂ければと思っております。
婦人科のガンの専門家で、日本で一番の日帰り手術の症例をもっている先生です。