まゆこころのクリニック
竹内 真弓 院長の独自取材記事
人の心と人生に向き合い、その人らしい歩みを支える精神科医療
竹内 真弓 院長タケウチ マユミ
初期スーパーローテートののち、みさと協立病院精神科研修を経て、総合病院でリエゾン診療を担当。
東京都立多摩総合精神保健福祉センター、代々木病院精神神経科に勤務。そのほか、保健所精神保健相談や症例スーパーバイズ等を担当。2026年4に『まゆこころのクリニック』を開院(京王線「幡ヶ谷駅」から徒歩6分)。
人権とは? 心を病むとは? 考え続けたその先に
私が精神科医を志した原点には、幼少期の経験があります。子どもの頃、容姿をからかわれることがあり、その経験を通して「なぜ人は人を傷つけるのか」「人が心を病むということはどういうことなのか」と考えるようになりました。小学校に入った頃には、すでに精神科医になりたいと思っていました。人が抱える苦しみや悩みに寄り添い、その人がその人らしく生きていくためのお手伝いがしたいという思いが、自然と進路につながっていきました。
川崎医科大学を卒業後は、精神科医としての基礎を学ぶため、さまざまな診療科を経験する研修を経て、みさと協立病院などで精神科の研修を行いました。その後、東京都多摩総合精神保健福祉センターや代々木病院精神神経科などで経験を積み、患者さんの生活そのものを見つめる精神科医療に向き合ってきました。
また、子育てをしながら働く中で、非常勤という形でさまざまな現場に携わりました。病院で患者さんを待つだけではなく、多くの方々の人生や背景に触れる機会を得たことは、現在の私の診療スタイルにも大きくつながっています。
患者さんを中心に考える「生活臨床」の考え方を大切に
私の精神科医療の根底にあるのは、「生活臨床」という考え方です。これは、病名だけを見るのではなく、その方がどのような環境で暮らし、どのような人間関係の中で生きてきたのか、その生活全体を見ていくという考え方です。
このスタイルでは、患者さんを中心に、医師だけではなくスタッフ全員が治療に関わります。例えば、診察室の中だけで患者さんを見るのではなく、受付やスタッフが日々の変化に気づくこともあります。「最近少し元気がない」「何か困っていることがあるのではないか」といった小さなサインをチームで共有し、その方に必要な支援を考えていきます。精神科の治療は、薬だけで完結するものではありません。その方自身が、自分の人生をどう歩んでいくかを考えられるようになることも大切です。
以前の現場では、患者さん自身が中心となって活動する取り組みもありました。患者さん同士で話し合いながら物事を決めたり、互いに支え合ったりする中で、思いもよらない変化が生まれることがあります。人は誰かに一方的に支えられるだけではなく、誰かを支える、誰かにとって必要な存在にもなれる。その力を引き出していくことも、精神科医療の大切な役割だと考えています。
症状だけでなく、背景にある人生や環境を見つめる
現在、精神科を受診される方の背景は大きく変化していると感じています。
不眠、不安、気分の落ち込み、意欲の低下などを主訴に来られる方は多くいらっしゃいますが、その背景には、過去のつらい経験や人間関係、家族との関係、職場でのストレスなど、さまざまな要因が関係していることがあります。例えば、いじめや虐待、ハラスメントなどの経験が心の傷となり、その後の生活に影響を及ぼしている方もおられます。症状だけを見るのではなく、「なぜ今、この状態になっているのか」を一緒に考えていくことが大切です。
また、最近では発達特性について相談される方も増えています。ただ診断名をつけることだけが目的ではなく、その方が生活の中で困っていることを整理し、どうすればより過ごしやすくなるのかを考えていくことが重要だと思っています。
さらに、心の状態には身体的な要素も関係します。栄養精神医学という分野でも、亜鉛やビタミン、鉄分などの不足が、意欲低下や気分の落ち込みなどにつながることがわかってきています。
心の問題だから心だけを見るのではなく、身体の状態や生活環境も含めて、その方全体を見る。それが私が大切にしている診療の姿勢です。
心を癒やす空間づくり
私がこのクリニックをつくるうえで大切にしたことの一つが、患者さんを迎える「空間」そのものです。精神科の診療では、薬や言葉による治療だけではなく、その方がどのような環境で時間を過ごすかということも大きな意味を持つと考えています。
クリニックのデザインには、シュタイナー理論(アントロポゾフィー理論)の考え方を取り入れています。私自身、子どもの教育を通じてシュタイナー教育に触れ、そこからシュタイナー医学についても学ぶようになりました。学校の校医を務めた経験もありますし、現在も勉強を続けています。
シュタイナー医学では、色彩や芸術、身体を動かすことなど、人間の感覚や心の働きを大切にします。クリニックの内装も、そうした考え方から生まれています。色の配置や組み合わせには、それぞれ意味があります。例えば、ピンクからオレンジに近い温かみのある色は、部屋全体に包まれるような安心感を与えることを意図しています。ゲーテの色彩論をもとに、シュタイナーが発展させた色彩の考え方では、赤のような暖色には人を温める作用があり、反対に青やグレーのような寒色には落ち着かせる作用があると考えられています。特に診察室は、トラウマを抱えている方や、緊張や不安の強い方が多く訪れる場所です。そうした方が少しでも身体の力を抜き、安心して過ごせるように、強すぎない、柔らかな温かさを感じられる色合いになっています。
すべての患者さんに同じアプローチが適しているわけではありません。ただ、精神科の治療では、その方が本来持っている力をどう引き出していくかが大切です。そのためには、診察室で交わす言葉だけではなく、患者さんが安心して自分自身と向き合える環境を整えることも必要だと思っています。
この場所が、ただ診察を受けるためだけの場所ではなく、「ここに来ると少し落ち着く」「また前を向いていけそうだ」と感じてもらえるような場所になればと思っています。
これから受診される患者さんへ
精神的な不調を抱えている方の中には、「これくらいで相談していいのだろうか」と迷われる方も多いと思います。でも、不安や眠れないこと、気分が落ち込むこと、人間関係で悩んでいることなど、どのようなことでも構いません。つらさを一人で抱え込まず、まずは相談していただきたいと思っています。
私はこれまで、人権ということを大切にしながら精神科医療に携わってきました。ハラスメントや家族関係、人間関係の悩みなど、症状だけではなく、その背景にある困りごとも含めて一緒に考えていきたいと思っています。必要であれば、制度的な支援や、専門的な相談先につなぐことも含めて、その方にとってより良い道を探していきます。
精神科は決して特別な場所ではありません。人生の中で少し立ち止まり、自分自身を見つめ直すための場所でもあります。「少しつらいな」「誰かに相談したいな」と感じた時に、気軽に訪れていただける存在でありたいと思っています。
※上記記事は2026年6月に取材したものです。時間の経過による変化があることをご了承ください。
竹内 真弓 院長MEMO
- 出身地:
- 大阪府
- 出身大学:
- 川崎医科大学
- 趣味:
- 旅行、料理、お芝居、ジャズ、古武道
- 好きなジャズプレイヤー:
- ブロッサム・ディアリー 、キャノンボール・アダレイ、他
- 好きな場所:
- 自然が感じられるところ
- 好きな言葉・座右の銘:
- 「止まない雨はない」「人は乗り越えられる試練しか与えられない」
心の不調や悩みに丁寧に向き合い、安心して相談できる完全予約制のクリニック
まゆこころのクリニックは、幡ヶ谷駅を最寄りとする完全予約制の心療内科・精神科です。一人ひとりの気持ちや状況に丁寧に耳を傾け、不安や悩みを抱える方が安心して思いを話せる診療を大切にしています。院長の竹内真由先生は、患者様との信頼関係を重視し、それぞれに合った支え方を心がけています。院内には落ち着いた雰囲気が広がり、緊張しやすい方でも穏やかな気持ちで過ごしながら受診できる環境が整えられています。
心の不調や悩みに丁寧に向き合い、安心して相談できる完全予約制のクリニック
まゆこころのクリニックは、幡ヶ谷駅を最寄りとする完全予約制の心療内科・精神科です。一人ひとりの気持ちや状況に丁寧に耳を傾け、不安や悩みを抱える方が安心して思いを話せる診療を大切にしています。院長の竹内真由先生は、患者様との信頼関係を重視し、それぞれに合った支え方を心がけています。院内には落ち着いた雰囲気が広がり、緊張しやすい方でも穏やかな気持ちで過ごしながら受診できる環境が整えられています。