内痔核の原因は排便時のいきみ。便秘・下痢をしないよう健康的な生活習慣を
肛門の内側には静脈叢(じょうみゃくそう)という大量の毛細血管が張り巡らされており、肛門をぴったり閉じるためのクッションのような役割を果たしています。排便時に強く・長時間いきむと肛門周辺に負担がかかり、静脈叢の血流が悪くなって内痔核(いぼ痔)が生じます。内痔核が発生する静脈叢には痛覚がないため、初期には出血がみられても痛みを感じることはほとんどありません。ただし進行して内痔核が脱出すると痛みを感じるようになります。
内痔核は[I度]肛門から脱出していない(排便時に出血がみられる)、[II度]排便時に内痔核が脱出するが自然と戻る、[III度]排便時に内痔核が脱出して手で戻さないと戻らない、[IV度]排便に関係なく内痔核が脱出したままの4つのタイプに分類され、重症度によって治療法が異なります。[I度]と[II度]は外用薬やフェノールアーモンドオイル(PAO)と呼ばれる効果のマイルドな注射治療(痔核硬化療法)が適応となります。[III度]の場合はジオン注射による治療が適応となり、[IV度]については切除手術が行われることが一般的です。
内痔核は便秘や下痢で長時間トイレに座り、肛門に負担がかかることによって生じます。そのため排便は3分を目安にし、長時間にわって強くいきむことは避けましょう。便が硬くならないように十分な水分摂取を心がけ、必要に応じて医療機関で便をやわらかくする薬を処方してもらうのもおすすめです。