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市川 訓基 院長

KUNIMOTO ICHIKAWA

豊富な知識と経験をいかして「在宅輸血」にも対応
地域の中で患者さんとご家族の暮らしを支えていく

順天堂大学医学部を卒業後、血液内科を専門に研鑽を積む。大学病院での診療を経て在宅医療に携わるようになり、在宅医療の専門医・指導医、在宅褥瘡管理者の資格を取得。2020年4月、「平井駅」そばに開業。

市川 訓基 院長

市川 訓基 院長

ICHI Clinic(イチクリニック)

江戸川区/平井/平井駅

  • ●訪問診療

大学附属病院勤務時代から在宅医療に場所を変えても変わらぬもの

市川 訓基 院長

私が訪問診療と出会ったのは、医師免許取得後5年目、“2泊3日”の日・当直のことで、本格的に在宅医療に従事するようになったのは2015年11月からになります。それまでは初期研修終了後に大学附属病院で血液内科医として勤務しておりました。病棟でも外来でも、患者さんからじっくり話を聴き、その後診察台で頭部から足先まで視診・聴診・打診・触診を実施し、さらに検査の結果や処方の話をして今後の予定などを伝えるという、いわゆるクラシックスタイルを実践しておりました。これは今の在宅診療においても全く変わることのないスタイルです。そのため、大学病院時代は外来の進みが遅く、時間が経つにつれて徐々に患者さんの待ち時間が長くなっていってしまう反省点はいつもあり、迷惑をかけていましたが……(笑)。ただ研修医時代から一貫してこのスタイルで診察をしてきたので在宅に場面を変えても違和感がなかったのかもしれません。むしろ、病院と違って在宅ではすぐに結果がわかる検査が限られており、病院勤務時代よりもより神経を研ぎ澄ませて話を聴きながら診察をし、鑑別診断を考える癖がついたように思います。

在宅輸血を実践してみて

市川 訓基 院長

在宅輸血件数は少しずつ増えていき、2024年は270件を超えました。ひとえに一丸となって在宅輸血を支えてくれる方々のおかげだと思っています。在宅輸血は、私が開業してからの5年間で実施医療機関はすごく増えたと思います。一方で大事なことは安全管理です。在宅輸血は輸血細胞治療学会が小規模施設(在宅を含む)輸血ガイドを出していますが、我々のクリニックでもそのガイドを参照して実践しております。訪問看護ステーションと協力して輸血中の状態確認は輸血終了まで必ず行いますし、安全な輸血を可能とする輸血前検査(不規則抗体・クロスマッチ確認)、輸血ごとの患者血清を-20℃で2年間保管、輸血後の輸血バッグを1週間程度輸血専用保冷庫で保管する、などです。在宅輸血により、通院困難な患者さんが自宅で過ごす時間を有意義にすることができるようになってきています。今後も安全管理の徹底は継続して、在宅輸血には取り組んでいきたいですね。

在宅救急にもしっかり取り組んでいく

市川 訓基 院長

普段は落ち着いている患者さんでも、急に体調を崩すことはよくあります。我々のクリニックでは、よほどのことがない限り、診療に行かずに「救急車を呼んでください」という対応はとりません。突然発症で明らかに脳血管障害が疑われる、心筋梗塞が疑われる場合などで本人・家族が病院受診を希望すれば救急車を先んじて呼んでもらうこともありますが、そのような場合を除くと、まず自分たちで診察をします。その上で入院が必要、あるいは入院したいという希望が強い場合には我々が責任をもって病院選定をし、救急隊には選定した病院に搬送してもらうだけという対応をとっています。その際、病院受診の希望がなければ、ショック、肝性昏睡による意識障害、心不全、肺炎等も自宅で加療しています。深夜往診で現着時の収縮期血圧が60前後で、敗血症性ショックの状態から訪看ステーションと協力して大量輸液+抗生剤で救命した症例もありましたし、夜間・休日に突然の肝性昏睡でモリヘパミン○Rを開始してほどなく改善した症例、心窩部に再発難治の悪性リンパ腫がある末期の方で、深夜に突然嘔吐がとまらなくなった方にその場でステロイドの大量療法を開始し、リンパ腫の縮小・胃の幽門部の通過障害の是正を図りつつ、一方で鎮静希望がありましたので医療用麻薬の皮下注射などを併用して緩和ケアを実施したりと、時間帯を問わず積極的にプライマリケアを展開しています。どこまでやるか、こういう時にどんな対応をとるか、普段から「advanced care planning」をしっかりすることで適切に対応できるように心がけています。

一人一人の思い、家族の思いにこたえていく

最近、印象的な事例を経験しました。70歳台で乳がんがあり、脳・肺・骨に転移しているものの普段はADLも自立している方が、ある日の夕方、入浴後に突然意識障害で倒れてしまいました。現着時の意識レベルは痛み刺激にも全く反応がない状態でした。家族の希望もあり、紹介元病院の当直医に診断目的での受け入れをお願いし搬送となりました。結果、意識障害の原因は転移性脳腫瘍からの出血とわかり、「自宅で看取りたい」という希望でそのまま自宅に戻ってきました。早朝往診をし、お話を伺ったところ、家族の思いとしては「家で看取るために帰ってきたけど、奇跡的にまだ呼吸していている。末期癌状態とはいえ、『今までありがとう』とせめて一言しっかり伝えたい」という希望が聞かれました。そこで、少しでも脳圧を下げるためにステロイド大量療法を開始しました。同時に、それまで介護認定、訪問看護も利用されていなかったため、急遽その日に集まれる人に集まってもらいサービスを開始し、奇跡を信じての在宅ケアが始まりました。すると徐々に意識が戻って来るという奇跡が起こったのです。ただ、ご自分で経鼻から胃管も抜いてしまう状況で、静脈点滴ルートの確保も厳しそうだという判断となり、担当者会議では「できるところまでやって様子見ましょうかね」という空気が漂ってきていました。そんな時に、我々のクリニック同行看護師から「胃瘻を作って家族の想いに応えていくという選択肢を試してもよいのでは」という意見が出され、家族も「よしやってみよう」ということになり、近隣病院に胃瘻を作っていただき、ボタン型で自己抜去の心配もなく栄養管理や内服管理もできるようになりました。
イベント発生から3か月がたちますが、今では会話もでき、嚥下リハも順調で、起立に向けたリハビリに取り組んでいます。残された時間がどれくらいあるかわからない中で、本人・家族は1秒1秒の時の刻みを大切に充実した時間を過ごしています。我々としても、あの日すぐ集まってくれたケアマネを中心としたチーム一同に感謝しつつ、これからも一丸となって支えていきたいと考えています。

これから受診される患者さんへ

地域の皆さんのサポートもあり、少しずつクリニックの規模が大きくなってきています。思いを共にする仲間とともにこれからもこの地域の在宅医療・看護を支えていきたいと考えています。「信は万物の基を為す」という言葉があります。あらゆることの根本にある「心」「信」「真」を大切にしつつ、「いのちだいじに」を実践してまいります。生きているということの証しとしての「いのち」、1秒1秒経過していく時間としての「いのち」、すべての出会いに感謝しつつ、この限りある「いのち」を患者さんやその家族、そして地域をサポートする仲間とともに一緒に笑いながら大切に刻んでいきたい、そう願っております。

※上記記事は2025年5月に取材したものです。時間の経過による変化があることをご了承ください。

市川 訓基 院長 MEMO

総合内科専門医 /血液専門医

  • 出身地:茨城県
  • 出身大学:順天堂大学医学部
  • 趣味:釣り
  • 好きな作品:『いまを生きる』
  • 好きなアーティスト:葉加瀬太郎
  • 好きな観光地:北欧
  • 好きな言葉:「信は万物の基を成す」

グラフで見る『市川 訓基 院長』のタイプ

どちらかというと
エネルギッシュで明るく話しやすい先生

穏やかでやさしく
話しやすい
エネルギッシュで
明るく話しやすい

先生を取材したスタッフまたはライターの回答より

どちらかというと
エネルギッシュで明るく話しやすい先生
穏やかでやさしく
話しやすい
エネルギッシュで
明るく話しやすい

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