松永 千秋 院長
CHIAKI MATSUNAGA
患者さんの個性を尊重して診療する
大学院を修了後、留学を経て母校の浜松医科大学の医局に籍を置き、その後、神奈川県の精神科単科病院の副院長として研鑽を積み、2010年に『ちあきクリニック』を開院いたしました
松永 千秋 院長
ちあきクリニック
目黒区/自由が丘/自由が丘駅
- ●心療内科
- ●精神科
命ってなんだろうってことに子どもの頃から興味を持っていた
人が心を持つとはどういうことなんだろうか、生きるってなんだろう、命ってなんだろうってことに子どもの頃から興味を持っていたんです。そもそも私が早稲田で物理学を学んだのは、その答えを得ようとしてのことでした。物理とは、物事のすべての理ですから、心までもわかるんじゃないかと子供心に考えたのです。
しかし、実際にはいまだ、生命を構成するたんぱく質の解明さえままならない状況です。まして、私が知りたいのはその先の世界、心の段階ですから、「とてもそこにはたどり着けそうにない…」と思い、再び道を探し始めるようになりました。その行き先を医学に向けてくださったのが、当時物理学の教授をされていた大槻義彦先生でした。私は先生のアドバイスを受け、よりダイレクトに、人そのものの治療に携わることで理解を深めることができると期待し、医学部へと進み、精神科の門をくぐることになったのです。
大学院を修了後、留学を経て母校の浜松医科大学の医局に籍を置き、その後、神奈川県の精神科単科病院の副院長として研鑽を積み、2010年に『ちあきクリニック』を開院いたしました(東急東横線・自由が丘駅から徒歩5分)。
病院勤務時代、今に続く性同一性障害の専門外来を立ち上げたのですが、徐々に認知されてくるようになると、週1回の専門外来では対応しきれない部分がどうしても出てきました。また、性同一性障害の方はホルモン治療や染色体検査が必要になりますが、病院では保険診療の枠もあり、これに対応するのが難しいということがありました。そうした状況を鑑み、私にできる最善の選択として、自らのクリニックを立ち上げることになったのです。
個別性というものを尊重して診療をしていきたい
この近辺にお住まいの方になりますと、神経症やパニック障害といった不安障害で来院されているケースが多いように思います。
私はこれまで性同一性障害を中心に診てきたということもあって、個別性というものを尊重して診療をしていきたいと考えています。悩みの種類は人それぞれで、解決策もその数だけ存在します。決まりきった治療の形が存在するわけではありませんから、その人の背景や心の奥底までを知らないことには、有効な治療とはならないのです。
たとえば、「私はお薬を飲みたくありません」という方がいらっしゃるとしましょう。そのままお薬を使わずにのぞむこともありますし、弱いものから始めて、お薬の有効性を徐々に知っていただいきながら精神療法と併用しておこなうこともあります。患者さんひとりひとりの希望を汲み取り、それを治療の中に組み入れていくことが非常に大切なのです。
悩みの形は多様であり、目指すゴールは人それぞれ
私も委員の1人として携わっている、『日本精神神経学会・性同一性障害に関する委員会』のガイドラインに沿っておこなうものになります。先程もお話ししましたが、悩みの形は多様であり、目指すゴールは人それぞれです。ガイドラインに沿って治療を進めていきながら、一方で形にはめるのではなく、その人の気持ちや生活環境に思いを馳せることが大切になります。
性同一性障害の難しいところは、ご本人の希望というものを自身がよくおわかりになってないことが多いことにあります。そこで見られるのは、性同一性障害とはこういうもの、という社会通念に縛られているケースです。言ってみれば、無意識に自己を抑圧されているわけですので、そこから解き放てるように導いていくことが最初の関門になります。よくカミングアウトと言いますけども、まずは自分自身に対するカミングアウトが必要なのです。生き方は自由なのだということを、あらためて気づいてていただくことが大切です。
私は浜松医科大学に籍を置いた当初、森田療法で著名な大原健士郎先生に師事していたことがありました。森田療法はもともとは神経症に対する治療法ですが、その根本的な考えとして、「あるがまま」ということがあります。不安を消そうとしても、そこにばかり意識が向いてしまうと、かえって不安を増大させていくことが往々にしてあります。ですから、症状(気持ち)に支配されるのではなく、自分が立てた目標にしたがった行動を重視することが、森田療法の要諦になります。
性同一性障害の治療においても、型にはめるのではなく、自分らしい生き方をつかみ、それに向かって行動をしていくことが大切です。その考え方の発展において、森田療法の影響を受けていると言えるかもしれませんね。
何事も知ることから始まる
臨床心理士さんや学校の先生方に「性同一性障害とはこういうものですよ」といったことをお話させていただいています。
性同一性障害の対応となると、皆さん一様に難しいものと思われがちなんですね。専門的過ぎるのではないかと。でも実際は特別なことは何もなくて、その人の個性を尊重し、その人らしくサポートしていけば良いものであり、その点では教育の基本的な考えとなんら変わるものではないのです。それを知ると皆さん、肩の荷が下りると言いますか、大変喜ばれていますね。
何事も知ることから始まるわけで、長い道程になりますが、多くの方にお話をさせていただくことにも力を傾けていきたいと思っています。
これから受診される患者さんへ
単に病気を診るだけではなく、その人の生き方や背景、希望を反映した治療をおこなっていきたいと思っています。「こんなこと話していいのかしら…」と思い悩む必要はありません。どんなことで悩み、なにをしてもらいたいのかを率直にお話しください。また、それを引き出していくのも私たちの役割だと思っていますし、私は患者さんの個性を尊重して診療することを心がけていますので、うつ病や統合失調症、不安障害などでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
※上記記事は2015.10に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。
松永 千秋 院長 MEMO
- 出身地:東京都
- 趣味・特技:読書/ダブルスカル(ボート)全日本選手権準優勝
- 好きな本:『トーニオ・クレーガー』(トーマス・マン)、『みずうみ』(テオドール・シュトルム)
- 好きな映画:シェルブールの雨傘、ロミオとジュリエット
- 座右の銘もしくは好きな言葉:あるがまま
- 好きな音楽:ショパン
- 好きな場所:キーウェスト
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穏やかで明るく話しやすい先生 |
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
穏やかで明るく話しやすい先生 | ||||
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
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