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医療事務の離職率は本当に高いのか?医療事務の離職理由や対策方法を解説

よく、医療事務の離職率は高いと言われます。
では、医療事務の離職率が高いのは本当なのでしょうか?
もしそれが本当であれば、どのような理由が考えられるのでしょうか?
今回は、このような医療事務の離職率に関する疑問にお答えします。
医療事務の離職率について、また離職理由離職を防ぐ対策方法も解説しているので、ぜひ最後までお読みください。

医療事務の離職率は高いのか?

高卒 大卒
平均離職率 36.9% 31.2%
医療、福祉 46.2% 38.6%
製造業 27.2% 19.0%
情報通信業 37.4% 27.4%
金融業、保険業 28.1% 24.2%
複合サービス事業 26.3% 25.8%

(参考:厚生労働省「新規高卒就職者の離職状況(平成30年3月卒業者)」「新規大卒就職者の離職状況(平成30年3月卒業者)」)

そもそも、医療事務の離職率は高いのでしょうか?
結論から言うと、一般的には離職率が高いと言われています
しかし、離職率が高いことは医療事務に限った話ではなく、医療福祉分野において平均的に離職率が高くなっているのです。
厚生労働省が出している「新規学卒就職者の離職状況」によれば、医療福祉分野における就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者46.2%、新規大卒就職者38.6%となっています。
これは、全体の数値である新規高卒就職者36.9%、新規大卒就職者31.2%に比べると、5〜7ポイントほど高くなっていることがお分かりでしょう。
そのため、もちろん医療事務の離職率は高いのですが、それは医療分野全体における傾向であることを理解しましょう。

医療事務で離職率が高い5つの理由

では、なぜ医療事務では離職率が高いのでしょうか?
主に5つの理由があると考えられます。

  • 人間関係が良好でない
  • 運営方針に合わない
  • 想像より激務
  • クレーム対応が辛い
  • 給料が安い

1つずつ確認してみましょう。

人間関係が良好でない

1つ目は、人間関係が良好でないことです。
医療事務だけの話ではありませんが、職場での人間関係が良好ではない場合、長く勤務するのは難しいでしょう。
医療機関という緊張感のある現場で働く以上、指摘の言葉が厳しかったりわいわい働くことが難しかったりします
楽しく働きたい方にはピリッとした雰囲気が馴染めず、やめてしまう可能性が高いのです。

運営方針に合わない

2つ目は、運営方針に合わないことです。
とくに規模の小さな医院が抱えがちな問題ですが、院長周辺の意見のみで運営方針が全て決まってしまい、医療事務員の声が全く通らないことがあります
些細なことでも全く意見を聞き入れてもらえない場合、働きやすい環境を作れず、院長周辺との距離も開いていき、離職に至るケースが考えられるでしょう。

想像より激務

3つ目は、想像より激務なことです。
元々医療事務が激務だということを知っていても、想像よりも忙しいと感じる方もいるでしょう。
とくに人員が不足している医療機関では忙しくなる傾向が強く、業務が積み重なったり残業が発生したりすることがあります。
パートタイムで働けるのが利点ではありますが、業務が残ってしまうと時間をオーバーしてしまい、私生活にも影響が出る可能性があるでしょう。
このように、想像よりも激務であることから離職するケースもあります。

クレーム対応が辛い

4つ目は、クレーム対応が辛いことです。
医療事務では受付対応をすることがあります。
患者からクレームが来ると、対応をするのは基本的に受付であるため、医療事務員がクレーム処理をしなければなりません
中には、内容がひどいクレームが入ることも稀にあり、全てを受けてしまう方にはひどく辛い出来事となってしまいます。
そのため、「二度とあんな経験はしたくない」との思いから離職に至るケースがあるでしょう。

給料が安い

5つ目は、給料が安いことです。
医療事務員の給料は、仕事内容からすると安いと感じられることが多いでしょう。
最初は勉強のつもりで低賃金でも意欲的に働く方が多くいますが、数ヶ月、1年、2年と経過するうちに「割に合わない」と感じる方が多くなります
なかなか給料が上がらないと「適正な報酬をもらえていない」と感じるようになり、離職に至ってしまうのです。

医療事務の離職率を減らす方法

では、医療事務の離職率を減らすにはどうすれば良いのでしょうか?
基本的には離職の原因を1つずつ除いていくしかありません
離職される方は離職理由を率直に話してくれることは少ないかもしれませんが、スタッフの意見に耳を傾けて、働きやすい環境づくりをしていきましょう。
例えば、人間関係が良好でなければ、院長自らスタッフとのコミュニケーションを増やし、「院長のもとで働き続けたい!」と思ってもらえるようにすることが考えられます。
また、「クレーム対応が辛い」という意見があれば、クレームに関しては院長が責任を持って対応するようにシステムを変えることが考えられます。
このように、離職の原因となっている要素を1つずつ減らしていけば、離職率を減らすことができるでしょう。
なお、離職率の減少を目指しても離職がゼロになることは考えない方が良いでしょう。
離職の原因は、引越しなど家庭の事情でやめてしまうことも十分考えられるからです。
そのため、できる範囲で1つずつ対策をしていくのが好ましいでしょう。

医療事務が女性(主婦)に人気なのはなぜ?

医療事務は離職率こそ高いのですが、女性、とくに主婦に人気の職業の1つでもあります。
それには、主に3つの理由が考えられます。

  • 職場に通いやすい
  • 誰でも挑戦しやすい
  • 私生活とのやりくりが可能

1つずつ確認していきましょう。

職場に通いやすい

1つ目は、職場に通いやすいことです。
医療機関はコンビニよりも多いと言われるほど、身近な場所に多数存在しています。
そのため、働く場所を選ばなければ自宅近くの医療機関で働けるため、職場に通いやすいといえます。
とくに主婦の方は、家事や子育てをしつつ仕事にも行かなければいけないので、近くて通勤しやすい医療事務が向いているのでしょう。

誰でも挑戦しやすい

2つ目は、誰でも挑戦しやすいことです。
医師や看護師には資格が必要ですが、医療事務には資格も職歴も必要ありません
医療に関する知識を知っておくことは大切ですが、最初から理解していなくても、働きながら理解していけば十分身につけられます。
そのため、未経験でもチャレンジしやすいため、主婦に人気になっています。

私生活とのやりくりが可能

3つ目は、私生活とのやりくりが可能なことです。
先ほども解説しましたが、家事や育児をしながら働くとなると、職場の近さだけでなく、勤務時間の融通が効くかどうかも大切です。
他にも多くの主婦が働いているため、休まなければならない時も理解をしてくれるため、安心して働けます。

まとめ

今回は医療事務の離職率について解説しました。
医療事務に限らず、医療福祉の分野において離職率が高いことがお分かりいただけたはずです。
医療事務における退職理由としては、働く環境に関するものが多く取り上げられています。
もし1つでも心当たりのある方は、1つずつで良いので対策をしてみてください。
働きやすい環境になれば、長く働いてくれるスタッフの数は増えるため、ぜひ取り入れてみましょう。