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カルテの保存期間は5年間!保存期間の正しい考え方やカルテの保存方法・注意点を解説

「カルテの正しい保存期間はどのくらい?」

「紙カルテや電子カルテはどのように保存すれば良いのか?」

このようなお悩みを抱えていませんか?

紙カルテから電子カルテへ移行する病院も増えてきているので、今一度カルテの保存に関して正しい理解をしておく必要があるでしょう。

そこで、本記事ではカルテの保存期間やカルテの保存方法を解説します。

記事の後半では、紙カルテから電子カルテに移行する際の注意点も解説しているので、確認してみましょう。

カルテの正しい保存期間とは?

ここでは、カルテの正しい保存期間を解説します。

正しいカルテの保存期間はどのくらいなのか、また、カルテの保存期間に関する正しい考え方を理解しましょう。

カルテの保存期間は5年間

カルテの保存期間は5年間と義務づけられています。

最近は5年ルールが広く知られるようになったため、5年間であることを知っている方は多いのではないでしょうか?

また、カルテ以外の診療に関わる諸記録は3年間の保存が義務づけられている点も併せて覚えておきましょう。

カルテの保存期間の正しい考え方

しかし、5年間(または3年間)という期間は知っていても、どの時点から5年間(または3年間)なのかを理解できている人は多くないはずです。

保存期間は、一連の診療が終了した日から5年間(または3年間)となっています。

これは、紙カルテを想定して作られた規定ですが、電子カルテにおいても準用されます。

すなわち、紙カルテであっても電子カルテであっても、一連の診療が終了した日から5年間(または3年間)が保存期間となるので、覚えておきましょう。

カルテの保存方法

ここでは、カルテの保存方法を解説します。

紙カルテと電子カルテには、それぞれの保存方法があるため、1つずつ確認しましょう。

紙カルテの保存方法

紙カルテは、かつては院内に保存しておくのが一般的で、特別な保存方法はありませんでした。

しかし、厚生労働省から平成25年に「診療録等の保存を行う場所について」という通知が発せられたことを受け、要件を満たせば院外での保存も認められるようになりました。

院外での保存方法は2つあります。

  • 電子媒体により外部保存を行う場合
  • 紙媒体のまま外部保存を行う場合

電子媒体により外部保存を行う場合は、次の指針に沿って保存しましょう。

  • 電子保存の三原則
  • 保存に係るホストコンピュータ、サーバ等の情報処理機器が民間事業者等との契約に基づいて確保した安全な場所に置かれるものであること
  • 個人情報保護法等を遵守する等により、患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること
  • 外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと
  • 事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと

また、紙媒体のまま外部保存を行う場合は、次の指針に沿って保存しましょう。

  • 必要に応じて直ちに利用できる体制を確保しておくこと
  • 個人情報保護法等を遵守する等により、患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること
  • 外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと
  • 事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと

電子カルテの保存方法

電子カルテの保存方法では、電子保存の三原則を理解することが肝心です。

電子保存の三原則とは、以下の3つを指します。

  • 真正性(虚偽でないこと)
  • 見読性(内容がわかること)
  • 保存性(復元可能な状態で保存すること)

それぞれ、何に注意すべきかを解説します。

真正性

電子カルテは、データの改変が容易にできてしまうため、改ざんなどがされる可能性があります

そのため、電子データが虚偽のものではないことを保証しなければいけません。

具体的には、カルテを記録した日時、場所、担当者を記録し、以下の4つを基本として真正性を保つ必要があります。

  • 作成責任の所在を明確化
  • 勝手な入力ができないように
  • 外部からの侵入を防ぐセキュリティ対策の実施
  • 入力履歴、操作記録の監査、教育

見読性

電子カルテは医師や看護師だけが見るものではなく、患者や家族に見せることもあります。

その際、必要な情報を必要な時に見せられる状態にしておくことが大切です。

業務に支障が出ない程度、または患者や家族、さらには監査が入っても内容がわかる程度に、見読性を維持する必要があります。

保存性

電子カルテは電子データのため、データが破損したり消去したりする可能性があります。

その対策として、適切なソフトウェアの使用やこまめなバックアップなどをしなければなりません。

また、管理できているか不安であれば、外部業者に保存できているか、対策がなされているかを確認するのも良いでしょう。

スキャン後の紙カルテの扱いについて

ここでは、スキャン後の紙カルテの扱いについて解説します。

スキャン後の紙カルテは破棄して良い

スキャンした電子カルテは、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」に準拠した電子署名・タイムスタンプを付与により、紙カルテと同様の効力を持ちます。

そのため、スキャン後の紙カルテは破棄して良いこととなっています。

管理が大変なことが影響し電子カルテへ移行するケースが多いため、管理の手間を増やさないためにも、スキャンした後は破棄することが望ましいでしょう。

スキャン後の紙カルテの破棄方法

紙カルテを破棄するには、以下の3つの方法があります。

  • 溶解
  • 粉砕
  • 焼却

機密文書処理事業者に委託し、これらの方法により破棄してもらうことになるでしょう。

なお、業者を選ぶ際には、セキュリティ対策をしているかどうかをチェックしてください。

個人情報が多く記載されているため、セキュリティ対策が不十分な業者に依頼すると、個人情報が流出してしまう可能性があるので、よく確認しましょう。

まとめ

今回はカルテの保存期間や保存方法について解説しました。

カルテは一連の診療が終了した日から5年間(または3年間)保存することを覚えておいてください。

また、紙カルテや電子カルテの保存方法も理解しておくと良いでしょう。